旭屋本舗
ようこそいらっしゃいませ。
腐向けサイトですご理解のある方のみどうぞ。
始めての方はカテゴリー【What】をお読みください。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
屋敷時代のガイルク。
正確に言えば仔ガイ+ルーク
正確に言えば仔ガイ+ルーク
「ガイのファーストキスって…相手誰?」
「さぁなぁ…よく覚えてないな…多分ルークお前だろ…よく覚えてないけど…」
「ふーん…」
The traveler of a dream
「はぁ~…眠い…何で俺が…」
灯を灯す譜業を片手に持ちまだ幼い金髪の少年が広い屋敷の廊下を歩いて行った。
目的地は屋敷の真中にある小さな鳥籠…
太陽が顔を出すにはまだまだ時間があり、真っ暗な世界で少年は歩き続けた…
恐怖がないわけではない、お化けなんかに自分の修行中である剣術が
効くとは思えないが仕事なのでいかなければいけない。
少年の名前はガイ・セシル…ファブレ公爵家で使用人をしている少年だ。
少年のメインの仕事は公爵様の子息であるルーク様のお世話。
そんなルーク様は出会った頃はそこらにいる貴族と変わらず
使用人を冷たい目線で睨みつけるような人物だったが、
誘拐をされてから事件のショックで記憶を失い…赤ん坊へと退化した。
言葉、歩き方…人間として生きるための術を全て置いてどこかへ忘れてきた。
本来ならばそんな赤ん坊同然の世話はもっと上のメイドなどがやるべきだと
ガイは日ごろから思っていたが…歳も近く、記憶をなくす前からルークの世話をしていたので
何かがきっかけで思いだすかもしれないという理由でガイが任命された。
……正確に言えば押しつけられたが正解かもしれない。
いろいろと不満はあったが、自分の目的…その為にルークの世話役は好都合だと思っていたが…
ガイは舐めていた…赤ん坊の世話がどれだけ大変かを。
必死にご飯を食べさせようとしても機嫌が悪ければ食べず、
どれだけ言葉を教えても理解不能な鳴き声しか声をあげず、
歩かせようとしても全く歩くことができず、
どれだけ必死に教えてもルークは全くできなかった…思い出さなかった…
その責任はすべて小さなガイに押しつけられた。
誰も助けてれず…責められ…小さなガイの心は限界に近かった。
唯一の理解者であるペール…陰ながらガイの手伝いをしてくれていたが、
彼は庭師…表立ってガイの手伝いができなかった。
今もガイがこのくらい廊下を歩く理由はルークだった…。
最近ルークが夜泣きをするらしい。
ガイとルークの部屋は少し距離が離れていたので気が付かなかったが、
見回りをしている騎士からの報告でそれを知った。
夜泣きをしているのならそれを止めさせるのが世話係の仕事。
それは解っているが、この夜泣きがまた曲者だった。
どれほどあやしても泣きやまず、ただ抱いて部屋を歩き回り泣き疲れるのを
ただ待つしかない…何時もは数時間で泣きやむが
昨日はそれが明け方まで続き今日ガイはほとんどねていなかった。
昨夜と同じ地獄が今日も続くのかと思うとガイの足取りはどんどん重くなる…。
もっとベテランのメイドとかにしてもらえればいいのに…恋も知らない少年にできるはずがない。
ガイはそう思っても誰かが変わってくれることはない。
中庭に続く廊下を歩いていると聞きなれた泣き声が聞こえてきた。
「はぁ…やっぱりか…」
ガイの足は一度止まるが、止まっていてもこの状況は変わらないので
重い足を一生懸命引っ張りルークの部屋まで歩いていった。
鍵を取り出しドアを開けると頭に響く泣き声がガイの頭に響く…
あぁ…この部屋案外防音効果あったのか…といらぬ考えが脳内を駆け巡った。
「ルーク様…何が不満なのですか…?」
呆れた声で泣き叫ぶルークに話しかける。
するとルークは一度だけ泣くのをやめてガイを見つめたが、
再び大声で泣き出し何が不満なのかガイには全く解らなかった。
まぁ、そもそも話すことができないルークに何が不満かを聞くのが無駄だったが…
ガイは大きなため息をつき、片手に持っていた譜業を床に置きルークの傍へと歩み寄って行く。
「ルーク様…ほら、抱っこしてあげますから泣くのは止めて大人しく寝てください。」
「ひっく…ひっく…うぅ…うわあぁん!!!ヴぁイぃ!!うわああああぁぁん!!!」
ガイが両手を差しだしてルークを抱っこしようとするが、一向に泣きやむ気配はない…
大きなため息をつきルークを抱っこするが…何故かますます泣きだし暴れ始めた。
「やあぁ!!やああああぁ!!!うわあああああああん!!!!」
「ちょ…暴れるなって…っう!!!!」
暴れるルーク手がガイの頬を殴り、反射的にガイはルークを落としてしまい
床に落とされた痛さからかますます泣きだした。
そんなルークの姿にガイが普段溜めていたものが一気に爆発した。
「何だよお前…人が折角世話してやってるのに…俺だって寝むくて…辛くて…
お前の父親のせいで俺の生活は…俺の家族は……もうお前なんてしらねぇ!!!勝手にしろ!!!」
そういうとガイは思いっきりドアを閉めて自分の部屋へと走った。
走っている時に思い出したのは姉の優しい笑顔…両親の笑う顔…屋敷で働いていた皆の嬉しい顔…
必死に走り自分の部屋に戻ると押さえていた涙が一気に溢れ出す…
どうして俺ばっかり…どうして…どうして…助けてよ…マリィ姉さん…
声を抑えて泣いていると同室のペールが起き出しガイの傍に優しく歩み寄る。
ペールはいつも優しかった…唯一ガイの味方だ。
「ガイラルディア様…どうなされましたか?今日はお早いお戻りですね…ルーク様は泣きやまれたのですか?」
「知らねぇ…あんなやつ…もうしらねぇ…」
殴られた頬が少しだけ腫れ何があったか想像がついたペールは優しくガイを抱きしめた。
「お辛いでしょう…ガイラルディア様はよく頑張っておられます…ですが…今はルーク様のところへお行きなさい…」
「何で…俺が…」
ペールならもう行かなくていいと言ってくれると思っていた…
だが、ペールから出た言葉は他の人と同じ言葉…ガイは自分の耳を疑った。
「ここで貴方がルーク様を放置なされば、貴方が今まで積み上げてきた信用が崩れてしまいます。
信頼は一度崩れると中々もとには戻りません…貴方の目的は何ですか?
お辛いのはわかりますが…どうか…どうか…お戻りください…」
「ペール…」
ペールに優しく撫でられるとガイは涙を拭き立ちあがった。
自分の目的…それは公爵への復讐…
それを思い出したガイは再び自分を取り戻した。
「すまない…ペール…行ってくるよ…ありがとうな…」
「いえ…この程度しかできない私をお許しください…」
深く頭を下げるとガイは苦笑いをしながら自室を出て再びルークの部屋へと歩いて行く…
こんどは先ほどとは違い灯はない…自分の心と同じ闇の中を
小さな星明りだけを頼りに歩いていく…
しかし、どれほどルークの部屋に近づいてもルークの泣き声が聞こえない。
さっきはこの辺りからでも微かに泣き声が聞こえたはず…
泣き疲れて寝たのか…?いや、今までの経験上それはない…
一番傍で世話をしている自分がそれは一番解っている…そんなことは絶対にない。
ルークの部屋までくると泣き声の変りに中から歌声が聞こえてきた。
今のルークは話すこともできない赤ん坊…だったら中に誰か居るとしか思えない。
奥方様かと思ったが…この歌声は男…成人男性に近い人物の声だ。
ガイは自分の剣を握りしめおそるおそるドアを開けて中を覗く。
そこには月明かりが反射して顔は見えないが…誰かがベッドの上に居るのが確認できた。
床を見ればさきほど自分が置いていった灯を灯す譜業が置いてあったので、
すばやくそれを取り不審人物の顔を確認するため明かりを付けた。
「そこに居るのは誰だ!!ここを誰の部屋だと思って…い…る…」
「うわっ!!びっくりした………もしかして…ガイか?あははは、可愛いな。」
明かりの先に居たのは見知らぬ男……出会ったことなどないはずだが…
どこかで会った感覚がガイの中をうごめいた。
ガイが驚いたのは自分の中で動いた感覚だけではない…その男の姿にも驚いた。
青年の髪は夕陽のような朱色…そして宝石のような碧…王家の人間だと一目でわかったが、
会ったことがない…どうみても青年は17歳程度…
今の王家に17歳くらいの青年など居なかったはずだ。
「お前…誰だ…何で俺の名前…」
「え?あ…うーん…それはナイショ…」
青年は無邪気な笑顔をガイに向けて膝に乗せた小さな塊を優しく撫でた。
よく見ると青年の膝に居るのはガイの主であるルークだ。
「ルーク!?お前…ルークに何をした!!」
「泣いていたから寝てるだけ…子守唄歌ったらすぐに寝たぜ」
「子守唄…?」
ガイが首を傾げていると青年は片手でこっちに来いと呼んだ。
しぶしぶガイは警戒心を出したまま青年の横に座ると
青年はガイの頭を優しく撫でた…さっきペールが撫でてくれたように優しく、愛おしく…。
「ごめんな…俺…我儘ばっかでお前に迷惑ばっかりかけて…」
「俺…お前と会うの初めてなんだけど…」
「………いいから黙って聞いてろつーの…」
頬を膨らませて拗ねる青年の姿を見て本当に自分より年上なのか怪しく思えてきた。
行動が幼い…まるで10歳前後にしか思えない…いや、それ以下か…?
「うぅ…ん?うぁい…?」
「あ…」
青年の膝で寝ていたルークが目を擦りながら起きてしまった。
ガイと目があったルークは先ほどのことを思い出したのか、ぐずぐずと泣き始めた。
また大泣きするのかとため息をついたが、青年が笑いながらルークを抱きしめると
ルークはきょとんとした顔をして青年を見つめた。
「あはははは…ごめんな、起こしたか?お前寂しいんだよな…夜目が覚めて一人ぼっちで…
だから泣いちゃうんだよな…生まれたばっかりだもんな…」
「何言ってるんだ?ルークはもう10歳だぞ…」
「うん…知ってる…独り言だよ…」
青年はルークの頭を撫でるとルークは嬉しそうに笑いだし青年に甘え始めた。
ルークがこんなに人に懐くことはめったにない…
ましてや初対面ならなおさらだ。
ガイにすら最初はなかなか懐かなかった…なのにこの青年は…
ガイの中で何かもやもやしたものが動いた…何だろうこれは…
「お前…何でルークの気持ち解るんだよ…そいつ人見知り激しいのに…」
「ん?そりゃ……俺だもん…自分のことくらい解るさ…なぁ?」
「にゃぁ~」
猫かよとガイは呟くが二人には聞こえてないようで仲良く笑っている…。
ガイ一人蚊帳の外な気持ちになった…
「さて…そろそろ寝ようか…」
「うー…?あぃ、あぃ、あぃ…」
「………何言ってるんだ?」
ルークが必死にガイの方を向いて何かを訴えている…
しかしガイにはルークが何を言っているのか理解ができない…。
「あははは、これはなガイって呼んでるんだぜ…『ガ』って発音が難しくて
『あ』になってるんだ…たまに上手く発音できて『ヴァ』になってるけど…」
「え…?俺を呼んで…?」
青年がルークをベッドに降ろすと必死にガイに手を伸ばしガイの傍へ行こうとするが、
身体が動かずぐずり始めた。
慌ててガイが抱き上げると嬉しそうに「あぃ、あぃ」と必死に呼んでいる。
青年の言う通りときどき「ヴァ」と言っている…
よくこの言葉を言っていたのを思い出した。
言葉を教えた時に面白半分で自分の名前を教えたのはつい先日だ…
その時からルークはずっとガイを呼んでいた。
けど、ガイはそれに気が付かず…手を差し伸べてあげれなかった…
この狭い鳥籠に閉じ込められている哀れな小鳥に…
「ルーク…ごめん…ごめんな…俺…自分のことばっかりで…」
「しょうがねーよ…ガイだってまだ子供なんだし…」
「あぃ、あぃ…ヴァイ…」
「………何言ってるんだ?」
自分を呼んでいることは解ったが…ガイに何をしてほしいのかは全く理解できず
ふと青年に視線を合わせると青年は笑いながら教えてくれた。
「一緒に寝ようだってさ…一人で寝るのは寂しいんだよ…」
「………わかった…これからはお前が寝るまで傍にいてやるよ…」
ルークの額に優しくキスをするとルークは嬉しそうに無邪気に笑い始めた。
そしてルークを抱えながら枕元に移動すると、
ルークは青年に手を伸ばし何かを訴え始めた。
「あうあ…あーぅ…うぅ~…」
「え?俺も一緒に寝るのか?しょうがねぇなぁ…」
どう見ても理解不能な言葉しかルークは言っていないのだが…
何故この青年には理解できるのだろうか…ガイは不思議でしかたがない。
そして、大人二人で余裕に寝れるルークのベッドにルークを真ん中に置いて
三人は横になったが…何が楽しいのかルークはきゃっきゃっと笑い中々寝ようとしない。
「ルーク…いい加減に寝ろ…」
「ははははは…手がかかってすみません…しょうがねーなぁ…」
青年が息を大きく吸い込むと先ほど聞こえた歌を歌い始めた。
お世辞にも上手いとは言えない歌だが…何故か落ち着く歌だった…
何の歌だろうか…ガイは聞いたことがない…いや…昔故郷でヴァンが唄っていた歌に似ている…気がする。
下手くそすぎて比べられないが…
最近寝不足だったせいかガイまでうとうとしていると
真ん中で寝ていたルークが気持ちよさそうに眠っていた。
ガイがどうやっても中々寝なかったルークが秒殺だった。
「何で…中々寝ないのにこいつ…」
「ははは…子守唄ってそんなもんだよ…ガイもやってみろよ…歌は何でもいいからさ…」
「ふーん…その歌なんて言うんだ…?」
「え?うーん…何だろ…仲間に…友達に教えてもらったからさ…」
苦笑いをしながら青年は答えた。
間近でみる青年の顔…やはりどこかで見たことのある顔だ…
いつも近くで…一番傍で見ている気がする…
「ほら…ガイも寝ろよ…疲れてるだろ…?」
「あぁ…うん…おやすみ…」
「おやすみ…ガイ…」
青年はガイの唇に小さくキスを落とすと、
何故かガイが飛び上がり顔を真っ赤にしながら青年を睨みつけた。
「お、お…お前何してっ…!!!!」
「え?おやすみのキスだよ…いつもしてるだろ?まぁいつもはお前からだけど…」
「ばかっ!!俺…俺…まだキスしたこと…」
「あ…ファーストキスだったか?あー…やっぱり俺だったのか…」
青年はあまり反省していないのか笑いながら答える。
ガイは顔を真っ赤にしたまま男同士ですることに信じられず、
布団に顔を埋めたままいつの間にか眠ってしまっていた。
夢に落ちる中で聞こえたのは青年の優しい声…
「俺…いつもお前に迷惑かけて…ほんと親友失格だよな…
けど、いつも傍に居てくれてありがとうな…愛してるよ…ガイ…」
愛してる…?お前が俺を…?
どうして…?初めて会うのに…どうして…どうして…?
ふと自分の頬を何かが叩く感触でガイは目を覚ました。
頬を叩く相手はもちろんルークだった…。
窓を見ればもう起きなければいけない時間…
何故自分がルークの部屋で寝ているのか思い出せなかったが…
ルークの夜泣きをあやしている最中に寝てしまったのだろう。
けど…誰かと一緒に居ていた気がする…
誰と?
この部屋に入れるのは特別に許された人以外居ないはず…
誰だろう…ガイは思い出せなかった。
考えをめぐらせていると歩けないはずのルークが
必死になってガイの傍へベッドを転がり来ていた。
「あぃ…あぃ…ヴァイ…う~…がい…!!」
「え?ルーク今…俺の名前…」
「あい…がい…あい…」
まだたどたどしい口調だが…だが、しっかりと聞こえた…自分の名前を…
ガイは嬉しくなってルークを強く抱きしめ
そして、昨日まで心に溜まっていたものがどこかへ消し去った。
「ルーク…ルーク…ありがとう…俺の名前…」
「う?うー…がい?」
「ん?どうした?っておい!!!」
ルークに呼ばれ抱きしめていた腕を離すと
いきなりルークはガイの唇にキスをした…いや、正確にはまだ眠いのか重い頭をふらふらさせて
ガイの唇にルークの唇が当たってしまっただけ…事故といえば事故だ。
「お前…俺まだキス…ってお前もか…ん?けど俺…前に誰かとキスした気がする…」
誰とキスをしたんだろう…思い出せない…
ガイはまだ完全に回っていない頭を動かして思い出そうとしたが、
思い出せなかった…
「ガイ…やっぱりお前のファーストキスの相手…俺だわ…」
「…当たり前だろ…俺の人生の中でお前以外にキスする相手いないって」
トゥエ レイ ズェ クロア リョ トゥエ ズェ
クロア リョ ズェ トゥエ リョ レイ ネゥ リョ ズェ
ヴァ レイ ズェ トゥエ ネゥ トゥエ リョ トゥエ クロア
リョ レイ クロア リョ ズェ レイ ヴァ ズェ レイ
ヴァ ネゥ ヴァ レイ ヴァ ネゥ ヴァ ズェ レイ
クロア リョ クロア ネゥ トゥエ レイ クロア リョ ズェ レイ ヴァ
レイ ヴァ ネゥ クロア トゥエ レイ レイ…
「さぁなぁ…よく覚えてないな…多分ルークお前だろ…よく覚えてないけど…」
「ふーん…」
The traveler of a dream
「はぁ~…眠い…何で俺が…」
灯を灯す譜業を片手に持ちまだ幼い金髪の少年が広い屋敷の廊下を歩いて行った。
目的地は屋敷の真中にある小さな鳥籠…
太陽が顔を出すにはまだまだ時間があり、真っ暗な世界で少年は歩き続けた…
恐怖がないわけではない、お化けなんかに自分の修行中である剣術が
効くとは思えないが仕事なのでいかなければいけない。
少年の名前はガイ・セシル…ファブレ公爵家で使用人をしている少年だ。
少年のメインの仕事は公爵様の子息であるルーク様のお世話。
そんなルーク様は出会った頃はそこらにいる貴族と変わらず
使用人を冷たい目線で睨みつけるような人物だったが、
誘拐をされてから事件のショックで記憶を失い…赤ん坊へと退化した。
言葉、歩き方…人間として生きるための術を全て置いてどこかへ忘れてきた。
本来ならばそんな赤ん坊同然の世話はもっと上のメイドなどがやるべきだと
ガイは日ごろから思っていたが…歳も近く、記憶をなくす前からルークの世話をしていたので
何かがきっかけで思いだすかもしれないという理由でガイが任命された。
……正確に言えば押しつけられたが正解かもしれない。
いろいろと不満はあったが、自分の目的…その為にルークの世話役は好都合だと思っていたが…
ガイは舐めていた…赤ん坊の世話がどれだけ大変かを。
必死にご飯を食べさせようとしても機嫌が悪ければ食べず、
どれだけ言葉を教えても理解不能な鳴き声しか声をあげず、
歩かせようとしても全く歩くことができず、
どれだけ必死に教えてもルークは全くできなかった…思い出さなかった…
その責任はすべて小さなガイに押しつけられた。
誰も助けてれず…責められ…小さなガイの心は限界に近かった。
唯一の理解者であるペール…陰ながらガイの手伝いをしてくれていたが、
彼は庭師…表立ってガイの手伝いができなかった。
今もガイがこのくらい廊下を歩く理由はルークだった…。
最近ルークが夜泣きをするらしい。
ガイとルークの部屋は少し距離が離れていたので気が付かなかったが、
見回りをしている騎士からの報告でそれを知った。
夜泣きをしているのならそれを止めさせるのが世話係の仕事。
それは解っているが、この夜泣きがまた曲者だった。
どれほどあやしても泣きやまず、ただ抱いて部屋を歩き回り泣き疲れるのを
ただ待つしかない…何時もは数時間で泣きやむが
昨日はそれが明け方まで続き今日ガイはほとんどねていなかった。
昨夜と同じ地獄が今日も続くのかと思うとガイの足取りはどんどん重くなる…。
もっとベテランのメイドとかにしてもらえればいいのに…恋も知らない少年にできるはずがない。
ガイはそう思っても誰かが変わってくれることはない。
中庭に続く廊下を歩いていると聞きなれた泣き声が聞こえてきた。
「はぁ…やっぱりか…」
ガイの足は一度止まるが、止まっていてもこの状況は変わらないので
重い足を一生懸命引っ張りルークの部屋まで歩いていった。
鍵を取り出しドアを開けると頭に響く泣き声がガイの頭に響く…
あぁ…この部屋案外防音効果あったのか…といらぬ考えが脳内を駆け巡った。
「ルーク様…何が不満なのですか…?」
呆れた声で泣き叫ぶルークに話しかける。
するとルークは一度だけ泣くのをやめてガイを見つめたが、
再び大声で泣き出し何が不満なのかガイには全く解らなかった。
まぁ、そもそも話すことができないルークに何が不満かを聞くのが無駄だったが…
ガイは大きなため息をつき、片手に持っていた譜業を床に置きルークの傍へと歩み寄って行く。
「ルーク様…ほら、抱っこしてあげますから泣くのは止めて大人しく寝てください。」
「ひっく…ひっく…うぅ…うわあぁん!!!ヴぁイぃ!!うわああああぁぁん!!!」
ガイが両手を差しだしてルークを抱っこしようとするが、一向に泣きやむ気配はない…
大きなため息をつきルークを抱っこするが…何故かますます泣きだし暴れ始めた。
「やあぁ!!やああああぁ!!!うわあああああああん!!!!」
「ちょ…暴れるなって…っう!!!!」
暴れるルーク手がガイの頬を殴り、反射的にガイはルークを落としてしまい
床に落とされた痛さからかますます泣きだした。
そんなルークの姿にガイが普段溜めていたものが一気に爆発した。
「何だよお前…人が折角世話してやってるのに…俺だって寝むくて…辛くて…
お前の父親のせいで俺の生活は…俺の家族は……もうお前なんてしらねぇ!!!勝手にしろ!!!」
そういうとガイは思いっきりドアを閉めて自分の部屋へと走った。
走っている時に思い出したのは姉の優しい笑顔…両親の笑う顔…屋敷で働いていた皆の嬉しい顔…
必死に走り自分の部屋に戻ると押さえていた涙が一気に溢れ出す…
どうして俺ばっかり…どうして…どうして…助けてよ…マリィ姉さん…
声を抑えて泣いていると同室のペールが起き出しガイの傍に優しく歩み寄る。
ペールはいつも優しかった…唯一ガイの味方だ。
「ガイラルディア様…どうなされましたか?今日はお早いお戻りですね…ルーク様は泣きやまれたのですか?」
「知らねぇ…あんなやつ…もうしらねぇ…」
殴られた頬が少しだけ腫れ何があったか想像がついたペールは優しくガイを抱きしめた。
「お辛いでしょう…ガイラルディア様はよく頑張っておられます…ですが…今はルーク様のところへお行きなさい…」
「何で…俺が…」
ペールならもう行かなくていいと言ってくれると思っていた…
だが、ペールから出た言葉は他の人と同じ言葉…ガイは自分の耳を疑った。
「ここで貴方がルーク様を放置なされば、貴方が今まで積み上げてきた信用が崩れてしまいます。
信頼は一度崩れると中々もとには戻りません…貴方の目的は何ですか?
お辛いのはわかりますが…どうか…どうか…お戻りください…」
「ペール…」
ペールに優しく撫でられるとガイは涙を拭き立ちあがった。
自分の目的…それは公爵への復讐…
それを思い出したガイは再び自分を取り戻した。
「すまない…ペール…行ってくるよ…ありがとうな…」
「いえ…この程度しかできない私をお許しください…」
深く頭を下げるとガイは苦笑いをしながら自室を出て再びルークの部屋へと歩いて行く…
こんどは先ほどとは違い灯はない…自分の心と同じ闇の中を
小さな星明りだけを頼りに歩いていく…
しかし、どれほどルークの部屋に近づいてもルークの泣き声が聞こえない。
さっきはこの辺りからでも微かに泣き声が聞こえたはず…
泣き疲れて寝たのか…?いや、今までの経験上それはない…
一番傍で世話をしている自分がそれは一番解っている…そんなことは絶対にない。
ルークの部屋までくると泣き声の変りに中から歌声が聞こえてきた。
今のルークは話すこともできない赤ん坊…だったら中に誰か居るとしか思えない。
奥方様かと思ったが…この歌声は男…成人男性に近い人物の声だ。
ガイは自分の剣を握りしめおそるおそるドアを開けて中を覗く。
そこには月明かりが反射して顔は見えないが…誰かがベッドの上に居るのが確認できた。
床を見ればさきほど自分が置いていった灯を灯す譜業が置いてあったので、
すばやくそれを取り不審人物の顔を確認するため明かりを付けた。
「そこに居るのは誰だ!!ここを誰の部屋だと思って…い…る…」
「うわっ!!びっくりした………もしかして…ガイか?あははは、可愛いな。」
明かりの先に居たのは見知らぬ男……出会ったことなどないはずだが…
どこかで会った感覚がガイの中をうごめいた。
ガイが驚いたのは自分の中で動いた感覚だけではない…その男の姿にも驚いた。
青年の髪は夕陽のような朱色…そして宝石のような碧…王家の人間だと一目でわかったが、
会ったことがない…どうみても青年は17歳程度…
今の王家に17歳くらいの青年など居なかったはずだ。
「お前…誰だ…何で俺の名前…」
「え?あ…うーん…それはナイショ…」
青年は無邪気な笑顔をガイに向けて膝に乗せた小さな塊を優しく撫でた。
よく見ると青年の膝に居るのはガイの主であるルークだ。
「ルーク!?お前…ルークに何をした!!」
「泣いていたから寝てるだけ…子守唄歌ったらすぐに寝たぜ」
「子守唄…?」
ガイが首を傾げていると青年は片手でこっちに来いと呼んだ。
しぶしぶガイは警戒心を出したまま青年の横に座ると
青年はガイの頭を優しく撫でた…さっきペールが撫でてくれたように優しく、愛おしく…。
「ごめんな…俺…我儘ばっかでお前に迷惑ばっかりかけて…」
「俺…お前と会うの初めてなんだけど…」
「………いいから黙って聞いてろつーの…」
頬を膨らませて拗ねる青年の姿を見て本当に自分より年上なのか怪しく思えてきた。
行動が幼い…まるで10歳前後にしか思えない…いや、それ以下か…?
「うぅ…ん?うぁい…?」
「あ…」
青年の膝で寝ていたルークが目を擦りながら起きてしまった。
ガイと目があったルークは先ほどのことを思い出したのか、ぐずぐずと泣き始めた。
また大泣きするのかとため息をついたが、青年が笑いながらルークを抱きしめると
ルークはきょとんとした顔をして青年を見つめた。
「あはははは…ごめんな、起こしたか?お前寂しいんだよな…夜目が覚めて一人ぼっちで…
だから泣いちゃうんだよな…生まれたばっかりだもんな…」
「何言ってるんだ?ルークはもう10歳だぞ…」
「うん…知ってる…独り言だよ…」
青年はルークの頭を撫でるとルークは嬉しそうに笑いだし青年に甘え始めた。
ルークがこんなに人に懐くことはめったにない…
ましてや初対面ならなおさらだ。
ガイにすら最初はなかなか懐かなかった…なのにこの青年は…
ガイの中で何かもやもやしたものが動いた…何だろうこれは…
「お前…何でルークの気持ち解るんだよ…そいつ人見知り激しいのに…」
「ん?そりゃ……俺だもん…自分のことくらい解るさ…なぁ?」
「にゃぁ~」
猫かよとガイは呟くが二人には聞こえてないようで仲良く笑っている…。
ガイ一人蚊帳の外な気持ちになった…
「さて…そろそろ寝ようか…」
「うー…?あぃ、あぃ、あぃ…」
「………何言ってるんだ?」
ルークが必死にガイの方を向いて何かを訴えている…
しかしガイにはルークが何を言っているのか理解ができない…。
「あははは、これはなガイって呼んでるんだぜ…『ガ』って発音が難しくて
『あ』になってるんだ…たまに上手く発音できて『ヴァ』になってるけど…」
「え…?俺を呼んで…?」
青年がルークをベッドに降ろすと必死にガイに手を伸ばしガイの傍へ行こうとするが、
身体が動かずぐずり始めた。
慌ててガイが抱き上げると嬉しそうに「あぃ、あぃ」と必死に呼んでいる。
青年の言う通りときどき「ヴァ」と言っている…
よくこの言葉を言っていたのを思い出した。
言葉を教えた時に面白半分で自分の名前を教えたのはつい先日だ…
その時からルークはずっとガイを呼んでいた。
けど、ガイはそれに気が付かず…手を差し伸べてあげれなかった…
この狭い鳥籠に閉じ込められている哀れな小鳥に…
「ルーク…ごめん…ごめんな…俺…自分のことばっかりで…」
「しょうがねーよ…ガイだってまだ子供なんだし…」
「あぃ、あぃ…ヴァイ…」
「………何言ってるんだ?」
自分を呼んでいることは解ったが…ガイに何をしてほしいのかは全く理解できず
ふと青年に視線を合わせると青年は笑いながら教えてくれた。
「一緒に寝ようだってさ…一人で寝るのは寂しいんだよ…」
「………わかった…これからはお前が寝るまで傍にいてやるよ…」
ルークの額に優しくキスをするとルークは嬉しそうに無邪気に笑い始めた。
そしてルークを抱えながら枕元に移動すると、
ルークは青年に手を伸ばし何かを訴え始めた。
「あうあ…あーぅ…うぅ~…」
「え?俺も一緒に寝るのか?しょうがねぇなぁ…」
どう見ても理解不能な言葉しかルークは言っていないのだが…
何故この青年には理解できるのだろうか…ガイは不思議でしかたがない。
そして、大人二人で余裕に寝れるルークのベッドにルークを真ん中に置いて
三人は横になったが…何が楽しいのかルークはきゃっきゃっと笑い中々寝ようとしない。
「ルーク…いい加減に寝ろ…」
「ははははは…手がかかってすみません…しょうがねーなぁ…」
青年が息を大きく吸い込むと先ほど聞こえた歌を歌い始めた。
お世辞にも上手いとは言えない歌だが…何故か落ち着く歌だった…
何の歌だろうか…ガイは聞いたことがない…いや…昔故郷でヴァンが唄っていた歌に似ている…気がする。
下手くそすぎて比べられないが…
最近寝不足だったせいかガイまでうとうとしていると
真ん中で寝ていたルークが気持ちよさそうに眠っていた。
ガイがどうやっても中々寝なかったルークが秒殺だった。
「何で…中々寝ないのにこいつ…」
「ははは…子守唄ってそんなもんだよ…ガイもやってみろよ…歌は何でもいいからさ…」
「ふーん…その歌なんて言うんだ…?」
「え?うーん…何だろ…仲間に…友達に教えてもらったからさ…」
苦笑いをしながら青年は答えた。
間近でみる青年の顔…やはりどこかで見たことのある顔だ…
いつも近くで…一番傍で見ている気がする…
「ほら…ガイも寝ろよ…疲れてるだろ…?」
「あぁ…うん…おやすみ…」
「おやすみ…ガイ…」
青年はガイの唇に小さくキスを落とすと、
何故かガイが飛び上がり顔を真っ赤にしながら青年を睨みつけた。
「お、お…お前何してっ…!!!!」
「え?おやすみのキスだよ…いつもしてるだろ?まぁいつもはお前からだけど…」
「ばかっ!!俺…俺…まだキスしたこと…」
「あ…ファーストキスだったか?あー…やっぱり俺だったのか…」
青年はあまり反省していないのか笑いながら答える。
ガイは顔を真っ赤にしたまま男同士ですることに信じられず、
布団に顔を埋めたままいつの間にか眠ってしまっていた。
夢に落ちる中で聞こえたのは青年の優しい声…
「俺…いつもお前に迷惑かけて…ほんと親友失格だよな…
けど、いつも傍に居てくれてありがとうな…愛してるよ…ガイ…」
愛してる…?お前が俺を…?
どうして…?初めて会うのに…どうして…どうして…?
ふと自分の頬を何かが叩く感触でガイは目を覚ました。
頬を叩く相手はもちろんルークだった…。
窓を見ればもう起きなければいけない時間…
何故自分がルークの部屋で寝ているのか思い出せなかったが…
ルークの夜泣きをあやしている最中に寝てしまったのだろう。
けど…誰かと一緒に居ていた気がする…
誰と?
この部屋に入れるのは特別に許された人以外居ないはず…
誰だろう…ガイは思い出せなかった。
考えをめぐらせていると歩けないはずのルークが
必死になってガイの傍へベッドを転がり来ていた。
「あぃ…あぃ…ヴァイ…う~…がい…!!」
「え?ルーク今…俺の名前…」
「あい…がい…あい…」
まだたどたどしい口調だが…だが、しっかりと聞こえた…自分の名前を…
ガイは嬉しくなってルークを強く抱きしめ
そして、昨日まで心に溜まっていたものがどこかへ消し去った。
「ルーク…ルーク…ありがとう…俺の名前…」
「う?うー…がい?」
「ん?どうした?っておい!!!」
ルークに呼ばれ抱きしめていた腕を離すと
いきなりルークはガイの唇にキスをした…いや、正確にはまだ眠いのか重い頭をふらふらさせて
ガイの唇にルークの唇が当たってしまっただけ…事故といえば事故だ。
「お前…俺まだキス…ってお前もか…ん?けど俺…前に誰かとキスした気がする…」
誰とキスをしたんだろう…思い出せない…
ガイはまだ完全に回っていない頭を動かして思い出そうとしたが、
思い出せなかった…
「ガイ…やっぱりお前のファーストキスの相手…俺だわ…」
「…当たり前だろ…俺の人生の中でお前以外にキスする相手いないって」
トゥエ レイ ズェ クロア リョ トゥエ ズェ
クロア リョ ズェ トゥエ リョ レイ ネゥ リョ ズェ
ヴァ レイ ズェ トゥエ ネゥ トゥエ リョ トゥエ クロア
リョ レイ クロア リョ ズェ レイ ヴァ ズェ レイ
ヴァ ネゥ ヴァ レイ ヴァ ネゥ ヴァ ズェ レイ
クロア リョ クロア ネゥ トゥエ レイ クロア リョ ズェ レイ ヴァ
レイ ヴァ ネゥ クロア トゥエ レイ レイ…
PR
この記事にコメントする
