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旭屋本舗
ようこそいらっしゃいませ。 腐向けサイトですご理解のある方のみどうぞ。 始めての方はカテゴリー【What】をお読みください。
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一緒にいると胸が痛くて、苦しくて…
こんな気持ち初めてで…
目と目が合うと恥ずかしくて目を逸らす。
そんな俺を見てあいつは笑う。
どうせ俺は世間知らずのお坊ちゃんで、
俺の中にあるこの気持ちの意味が解らない。
あいつの傍にいるのが苦しくて…
だから俺は今日も逃げ出した。




En premier amour





ここはある街にある世界でも大規模な学校【テイルズ学園】。
かなり大きな規模を持っているこの学園は世界でも珍しい学科が存在し、
毎年多くの入学希望者が押し寄せる。
そんな学科の一つが【芸能科】であり、将来この世界の芸能界を背負っていく
卵達を育成する学科であるが、一般人がそう簡単には入れる学科ではなかった。
この学科には願書で入学する者、そしてスカウトされて入る者…この二つに分けられる。
彼らはそれぞれに自分の夢と希望を持ちながら日々勉強をしているが、
学生時代にデビューするものも数多く居る。
学校側からのプロデュースでデビューした者は数知れず…その多くが今や有名人だ。
そんなデビューした者達には一般学生とは別の寮が与えられる。
特別寮のとある一室…部屋の表札には【アッシュ・フォン・ファブレ】と書かれた部屋で、
壁に掛ったカレンダーにオレンジ色のペンでルークは日付に○印を書く。
その日は明後日の土曜日で、
ルークにとって嬉しい日でもり、複雑な気持ちな日である。
「おい…屑が…人のカレンダーに何勝手に落書きしてやがる…」
机に向かって勉強をしていたアッシュが振り返りルークを睨みつけるが、
アッシュの睨みなど何のその…笑いながら次々にオレンジ色のペンでカレンダーに予定を書き込んで行く。
「別にいいじゃん♪あ、オレンジ色が俺のスケジュールで赤がアッシュだからな!!」
オレンジ色のペンで予定を書き終えると次に赤色のペンで次々に予定を書き込んでいくが、
右手にはアッシュがいつも持っている手帳が握られている。
多分鞄の中を勝手に開けて探し出したのだろう…いつものことなのでアッシュはもう怒る気も失せていた。
「ったく…で?明後日の対策はできてるのかよ…極度の上がり症の屑が…」
アッシュの言葉に意気揚々とアッシュの予定を勝手に書きこんでいたルークの手が止まり、
アッシュの方を向いたルークの表情は今にも泣きそうだった。
「全然できてねぇんだよぉ~…俺もうどうしよう…またヘマしたら折角決まったデビューが台無しだし、
みんなに迷惑かけるし…アッシュの名前に傷つくし…ガイやナタリアそれにティアは悲しむし…
ああぁ!!!ぜってー何かしたらジェイドとアニスからいじめられるうううううううう!!!
わあああん!!!俺どうしたらいいんだよぉ~!!!」
半分泣きながらアッシュの背中に飛びつくが、アッシュは裏拳でルークをはじき返し床に転がした。
それ以上頭悪くなったら困るのはアッシュ…貴方なのに…
話は逸れたが、ルークは明後日ついにデビューが決まった。
本来の予定なら先にデビューしたアッシュと一緒に【双子】を押してデビューする予定だったが、
大人の事情によりそれは却下され、アッシュだけが先にデビューしたのだ。
ちなみに、アッシュが学園内でスカウトされ、ナタリアに強引に転科させられたが
道連れにルークも一緒に転科させられたことは一部の人間しかしらない事情である。
噂によればデビューが却下された理由はアッシュが音t…「屑がっ!!!余計なことしゃべるんじゃねぇ!!!」
「アッシュ…誰と話してるんだ?」
「うっせー…お前には関係ねぇ…」
げほげほ…話を戻そう…明後日デビューで
ルークはアッシュとではなく同じ学科であるルークを入れた6名の男子でデビューが決まった。
そのお披露目会みたいなライブが明後日の土曜日に行われるのである。
やっと決まったデビューだったがルークは複雑な問題が二つあった。
一つが自分で性格である。
もともと表舞台に立つと緊張してしまい動けなくなってしまうのだった。
つまり上がり症なのである…芸能界に入る者としては決定的な致命傷である。
一人だと駄目かもしれないが、グループでならいけるのでは…と考えた学園側だったが、
ルークの上がり症は相変わらず治らず…いつも舞台でヘマをしてしまっている。
仲間達は優しく接してくれているが…本心は呆れているに違いない…とルークは思っている。
「ったく…この前教えた観客を野菜と思えはどうだった?」
「腹が鳴った」
「じゃぁ…お前が勝手にゲーセンで取ってきたそこのチーグルのぬいぐるみと思うのは?」
「逆に無性にむかついた」
「…………じゃぁ、何で1万も使ってそいつら取って来たんだ…この屑が…」
「だってぇ~…男のプライドってやつ?」
ルークが拗ねた表情をしながらベッドの上にあったオレンジ色のチーグルぬいぐるみ(特大)を抱きかかえた。
これは先日ゲーセンに行った時に1万円使ってルークが取ってきたのだった。
ちなみにルークの部屋には水色のチーグルぬいぐるみ(特大)が居座っている。
むりやりそんなぬいぐるみを押しつけられ捨てればいいものを、アッシュは一応置いている。
何だかんだいいつつ兄のことを思っている…仲がいい(?)兄弟…である。
「やっぱ無理無理無理ッ!!俺には無理だぁ!!!」
「うっせーぞこの屑がっ!!!いい加減腹括りやがれ!!!」
この上がり症をどうすればいいか考えたがいい案が浮かばず…ルークはデビューが少し嫌になってきていた。
しかし、歌のレッスンやダンスのレッスンは真面目に通っているので…
複雑な気持ちなのだろう…
ここでデビューを断れば、自分にいろいろ教えてくれたヴァン師匠…歌を(可愛らしく)歌う練習に付き合ってくれたティア、
決めポーズの方法を教えてくれたガイ…手料理を作って差し入れとして持ってきてくれたナタリア…
衣装を作ってくれたアニス達に申し訳が立たないのがデビューを諦めきれない要因の一つだ。
(ちなみにジェイドが上がり症を治す薬をくれたが、アッシュに没収された)
アッシュと同じ世界に立ちたいという気持ちもあるのが正解だが…
しかし、ルークにはもう一つ土曜日のデビューで頭を悩ませているものがあった…
それは…
「上がり症のやつは何とかするとして…お前、同室の狼野郎とはどうなった?
今日も居心地が悪くなって逃げ出してきたんだろ?」
「うぐっ…おっしゃる通りです…」
デビューをした者は一般寮から特別寮へと移動をする…ルーク達はグループなので
グループ同士で相部屋となった…そこまではよかったのだが一緒の部屋になった相手が問題だった。
「何であのユーリと相部屋なんだよ…顔は綺麗だし、スタイルもいいし…身長高いし…
俺とあいつおんなじ人間なのかよって思う…」
「お前が屑なだけだろ…」
「うるせー…はぁ…」
芸能科でもトップクラスの成績を持つユーリ・ローウェル…
彼の人気はデビューをしていないのにデビューした者達より人気だ。
学園内外問わずファングループが居る…そんな彼と一緒にデビューできるのは光栄だったが、
自分との差がいろいろと見つけてしまい…悲しい気持ちになってくる。
彼ならばすでにデビューしても可笑しくないはずだが…何故デビューしていないのかは
学園の七不思議の一つである。
ユーリを見ていると憂鬱な気持ちにもなるがそれだけではなかった。
「何かユーリを見ていると胸が苦しく…いや熱く?なって…目と目が合うと恥ずかしくなって…
一緒にいるのが辛くなって…何で何だろう…俺病気なのかな…?やっぱり保健室に行くべきか?」
「保健室に行ってもお前のその馬鹿は治らねぇからやめろ…この鈍感無自覚野郎が…」
一緒の部屋に居ると辛いので最近ではほとんどをアッシュの部屋で過ごしている。
アッシュにしてはいい迷惑だろう…
しかし、こんな相談をできるのはアッシュやガイだけで…二人に相談をしたらものすごく苦い顔をされた為
他の人には相談をしていない…
一緒に居るのが辛いのにユーリはしつこくルークにちょっかいをかけてきたのでますます苦手になっていった。
「はぁ~…あー…もうすぐダンスの最終調整の時間なのに…会いたくねぇ…けどいかねぇと迷惑かかるし…
あー…どうしよう、どうしようアッシュ…」
「…ナタリアの飯でも食ってしばらくそのうざい口封印されてこい…」
「やだよ~…俺まだ死にたくねぇ…!!!」
二人ともナタリアに対してかなり失礼ですよ…
ルークが云々と悩んでいるとドアをたたく音がしたのですばやくルークはベッドにかくれた。
「アッシュ!!ユーリだったら俺はいねぇって言ってくれ!!!」
「……たっく、俺を巻き込むんじゃねぇ…」
と言いながらルークの靴を見えないところに隠し、部屋のドアを開けて来客に応対をする。
ルークは布団の中から誰が来たかを確認するために耳をすませると
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「なぁ、アッシュ…ルーク来てないか?もうすぐレッスンなのに部屋にいないらしいんだ…」
「…………あの屑ならここには居ないが?」
「えぇ~…じゃぁどこいったんだろう…思い当たる場所他にねぇのに…」
部屋を訪れたのは一緒にデビューする予定のロイドのようだ。
別にロイドなら見つかっても怖くはないのに…なぜアッシュはルークは居ないと嘘をついたのだろう…
ルークは訪問者がロイドとわかるとベッドを抜け出して玄関に顔を見せた。
「あ、ロイドごめん!!俺ならい…る…って…えぇ!!!???」
玄関にロイドが居た…だがその後ににやにやと悪いことを考えていそうな表情をしながら
立っているユーリの姿があったのだ…
「な、何でユーリも居るんだよ!!!ロイドの声しかしてねぇじゃん!!!」
「そりゃ俺ここに来てから声出してねぇしな…こんな単純な手に引っ掛かるとは流石お坊ちゃんだな…」
そう、これはユーリの作戦だった。
自分が訪問しても兄馬鹿であるアッシュに追い返されえるのは目に見えていたので、
ルークと仲が良いロイドに頼んでアッシュの部屋まで迎えに来た。
ロイドだけなら別に追い返す必要のないアッシュだったが、ユーリが居たから「居ない」と言ったのに…
見事にひっかかってしまったルークだ…。
「さーて…お坊ちゃんも見つかったことだし…行くとしますか…」
「へ?あ…え?ちょ…!!!」
ユーリはルークを軽々と肩に乗せるとそのまま一目散にどこかへと去って行った…
ルークの叫び声がものすごい勢いで遠くなるのでかなりのスピードなのがわかる。
「なぁ…アッシュ…あれって誘拐かな?」
「………一時間してレッスン室に現れなかったら…通報(フレンに)してくれ…」
その後通報(フレンに)されたユーリは御縄につき、ルークは無事解放されたとかされなかったとか…





「だああああああああっ…!!!何の対策も浮かばないまま今日になっちまったあああああああ!!!」
「る、ルーク!!!頭を掻き毟ったら髪型が乱れるからだめだよ!!!」
「うぐっ…じゃぁガイ!!頭かせっ!!!」
「な、何で俺なんだ!!!!」
クレスに注意されたルークは少し拗ねた顔をしたが、
相当いろいろと溜まっていたが髪を掻き毟りたかたが、セットが終わった自分の髪は触れなかった為
近くにいたガイの頭を変りに掻き毟り始めた。
ちなみに傍にはアッシュも居たが…そこは…ねぇ…
いろいろと…若い頃からオールバックだと髪が…「屑がっ!!!余計な心配してるんじゃねぇ!!!」
はい、すみません…。
保護者(特にルーク)兼今回のデビューするグループのリーダーであるクレスが心配そうにルークを見つける中
他のメンバーであるロイド、アスベル、ジュードは自分達の振り付けなどを再確認していたが、
ユーリだけは無償に苛立っているルークをじっとみつめていた。
「ユーリ…一応聞くけど…何を見ているんだい?」
「ん?…あいつの腰って殺人兵器だよな…へそなんかだしやがって…変な男に襲われたらどうするんだ…
衣裳係に言っておかねぇとな…」
「…………ユーリ以外にそんな物騒な考えする人いないよ…一応君もアイドルなんだから…
発言には気をつけてくれ…」
「へいへい…」
ユーリの幼馴染であるフレンはユーリの頭を指で軽く突いた。
今から本番…顔などに傷をつけるわけにもいかずこれくらいで我慢しているのだ…
本当はもっとブン殴りたい…
今日はついにやってきた6人のデビュー日。
衣装も着替え、メイクもしあとは自分達の順番を待つだけだが…
ルークが特に落ち着いていなかった…自分の上がり症を気にしているのだろう。
子供の頃やった学芸会で木の役をしたが、台詞がないのに緊張してヘマをして大恥をかいたことがある…
今回は自分達の自己紹介、歌にダンスまである…ルークは不安で仕方がなかった。
「だ、大丈夫…いっぱい、いっぱい練習したんだからっ…大丈夫…」
「練習のしすぎで逆効果もあるけどな…」
アッシュが小さく呟くがルークには届いておらず【人】という字を掌に描き必死になって飲み込んでいる…
喉がつまりそうなくらい飲んでいる。
「ルーク…ほら、行くよ。」
「ふえぇ!?あ、う…うん…」
アスベルに言われルークは慌てた。
見れば他のメンバー達はすでに舞台に向かって居た為急いで舞台へと向かう。
ソデから舞台へと出てみれば見渡す限り人…人…人…
メンバーが出てきた途端黄色い歓声が会場内に響き渡った。
自分の定位置にまで来たのはいいが…やはり緊張してしまい動けない…
「みんな、今日は僕達のデビューを見に来てくれてありがとう!!!」
リーダーであるクレスが会場のファンにお礼を言う。
打ち合わせ通りだ、ここからメンバー一人一人の自己紹介が始まる…
最初はクレス、次にロイド…そして…
「じゃぁ、次はオレンジ色がカラーであるルークだよ!!」
「ふ、ふぇ!?あ…えぇ!?」
そう、ロイドの次はルークの番だ。
いきなり自分の名前を呼ばれ変な声が出てしまった。
周りをみると自分の方に目が集中しているのがわかる…
あんだけ練習した自己紹介も頭が真っ白になり何を言えばいいかがわからない…
顔の温度がどんどん上昇していくのがわかる…
「あの…その…俺…ッ…」
ルークがマイクを握り締めて言葉にならない声を出していると
どこからか声が聞こえた。
「はい、赤毛の君のお名前は?」
「えぇ!?あ、えっと…ルーク…ルーク・フォン・ファブレ!!!」
「じゃぁ、身長と体重は?」
「えっと…この前の健康診断で…身長は171cmで…体重が68kg!!」
「好きな食べ物は?」
「あ、えー…チキンとエビ!!」
「じゃぁ…スリーサイズは?」
「えー…スリーサイズは………………ん?スリーサイズ?」
我に返り不可思議な質問をしてくる人物…そう、自分の横にいつの間にかいたユーリの方を見た。
その顔はニヤリと笑っているが相変わらず絵になっている…
「スリーサイズは?」
「なっ…男にそんなの聞くんじゃねぇよ!!何でそんなこと聞くんだよ!!」
「俺はただファンのみんなの心の声が聞こえたから、それを代弁しているだけだよ。
ほら、言えよスリーサイズ」
「そ、そんなの聞きたがるはずねぇだろ!!」
しかし観客席からは「言ってー♪」との歓声が聞こえる。
観客の味方はどうやらユーリなようだ…
「ほら、ファンのみんなも言って欲しいみたいだし言えよ。
わからないなら俺が今すぐ測ってやろうか?」
マイクを持っていない右手の指が意気揚々と動き出す…
やるきだ…こいつならこの場でやりかねない…
とルークは身の危険を感じた。
「ろ、ロイド!!助けてくれ!!」
傍にいた仲のいいロイドの後にかくれるが…
神は助けてくれなかった。
「男のスリーサイズってどうやって測るんだ?」
「疑問に思うのはそこかよ!!」
このままだとロイドまでユーリ側についてスリーサイズを測ろうとするに違いないが…
ここで本当の神の助けが入った。
「はいはい、3人共そこまで。今はルークの自己紹介の番なんだからね。
ほら、ルーク…大丈夫かい?」
クレスが優しくルークの頭を撫でた。
クレスは同じ歳のはずだが…時々お兄さんのように思えた。
「あ…うん…ごめん…」
「謝らなくていいよ、自己紹介…続きできるかい?」
ふと周りを見ればアスベル、ジュードが小さく笑いマイクに入らないくらい小さな声で
【がんばれ】と言ってくれた。
それだけでルークはなんだか今までもやもやしていた心が少しずつ晴れていく気がする…
「身長171センチ、体重68キロでエビとチキンが好きでスリーサイズは秘密なルークお坊ちゃん。
自己紹介俺が手伝いましょうか?」
「いらねぇーつーの!!一人でできるし!!」
いつのまにか緊張していた心が無くなっている。
あまり認めたくはないがそのきっかけを作ってくれたのは他ならぬユーリだった。
ファンのみんなからも「がんばってー!!」と声が聞こえた。
「えっと、慌ててごめんな!!改めまして俺の名前はルーク。
ルーク・フォン・ファブレ!!カラーはオレンジ色が俺の色なんだ!!
俺、上がり症で…馬鹿で…いろいろとヘマとかもするけど。
がんばって変るからみんな応援よろしくな!!」
深いお辞儀をすると観客から拍手があがった。
他のメンバーからも拍手をしてくれているのがわかる…
なんだかルークは照れくさくなって頬を染めると観客から黄色い歓声があがった。
「じゃぁ、次はブラックがカラーのユーリ!!」
クレスがユーリの名前を呼ぶと観客から今までにないくらい大きな歓声があがる。
これが自分とユーリの差…
ファンに向かって話すユーリの姿はかっこいい…認めたくないが。
少し自信を持ち始めたルークはユーリに対しても正面を向いていこうと思った…
一緒に居て何故かつらいけど…ユーリともっと話をすればそれがわかるかもしれない…
そう思ったからだ。
自己紹介が終わったユーリと目が合った。
やっぱり目が合うと顔が真っ赤になり、心臓がドキドキと動き出す…
またいつものように目を逸らしてしまうとユーリが小さなため息をついたのがわかる。
普段ならそこで終わっていたが、今日は違っていた。
「あの…その…あ、ありがとう…」
下を向いていたが真っ赤にした顔でユーリに向かってお礼を言う…
マイクの電源は切ってあるのでユーリにしか聞こえていないはずだ。
ユーリは驚いた顔をして何かを言いかけたが…
みんなの自己紹介が終わり曲が始まってしまった為ユーリが何を言いたかったのかはわからなかった。





「おいユーリ!!何やってるんだよ!!離せってば!!!」
「うるせー…黙ってついてこい…」
ライブは無事終了…メンバー達はソデに引いたが舞台から見えなくなった途端
ユーリはルークの手を握り一目散にその場を離れた。
他のメンバー達の声が聞こえたがそんなの無視だ。
ルークの心臓は何故か止まらない…ユーリに握られている手は温度を上げて行く。
離せと言うが離してくれる気配はない。
さきほど舞台でヘマをしたことにたいして怒っているのだろうか…?
不安だけがルークの中を駆け抜けていく。
舞台裏の誰もいない場所に来るとユーリはルークを壁側へと押しつけた。
「いたっ…おい…なんだ…よ…」
ユーリの瞳を見ると何時になく真剣な表情…
女でなくても頬を染めてしまいそうなくらい綺麗で…
ルークの心臓の音は強くなるばかり。
ユーリにまで聞こえてしまいそうなくらい動いている。
ユーリは何も言わずにルークを抱きしめた。
いきなりのことでルークの頭の中はパニック状態になっている。
「ちょ…ユーリッ!!な、何!?え?ちょ…やめろってばっ!!!」
「うるせー…あんな顔されて…我慢できる男なんて…男じゃねぇよ…」
ユーリの腕はますます強くなるばかり…
何を言ってもユーリはまともな返事をしてくれない。
どれくらい時間が経ったのだろう…ユーリがやっと少しだけ腕を緩めてくれた。
「………いきなりすまない。」
「え…いや…あの、その…我慢って…俺に対して何を我慢してたんだ?」
「………………。」
ユーリは何も返事をしなかった。
やはり自分が避けていたことにたいしての不満だろうか…
もうヘマばかりするルークに対しての怒りだろうか…
そんなことばかり浮かび憂鬱になる。
「ごめ…ユーリ…同室のやつに避けられてたら…嫌だよな…ほんとごめん。」
少し涙を浮かべながらルークはユーリに対して謝罪をする。
小さい声でごめん…と何度も呟く姿にユーリは渋い顔をみせた。
「ばか…ちげぇよ…そんなこと気にしてない。あー…もう、フレンに止められてたが
どうでもいい…ルーク…いいかよく聞け。」
「え?あ、うん…」
「俺はお前のことが好きなんだ」
「…………………は?」
予想外の言葉にルークは言葉を失うが言葉の意味を理解すると
顔がまた赤くなりはじめた…今日だけでどれだけ体温変化をしているのだろう。
「嫌だったデビューを了承したのも…お前がこのメンバーに居たからだ。それくらい好きなんだ。
お前だって俺のこと好きだから逃げてたんだろ?」
「お、俺がユーリのことを……好き?」
【好き】と言う言葉が鍵になり、ルークの中にあった最後の靄が綺麗に晴れた。
あぁ…そうか、自分はユーリのことが好きだったんだ。
だから胸がドキドキしたり、苦しくなったり…
何だそうか…そうなんだ…
ルークはユーリに抱きついた。
後ろに倒れそうになったユーリだったが、なんとか持ちこたえてルークを支えた。
「うん、俺も…ユーリのことが好き…やっとわかった…大好きなんだ…」
「はははっ…気がつくのおせぇよ…」
そして二人はお互いの唇を合わせる。
初めてのキスはレモンのように酸っぱいのかと思っていたが…
何故か甘かった。
そんな二人を物陰から見守る数名の姿が見られた。
「え…えぇ~…なぁ、クレス…うちの学園って恋愛禁止だよな?」
「うーん…ロイドの言うとおりだけど…男同士だから校則違反にはならないのかな?」
「もともと同性同士の前提の下で作られているわけじゃない気がするんだが…」
「お、俺達こんなところ見てていいの!?」
「やっと気が付きやがったか…あの屑め…」
「なぁ、何時とめに入るんだ?」
「そろそろ止めないとルークが食べられてしまう…
あ…やばい。手を出し始めた!!!」
あわててフレンが物陰から飛び出しユーリに蹴りを入れて襲われていたルークを救い出すが、
友人達に見られていたのを知ったルークは顔を真っ赤にして気絶した。
その後アッシュの部屋にあるカレンダーには
赤・オレンジ・黒のスケジュールが書かれるようになった。


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蒼野 那月
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