旭屋本舗
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ユーリはすべての荷物を鞄につめ、机に置いてあった銀色の魔導器を手にした。
これはナイレンから最後に貰った魔道器…これがなければガリスタも倒すことができなかっただろう…
複雑な思いを胸にし左腕に着けているとドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ…」
「ユーリ…ルーク隊長知らないか?」
ユーリの部屋に入ってきたのは副隊長のユルギスだった。
騎士団中を探しまわっているのか息が切れている。
「ルーク…?いや、今日は会ってないけど?」
「そうか…どこに行ったんだろう…しょうがない…ユーリ頼みがある…」
困ったようにため息を付くとユーリに近づきラッピングされた箱をユーリに手渡した。
「これは?」
「ナイレン隊長からの預かりものだ…ナイレン隊長がメンテナンスに出してて…
それが今届いた…ルークに渡して欲しい。」
「ルークに?ナイレン隊長の墓前にでも置くべきだろ?」
ユルギスは何も言わずにラッピングされた箱を指を差したので
見てみるtメッセージカードが付いており、【Dear Luke】と書かれている。
これはナイレンからルークへの最後の贈り物…
「ユーリ…君から渡して欲しい…話すこともいっぱいあるだろうし…
隊長に何も言わず出て行くつもりだったのだろう?」
ユルギスに先を読まれていた為苦笑いをするとユルギスは呆れた表情をする。
先日まで仲が良かった二人だが…ここ数日すれ違ってばかり…
いや、お互いが避けているような気がした。
「じゃぁ、頼むよ…僕は街の片付けを手伝ってくるから…」
「へいへい…」
ユルギスが部屋を出たのを確認するとユーリは持っていく予定だった
荷物を部屋の角に置きドアを閉めたのを確認しルークを探し始めた。
その後姿を物陰から一人の人間が見ていたが…ユーリはそれに気がつかなかった…。
シアワセノ唄【TFS10】
「ったく…あいつ何処に居るんだ…?」
食堂、中庭、ナイレンの部屋そして犬小屋などを探したが一向に見つかる気配がない。
街に出てしまっているのだろうかと思ったが、それならユルギスが知らせにくるはずだ…
となるとやはりこの騎士団の中…残るは各自の部屋だけ。
他人の部屋を勝手に覗きこむのは流石に心が痛むので、
街で出てユルギスに許可を貰おうと足を向けたが、ユーリが使っている部屋のドアが開いていることに気がついた。
部屋を出た時確かにドアを閉めたのを覚えている…まさか…
ドアをゆっくりと開けるとユーリが使っているベッドに朱色の塊が寝転がっているのを発見した。
ユーリの使っていた枕を大事そうに抱きかかえながら…
「ったく…もうベッド使わねぇから綺麗にしたのに…お前が直せよな…」
「……………俺…退職願受理してねーし……」
「ユルギスが押してくれたから受理になってる」
「あいつ…あとで説教してやる…」
ユーリの方を向こうとしないルーク。
仕方がないのでルークの身体を無理矢理起こし自分の方へと身体を向かせるが、
その顔は拗ねた子供のような表情…抱きかかえた枕に顔を埋めユーリの顔を見ようとしない。
このままでは話ができないのでユーリは枕を奪い取るとルークの顔をしっかりと掴み、
自分の方を向かせた。
「これ…隊長からお前へのプレゼント…」
「父上から…?」
拗ねていた表情から一変し、嬉しそうに手渡された箱を開けるとそこには見覚えのある魔道器が入っていた。
「ん?これ壊れたって言ってた隊長の魔導器じゃねぇか?」
「あぁ…ん?何かカードに書いてある…『隊長昇格おめでとう』父上…」
箱に入っていたのは長年ナイレンが使っていた金色の魔導器。
壊れたのではなくルークにあげるためにメンテナンスに出していたのだ…
味なことをする男だ。
「よかったな…」
ルークの頭を久しぶりに撫でてやると嬉しそうな表情を見せるが、
我に帰りユーリを睨みつけた。
「…………何で騎士団止めるんだよ。俺を守るんじゃねぇのかよ…傍に居ろよ…」
傍にあったユーリの手を軽く掴むと少し涙を浮かべた瞳でユーリを見つめる。
その行動に男心が揺らぐが、ユーリの決意は変わらなかった。
「……悪い。決めたことだ…」
「嘘つき…出て行くなら俺が納得する理由をいいやがれ…」
「…………解った。」
ユーリが騎士団を出て行くことになってから何度も聞きたかった訳…
けど怖くて聞けなかった…話をすると聞いてしまいそうで怖かった…
だからルークはここ数日ユーリを避けてしまっていたが、
今聞かないと今後聞くことができない気がした、そしてもう二人の関係は戻れない…そんな気がした。
「俺が此処を出て行く理由…お前を守る為だ」
「は?な、何で俺を守るのに出て行く必要があるんだよ…傍に居ないと守れないだろ?」
ユーリは辛そうな表情を見せるがルークの頭を優しく撫でると続きを話した。
「俺は弱い…今回のガリスタの件でそれを思い知った…お前を守るにはもっと強くならないと…
強くなるにはここじゃ駄目だ。外に出て思いっきり修行しねぇとな…」
「お前は弱くなんか…お、俺が鍛えてやるからっ…!!!」
「それじゃぁ駄目だ…本気で強くなりにいかねぇとな…けど安心しろ…俺は騎士団の外からお前をずっと守るし、
お前を守れるくらい強くなったら、絶対迎えに来る…」
「嘘だ…だってお前嘘つきだもん…信じられねぇ…」
自分の信用度がかなり落ちていることに苦笑いを浮かべると、
ユーリは左腕に着けていたナイレンから貰った魔道器を外しルークの手に渡した。
「ルーク…これを預ける…俺の宝物だ…お前を迎えに来た時に返してほしい…」
「ユーリ…」
「それと………」
ユーリは何も言わずルークを抱きしめた。
優しく…けど何処にも行かせないくらい強く…そしてルークの耳元で小さく呟いた。
「お前を迎えに行った時………………………………………結婚してくれ。」
その言葉にルークは顔を真っ赤にさせた。
何か返事をしないと…返事なんて決まっているのに…言葉が出ない…
ルークは仕方がないので小さく頷いた。
その行動にユーリは満足しルークの頬にキスを落とした。
「じゃ…じゃぁ…俺からも約束…」
「ん?」
ナイレンから貰った金色の魔導器をユーリの左腕に着けると二コリと笑った。
「俺……信じて待ってるから…お前が迎えに来てくれるのを…
迎えに来てくれた時…その魔導器返してくれ…約束な。」
ルークはユーリから預かった銀色の魔導器を左腕に着けると
顔を赤くしながらユーリを見つめる…
それはまるで婚約指輪…二人だけの将来の約束…
「ははは…面白いことするなお前は…解った…お前に絶対これ返すから…待ってろよ。」
「あぁ…待ってる…あ、それとこれ…」
ルークがユーリに手渡したのは銀色のロケットだった。
ロケットの蓋を開けてみるとロケットから唄が流れ始めた…
そう、その唄はいつもルークが唄っている名もない唄。
「これ…俺が騎士団に入った時父上に上げたんだ…大切な人に贈り物したくて…
今俺の大切な人はユーリだから…お守り代わりに持っててくれ。」
「あぁ…わかった…大切にするよ…じゃぁ、そろそろ行くわ…」
「うん…まぁ、俺もしばらくしたらまた帝都に戻るし…ちょっとだけ御別れかな?」
ユーリは最後にルークの頬にキスをすると、お返しとばかりにルークが頬にキスをしてくれた。
顔を少し緩めながらユーリは部屋を後にした。
ラピードを連れて騎士団を出て街を歩いていくと、騎士団のメンバー達そして街の人々が別れのあいさつをしてくれたので
一人一人に手を振っていると街の出口でフレンが立っていることに気がついた。
「ルーク隊長とは話できたかい?」
「………お前の差し金かよ。まぁ、今回は礼を言うぜ…」
二人はお互いを見つめあうと小さく笑い、
ラピードが足元で首をかしげて見つめている。
「フレン…お前は強いな…俺には真似できねぇ…」
「君もね…僕は騎士団に残ることで隊長が目指していたことを追いかけるよ…ルーク隊長のもとでね…」
「………ルークのこと頼むわ。絶対迎えに来る。」
「あぁ…それまで僕が守るよ…君みたいに上手く守れないけど…」
お互いに強い握手で友情を確かめ合うとユーリは街の外へと足を踏み出した。
それはこれからの未来への第一歩…自分の未来を掴むための大切な一歩だ。
ふと、街の中から唄声が聞こえてきた。
誰が唄っているのか…そんなのこんな綺麗な唄を歌うのは一人しかいない…
けど今までの唄とは違う唄…ユーリはその唄声を心に刻み歩き出した。
光ハ影ノ 影ハ光ノ
果テマデ付イテ行クノダロウ…
僕ガ笑ッテ生キテイタノナラ
鐘ヲ鳴ラシテ君ニ知ラセヨウ…
「……ユーリ…ユーリってば…起きろ!!!」
「ん?ルーク…?」
「ったく…こんな日にまでぐーすか寝るなんて…流石ユーリだな…」
ルークに起こされしぶしぶ身体をベッド起こし大きな欠伸をすると、ルークから大きなため息が出た。
「しょーがねぇだろ…昨日騎士団のやつらが返してくれなかったんだから…」
「言いわけはきかねーし。まぁ遅刻しなかっただけよしとするか…」
「当たり前だろ?こんな綺麗なお前の姿…見過ごすわけにはいかねぇし…」
「………うるせー…エローウェル…」
ユーリがまじまじとルークの姿を見るとルークは頬を染めてそっぽを向いた。
普段は騎士団隊長の格好と男と間違われるような私服しかきていないルークだったが、
今日だけは違った…まっ白い純白のドレスに身を包み少し照れているのが解る。
ユーリもまた普段の露出の高い私服ではなく、まっ白いタキシード…首元までしっかりと止まっている。
「ったく……エステル様と駆け落ちした時はどうなることかと思ったぜ…」
「誰が駆け落ちだ誰が…それを言うならお前だってアレクセイ何かに捕まりやがって…」
「あ、あれは……まぁいいや…これからは四人で暮らすんだしな…」
「…………は?四人?」
ユーリの横に座ったルークの言葉にユーリは言葉を失った。
これからは二人で暮らして行く…それならまだ解る…だが四人…とは?
手が早いと思われがちなユーリだが、ルークには一切今まで手を出していない。
神に誓って過ちを犯していない。
それなのに……どういうことが全く見当がつかなかった。
「おい……どういう意味だ?お前まさか………想像にんしn……」
「お前馬鹿だろ……ちげーよ…今日夢で見たんだよ…二人の子供とお前と…一緒に暮らす夢をな…」
「あぁ…そういうことか…」
ルークの予言は未だに健在だ。
最近は昔に比べ見る回数は減っているようだが…それでもたまに見るらしい…
しかも的中率100%…これはこれですごいことだ。
「そういうことで、しっかり稼げよ…」
「……お前の方が稼いでるだろ…まぁ、カロル先生にがんばって貰わないとな…」
二人で小さく笑うと軽くお互いの唇にキスを落とした。
左腕を良くみればドレスとタキシードには似合わない魔道器が着けられている。
ルークは金色の、そしてユーリは銀色の魔導器がまるで二人を祝福しているかのように
キラキラと輝きを放っていた。
End
これはナイレンから最後に貰った魔道器…これがなければガリスタも倒すことができなかっただろう…
複雑な思いを胸にし左腕に着けているとドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ…」
「ユーリ…ルーク隊長知らないか?」
ユーリの部屋に入ってきたのは副隊長のユルギスだった。
騎士団中を探しまわっているのか息が切れている。
「ルーク…?いや、今日は会ってないけど?」
「そうか…どこに行ったんだろう…しょうがない…ユーリ頼みがある…」
困ったようにため息を付くとユーリに近づきラッピングされた箱をユーリに手渡した。
「これは?」
「ナイレン隊長からの預かりものだ…ナイレン隊長がメンテナンスに出してて…
それが今届いた…ルークに渡して欲しい。」
「ルークに?ナイレン隊長の墓前にでも置くべきだろ?」
ユルギスは何も言わずにラッピングされた箱を指を差したので
見てみるtメッセージカードが付いており、【Dear Luke】と書かれている。
これはナイレンからルークへの最後の贈り物…
「ユーリ…君から渡して欲しい…話すこともいっぱいあるだろうし…
隊長に何も言わず出て行くつもりだったのだろう?」
ユルギスに先を読まれていた為苦笑いをするとユルギスは呆れた表情をする。
先日まで仲が良かった二人だが…ここ数日すれ違ってばかり…
いや、お互いが避けているような気がした。
「じゃぁ、頼むよ…僕は街の片付けを手伝ってくるから…」
「へいへい…」
ユルギスが部屋を出たのを確認するとユーリは持っていく予定だった
荷物を部屋の角に置きドアを閉めたのを確認しルークを探し始めた。
その後姿を物陰から一人の人間が見ていたが…ユーリはそれに気がつかなかった…。
シアワセノ唄【TFS10】
「ったく…あいつ何処に居るんだ…?」
食堂、中庭、ナイレンの部屋そして犬小屋などを探したが一向に見つかる気配がない。
街に出てしまっているのだろうかと思ったが、それならユルギスが知らせにくるはずだ…
となるとやはりこの騎士団の中…残るは各自の部屋だけ。
他人の部屋を勝手に覗きこむのは流石に心が痛むので、
街で出てユルギスに許可を貰おうと足を向けたが、ユーリが使っている部屋のドアが開いていることに気がついた。
部屋を出た時確かにドアを閉めたのを覚えている…まさか…
ドアをゆっくりと開けるとユーリが使っているベッドに朱色の塊が寝転がっているのを発見した。
ユーリの使っていた枕を大事そうに抱きかかえながら…
「ったく…もうベッド使わねぇから綺麗にしたのに…お前が直せよな…」
「……………俺…退職願受理してねーし……」
「ユルギスが押してくれたから受理になってる」
「あいつ…あとで説教してやる…」
ユーリの方を向こうとしないルーク。
仕方がないのでルークの身体を無理矢理起こし自分の方へと身体を向かせるが、
その顔は拗ねた子供のような表情…抱きかかえた枕に顔を埋めユーリの顔を見ようとしない。
このままでは話ができないのでユーリは枕を奪い取るとルークの顔をしっかりと掴み、
自分の方を向かせた。
「これ…隊長からお前へのプレゼント…」
「父上から…?」
拗ねていた表情から一変し、嬉しそうに手渡された箱を開けるとそこには見覚えのある魔道器が入っていた。
「ん?これ壊れたって言ってた隊長の魔導器じゃねぇか?」
「あぁ…ん?何かカードに書いてある…『隊長昇格おめでとう』父上…」
箱に入っていたのは長年ナイレンが使っていた金色の魔導器。
壊れたのではなくルークにあげるためにメンテナンスに出していたのだ…
味なことをする男だ。
「よかったな…」
ルークの頭を久しぶりに撫でてやると嬉しそうな表情を見せるが、
我に帰りユーリを睨みつけた。
「…………何で騎士団止めるんだよ。俺を守るんじゃねぇのかよ…傍に居ろよ…」
傍にあったユーリの手を軽く掴むと少し涙を浮かべた瞳でユーリを見つめる。
その行動に男心が揺らぐが、ユーリの決意は変わらなかった。
「……悪い。決めたことだ…」
「嘘つき…出て行くなら俺が納得する理由をいいやがれ…」
「…………解った。」
ユーリが騎士団を出て行くことになってから何度も聞きたかった訳…
けど怖くて聞けなかった…話をすると聞いてしまいそうで怖かった…
だからルークはここ数日ユーリを避けてしまっていたが、
今聞かないと今後聞くことができない気がした、そしてもう二人の関係は戻れない…そんな気がした。
「俺が此処を出て行く理由…お前を守る為だ」
「は?な、何で俺を守るのに出て行く必要があるんだよ…傍に居ないと守れないだろ?」
ユーリは辛そうな表情を見せるがルークの頭を優しく撫でると続きを話した。
「俺は弱い…今回のガリスタの件でそれを思い知った…お前を守るにはもっと強くならないと…
強くなるにはここじゃ駄目だ。外に出て思いっきり修行しねぇとな…」
「お前は弱くなんか…お、俺が鍛えてやるからっ…!!!」
「それじゃぁ駄目だ…本気で強くなりにいかねぇとな…けど安心しろ…俺は騎士団の外からお前をずっと守るし、
お前を守れるくらい強くなったら、絶対迎えに来る…」
「嘘だ…だってお前嘘つきだもん…信じられねぇ…」
自分の信用度がかなり落ちていることに苦笑いを浮かべると、
ユーリは左腕に着けていたナイレンから貰った魔道器を外しルークの手に渡した。
「ルーク…これを預ける…俺の宝物だ…お前を迎えに来た時に返してほしい…」
「ユーリ…」
「それと………」
ユーリは何も言わずルークを抱きしめた。
優しく…けど何処にも行かせないくらい強く…そしてルークの耳元で小さく呟いた。
「お前を迎えに行った時………………………………………結婚してくれ。」
その言葉にルークは顔を真っ赤にさせた。
何か返事をしないと…返事なんて決まっているのに…言葉が出ない…
ルークは仕方がないので小さく頷いた。
その行動にユーリは満足しルークの頬にキスを落とした。
「じゃ…じゃぁ…俺からも約束…」
「ん?」
ナイレンから貰った金色の魔導器をユーリの左腕に着けると二コリと笑った。
「俺……信じて待ってるから…お前が迎えに来てくれるのを…
迎えに来てくれた時…その魔導器返してくれ…約束な。」
ルークはユーリから預かった銀色の魔導器を左腕に着けると
顔を赤くしながらユーリを見つめる…
それはまるで婚約指輪…二人だけの将来の約束…
「ははは…面白いことするなお前は…解った…お前に絶対これ返すから…待ってろよ。」
「あぁ…待ってる…あ、それとこれ…」
ルークがユーリに手渡したのは銀色のロケットだった。
ロケットの蓋を開けてみるとロケットから唄が流れ始めた…
そう、その唄はいつもルークが唄っている名もない唄。
「これ…俺が騎士団に入った時父上に上げたんだ…大切な人に贈り物したくて…
今俺の大切な人はユーリだから…お守り代わりに持っててくれ。」
「あぁ…わかった…大切にするよ…じゃぁ、そろそろ行くわ…」
「うん…まぁ、俺もしばらくしたらまた帝都に戻るし…ちょっとだけ御別れかな?」
ユーリは最後にルークの頬にキスをすると、お返しとばかりにルークが頬にキスをしてくれた。
顔を少し緩めながらユーリは部屋を後にした。
ラピードを連れて騎士団を出て街を歩いていくと、騎士団のメンバー達そして街の人々が別れのあいさつをしてくれたので
一人一人に手を振っていると街の出口でフレンが立っていることに気がついた。
「ルーク隊長とは話できたかい?」
「………お前の差し金かよ。まぁ、今回は礼を言うぜ…」
二人はお互いを見つめあうと小さく笑い、
ラピードが足元で首をかしげて見つめている。
「フレン…お前は強いな…俺には真似できねぇ…」
「君もね…僕は騎士団に残ることで隊長が目指していたことを追いかけるよ…ルーク隊長のもとでね…」
「………ルークのこと頼むわ。絶対迎えに来る。」
「あぁ…それまで僕が守るよ…君みたいに上手く守れないけど…」
お互いに強い握手で友情を確かめ合うとユーリは街の外へと足を踏み出した。
それはこれからの未来への第一歩…自分の未来を掴むための大切な一歩だ。
ふと、街の中から唄声が聞こえてきた。
誰が唄っているのか…そんなのこんな綺麗な唄を歌うのは一人しかいない…
けど今までの唄とは違う唄…ユーリはその唄声を心に刻み歩き出した。
光ハ影ノ 影ハ光ノ
果テマデ付イテ行クノダロウ…
僕ガ笑ッテ生キテイタノナラ
鐘ヲ鳴ラシテ君ニ知ラセヨウ…
「……ユーリ…ユーリってば…起きろ!!!」
「ん?ルーク…?」
「ったく…こんな日にまでぐーすか寝るなんて…流石ユーリだな…」
ルークに起こされしぶしぶ身体をベッド起こし大きな欠伸をすると、ルークから大きなため息が出た。
「しょーがねぇだろ…昨日騎士団のやつらが返してくれなかったんだから…」
「言いわけはきかねーし。まぁ遅刻しなかっただけよしとするか…」
「当たり前だろ?こんな綺麗なお前の姿…見過ごすわけにはいかねぇし…」
「………うるせー…エローウェル…」
ユーリがまじまじとルークの姿を見るとルークは頬を染めてそっぽを向いた。
普段は騎士団隊長の格好と男と間違われるような私服しかきていないルークだったが、
今日だけは違った…まっ白い純白のドレスに身を包み少し照れているのが解る。
ユーリもまた普段の露出の高い私服ではなく、まっ白いタキシード…首元までしっかりと止まっている。
「ったく……エステル様と駆け落ちした時はどうなることかと思ったぜ…」
「誰が駆け落ちだ誰が…それを言うならお前だってアレクセイ何かに捕まりやがって…」
「あ、あれは……まぁいいや…これからは四人で暮らすんだしな…」
「…………は?四人?」
ユーリの横に座ったルークの言葉にユーリは言葉を失った。
これからは二人で暮らして行く…それならまだ解る…だが四人…とは?
手が早いと思われがちなユーリだが、ルークには一切今まで手を出していない。
神に誓って過ちを犯していない。
それなのに……どういうことが全く見当がつかなかった。
「おい……どういう意味だ?お前まさか………想像にんしn……」
「お前馬鹿だろ……ちげーよ…今日夢で見たんだよ…二人の子供とお前と…一緒に暮らす夢をな…」
「あぁ…そういうことか…」
ルークの予言は未だに健在だ。
最近は昔に比べ見る回数は減っているようだが…それでもたまに見るらしい…
しかも的中率100%…これはこれですごいことだ。
「そういうことで、しっかり稼げよ…」
「……お前の方が稼いでるだろ…まぁ、カロル先生にがんばって貰わないとな…」
二人で小さく笑うと軽くお互いの唇にキスを落とした。
左腕を良くみればドレスとタキシードには似合わない魔道器が着けられている。
ルークは金色の、そしてユーリは銀色の魔導器がまるで二人を祝福しているかのように
キラキラと輝きを放っていた。
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