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旭屋本舗
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今日はめずらしくディセンダーのアレン、フレン、ユーリそしてルークの4人で
クエストに出かけていた。
アレンがビショップなのでバランスが良いと言えばよいが、
このメンバーで出かけることはめったにない。
そんなめずらしいメンバーでのクエストだったが、思いのほか順調に進み
夕方にはバンエルティア号に帰宅していた。
けどその途中の街でアレンが珍しいものを見つけた。
「なぁ…ルーク…あれ何だ?」
「あぁ?あー…あれは……。」






お化け屋敷×恐怖×7





街にあったのは大きな出し物小屋。
看板には不気味な文字で【Haunted house】と書かれている。
「なぁ…何て読むんだ?」
生まれたばかりのディセンダーアレンは見たこともない異国の文字に興味深々だ。
隣に居た髪の長いルークの裾をひっぱり先ほどから質問攻めだ…いつものことだが…。
「あー…あれは…えっと…つまりだな……」
「直訳すると…お化け屋敷ですね」
ルークの斜め後ろに居たフレンがこっそりと助け舟を出す。
顔もガイにそっくりだが、最近はルークへの世話も似てきているようだ。
「そう!!お化け屋敷だ!!」
「お化け屋敷って何だ?」
「え?あー…あー…うーん…………フレン任せた。」
「他人任せかよ…流石お坊ちゃんだな…」
「うっせー!!大罪人が!!お前説明できるのかよ!!」
3人から少し離れたところで様子を見ていたユーリにルークがいつものように
怒りを表し喧嘩を始めた。この光景はバンエルティア号内ではいつもの風景だが、
普通の街中ではただの喧嘩にすぎないのでフレンが慌てて二人の間に入り喧嘩を止めた。
「まぁまぁ二人とも…お化け屋敷というのは人がお化けに変装して怖がらせるものですよ。
 本来なら夏の風物詩ですが…ちょっと時期外れな気もしますね」
「へー…何か面白そうだな。」
「そうか?俺腹減ったしかえろうぜー」
お化け屋敷に興味が無くなったのかルークがその場から離れようとしたが、
ユーリの一言によってその足は止められた。
「お坊ちゃんは怖いからお化け屋敷に入りたくないんだな…」
「あぁ?何だと…誰が怖いんだ誰が!!」
また喧嘩を始めようとする二人を必死になってフレンが宥める。
クエストの時はこんな喧嘩などほぼなかったが…溜まっていたのかユーリがここぞとばかりに
ルークにちょっかいを掛け始める。ルークを構いたかったんですねユーリさん。
「怖くないのなら入ればいいだろ?二人で一緒に入るらしいし…証明してみせろよ。」
「いいぜ!!入ってやろうじゃねぇか!!」
ユーリがニヤリと笑った。
ルークの性格を解りきった上での誘い方…流石エローウェルさんです…
だが、それの上を行くのが天然という存在だった。
「そうときまれば一緒にはいるぞルー…「よし、フレン!!一緒に入るぞ!!!」
「「は?」」
ユーリがルークを誘おうとした瞬間ルークから名指しでフレンにご指名が入った。
予想外の出来事にユーリは顔をひきつらせている。
「をい…お坊ちゃんよ…何でフレンなんだ?話の流れ敵に俺と入るのが妥当だろ…」
「お前と入ったらイカサマして驚かせるかもしれねぇーじゃん。
 いいか、アレン…ユーリがびびってねぇかしっかり見ておくんだぞ!!」
「りょーかい!!」
ユーリを見はっているようにアレンにしっかりと指示を出すルーク。
そんなルークの後ろ姿をユーリは眺めながら隣で苦笑いをしている幼馴染であるフレンを睨みつける。
「よーし…じゃぁフレン行くぞ!!」
「え?あ…ルーク様お待ちください!!」
フレンの腕を掴み意気揚々とお化け屋敷の中に入っていくルーク…そしてフレン。
そんな二人の背中を見守りながらユーリは深いため息を付く。
「ユーリ……日ごろの行いってやつ?」
「……アレン、お前何処でそんな言葉覚えた…」




お化け屋敷に入ると中は真っ暗で小さな光だけが足元を照らし道を示す。
中に入ってからずいぶん時間が経ったが、ルークとフレンはなかなか前へとすすめずにいた…
それもそのはずルークがフレンの後に隠れマントを引っ張りながら恐る恐る進んでいたのだから。
「ふ、フレン…ぜってー置いていくなよ…」
「大丈夫ですよルーク様…あ、あそこに脅かし役が隠れているようですね…気を付けてください。」
「お、おう……」
お化け屋敷で驚かされるところを先に教えるのもどうかと思うが…これもフレンの優しさなのだろう…
ユーリと組んでいたら確実にからかわれ遊ばれていた…それも見てみたかったが…
おずおずと前へ進んでいるとルークの後から人の気配が感じ取れた。
慌ててルークが首を後に振り向くと誰も居ない…気のせいかと思い少しずつ進んでいると
急に耳元に生温かい風があたった。
「ひゃあああああっ!!!!やだっ!!フレン!!何かでた!!!!!!
 お、お化けっ…!!!お化け!!!!」
「ええぇ!?ルーク様大丈夫ですか…って…ルーク様…お化けではないですよ…」
「え?」
泣きそうになりながらフレンにしがみついていたルークは恐る恐る後を振り向くと
そこには笑いをこらえながら立っているユーリと少し寂しそうに頭の触角を垂らしたアレンが立ってた。
「耳元に…ッ息吹きかけただけなのにっ…あー…やっべ…お前最高だな…」
「ルーク…俺居たのに振り向いても気がついてくれねぇーんだもん…」
そう、最初に人の気配を感じ振り向いた正体はアレンだった。
しかしアレンの身長は154cm暗闇で視界が良くないこの場ではアレンの姿を視界に入れることができなかった。
そして次にルークの耳元に吹きかかった生温かい風はユーリの息。
ユーリが怖がっているルークの傍に近寄り息をそっと吹きかけたのだ…21歳の悪戯とは思えないほど低レベルだ。
「わ、わざと怖がってやったんだよ!!ってか何でお前らこんなところに居るんだ!!
 俺らより後から入っただろ!?」
「お前らが入った5分後にな…けどお前らの歩くスピードが遅くて追いついたんだよ」
「え…」
「お化け屋敷って変ってるよなー…何か『わっ!!』とか言ってくるんだよー。
 あれが今ブームなのか?」
しまった…とルークは心の中で呟いた。ある意味このペアは最強だった。
怖いもの知らずの21歳ユーリ、そして生まれたばかりで物知らず最強のディセンダー…
この二人ならこの程度のお化け屋敷散歩のような歩みで通りすぎることができる…
フレンではなくアレンをペアで選べばよかったのだ。
「まぁ、お坊ちゃんは怖がりってことが解ったし…さっさと出るか」
「こ、怖がってねぇ!!あれはわざと……ッつう!!!!」
ルークがいきなり頭を押さえ苦しみながら地面に座り込んだ。
その姿にユーリとフレンが慌ててルークへと駆け寄る。
「ルーク様大丈夫ですか!?」
「おい、しっかりしろ!!………いつもの頭痛か?」
「あぁ…そう見たいだ…けど………何かいつもと…違う気が…っく!!!」
ルークはまた頭を押さえ顔を下に向けて苦しみだした。
その姿にユーリとフレンは慌てるが、アレン一人が何かを見つけたらしくずっとそちらを向いていた。
「なぁ…ユーリあれなんだ?」
「あぁ?今それどころじゃ……………………なっ!?」
アレンが指を指した方に立っていたのは朱毛の青年。
髪は長く色はルークとアッシュを足したような赤をしている…どちらかと言うと朱に近い気もした。
そして青年の瞳は双子と同じ碧。
こんな珍しい組み合わせの人間はライマ国の王家を覗いてほぼいないはずだ…
しかも青年からは生というオーラが全く感じられない…何者かが全く見当がつかないでいた。
ユーリとフレンがルークを守るように剣に手を取るが、謎の青年が小さく笑ったので二人は戸惑いを見せる。
その笑顔はたまに笑うルークと同じ顔…ルークとはどのような関係か…謎は深まるばかり…
そんな青年を警戒していると青年の口がゆっくりと動いたが、声がユーリとフレンには全く届いていない。
しかし、アレンには聞き取れたようだ…首をうんうんと動かし聞いている。
「お、おい…アレン…何て言ってるんだ?」
「ん?『いつも我が半身を助けてくれ礼を言う』だってさ」
「は、半身って…あ…」
フレンがアレンの話を詳しく聞こうとした時、謎の青年は小さな光の粒となって姿を消してしまった。
「な、なぁ…フレン…もしかして今の………」
「あぁ……もしかしたら…本物の…」
「お化け?」
「っツ!!!!!!!????」
ユーリとフレンが声にならない声で驚いていると、頭痛のせいで座っていたルークが元気よく立った。
「いってー…何なんだよ…こんな時に頭痛なんて…あ?お前らどうかしたか?」
ルークは見ていなかったのか固まっている二人を見て首をかしげたが
二人は何も言わずルークの腕を掴みお化け屋敷を出た。
そしてそのままバンエルティア号に戻り食堂から大量の塩を持ちだしルークの頭にかけるユーリとフレンが居た。
あの後アレンにあの青年のことを聞いたが、本人もよく解っていないらしく…ただ一言。
「いつもルークの傍にいるって言ってた」
と、ユーリとフレンの背中を寒くさせる言葉しか出なかった。

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