旭屋本舗
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死ネタ有なので注意
「じゃぁ…二つ目の特異体質は…?」
「予言だ…予知夢の方が正しいか?」
空になったユーリのコップにぶどうジュースを注ぎながら
曖昧な答えをナイレンは出した。
「予言…?」
「たまーにらしいが…未来の姿が夢に出てくるらしい…
最初は俺も信じてなかったが…あいつが夢に見たことは100%当たっている。」
「まじかよ…」
ユーリはもともと占いなど魔術的な物を信じるタイプではなかったが、
ナイレンの真剣な目を見れば信じるほかない…
いや、この状況で冗談などは言わないだろう…。
「多分あいつ…また何か悪い夢でも見たんだろうな…
それを今覆す為に必死になってもがき苦しんでいる…」
「………三つ目は?」
ナイレンの言う三つの特異体質の最後の一つ。
今まで聞いた特異体質が異様なものだったのだから、
ユーリの中に不安と期待が交互に沸きあがる。
が、ナイレンの口から出た言葉は予想外の言葉だった。
「三つ目は……俺の口から言うのも面白くないな…自分で考えろ。」
「は、はぁ?」
ここまで話をしておいてそれはないだろ…と呟いたが、
ナイレンは話す気はないらしい…ケラケラと笑いながらワインを飲み干す。
「お前はもうすでに感じてるはずだ…その身体と耳でな…」
「身体と耳…?」
ユーリは何のことか解らず拗ねた表情を見せながら
疲れたように椅子にもたれ掛かる。
予想外の言葉ばかりが飛び出て自分の中で整理する必要があるからだ。
だがその時、ふと誰かの気配を感じた…人の気配ではない、何か別の物が
自分達の会話を聞いている感じがした。
だが、すぐにその気配は闇へと消え部屋には二人の気配しか残らなかった。
「ユーリ…?どうした?」
「いや…気のせい…か?」
ユーリは頭を掻きながらナイレンともう少し話を続けた。
愛シノ唄【TFS07】
リタという研究員から貰った魔導器のおかげで大きい魔導器は一時は動きを止めたが、
負荷のかかった魔導器は大暴走を始めた。
地面などに刺さっていた巨大なコードが抜け、ユーリ達に襲いかかり逃げ遅れた
シャスティルは腹にコードが当たってしまった。
「きゃぁっ!!!」
「シャスティル!!」
ヒスカが慌てて駆け寄り状態を確かめると、シャスティルは気を失っているだけだった。
シャスティルを見捨てるわけにはいかない…大切な仲間だ。
一番体格の良いナイレンがシャスティルを運ぶことになり、
シャスティルを背中に乗せるが両手が塞がるのでフレンに愛用の剣を預けた。
すると今度は各地で爆発が起き地面が落下を始める。
隊員達は大急ぎでその場を離れようとするが、ふとフレンが何かを見つけ足を止める。
「フレン…?何か見つけたのか?」
「い、いや…何でもない…ルーク早くユーリのところへ」
「わ、わかった」
先ほどのゴーレムを倒した時の影響か、まだ少し元気のないルークを気遣うように
部屋の外へと誘導させる。
先に部屋の出入り口に到着していたユーリがルークが自分のもとに来たのを確認すると、
安堵の表情を見せるが、フレンの後から大きな爆発音が鳴り振り帰ると
フレンの後でシャスティルを運んでいたナイレンが地面ごと落下していた。
「隊長!!」
「ユーリ!!!!」
隊長がユーリの名前を呼び担いでいたシャスティルの身体を放り投げた。
ユーリは投げられたシャスティルの身体を見事にキャッチすると
今度は隊長を助ける為に手を必死に伸ばした。
「隊長…手出せ…!!!くそ、何か長い物ないのか!?」
隊員が持っていた斧を借りナイレンに向けて伸ばすがナイレンには一向に届かない、
ましてやナイレンは自ら腕を伸ばそうとはしない…。
「ユーリ…やめろ…俺はもう助からない…」
そう言って見せたのは腐敗し始めた左腕…中庭で受けた触手の影響と判断できる。
「馬鹿野郎!!何で諦めるんだ!!そんな怪我絶対治せるから!!」
ユーリが必死になって叫んでいるとルークがユーリの横へ来て
暴走をしている魔導器に手を上げた。
すると先ほどと同じように周りの空気が変り小さな石などが次々と細かく分解されていく…
ルークが何をしようとしているのか解ったナイレンは叫んだ。
「ユーリ!!ルークを止めろ!!あの技を連続で使ったら…命の保証はねぇ!!」
「な、何だって!?ルーク…!!!」
「うわぁっ!!!何しやがる!!」
ユーリがルークに飛びかかりルークの身体を地面へと押しつけた。
バランスを崩し集中が途切れてしまった為空気はもとの空気へと変っていく。
「あの魔導器さえなんとかすれば暴走は収まる!!
だったらこれしかねーだろ!!これくらいしないとちっ…ナ、ナイレン隊長を助けることは…!!」
「だからってお前が死んだらどうするんだ!!」
「俺が死ぬのと隊長が死ぬのとどっちの影響力が大きいか考えろ!!!」
「ばか!!影響力とかの問題じゃねぇ!!どっちも大切な命だろうが!!
それにお前が死んだら…俺は……お前に伝えたいことが沢山あるんだからな!!
死ぬとか簡単に言うんじゃねぇ!!!」
「……ユーリ…」
ルークの上になっていたユーリは顔を少し赤くしながらナイレンに一番近づけるところまで戻り、
そして再び手を伸ばしてナイレンを助けようとするが…届かない。
「聞いたか隊長!?アンタは生きなきゃいけないんだ!!ルークの為にも…俺達の為にも!!」
「ははは…俺は愛されているんだな…ユーリ…これを持っていけ」
ナイレンはユーリに向かって何かを投げた。
それはナイレンが腕に着けていた銀色の魔導器…いつも煙管を吸う時に火を付けていた魔導器だった。
「た、隊長…」
「それと…ルークにはこれだな…返すよ」
次にナイレンが鎧の隙間から取り出したのは銀色のロケット。
それをルークに投げるとルークは驚いた表情を見せてそのロケットを見つめる。
「これ…まだ持ってたのかよ…」
「俺の宝だからな…ユーリ…ルークのこと…みんなのこと頼むぞ…」
「隊長…」
ユーリに笑顔を見せたナイレンは今度はフレンの方を見るとまた笑顔で最後の言葉を伝える。
「フレン…お前は親父さんを超えろ…お前ならできる…」
「ナイレン隊長…」
「みんなも…あとは頼んだぞ…」
周りにいた隊員達は一同に頷き決意を表した…
そして、最後に今にも泣きそうな顔をしている愛おしい子と目を合わせる。
「泣くなルーク…お前には笑顔が一番似合ってる…お前は俺を超えれる…
どんな苦難があっても…お前は超えていけるから…俺が居なくても大丈夫だ。
お前はあの時であった幼いお前じゃない…。」
ナイレンの言葉で我に帰ったルークは泣きそうだった顔を振り払い、
真剣な目でナイレンを見つめる…が感情を抑えて話しているのが解る。
「お、俺は…まだ子供だ…一人じゃ…無理…」
「大丈夫…お前には俺の信じてる隊員達が傍に居る…それにユーリがお前を…助けてくれるから…」
「ユーリが…?」
隣に居たユーリの顔を見ると、まっすぐにルークを見つめている。
それは俺を信じろと言っているかのように…
ルークはその言葉を受け取りナイレンの方に顔を向けると頭を下げた。
「……隊長…助けれなくてごめん…俺解ってたのに…夢で見てたのに…」
「気にするな…ほら、早く行け…ここももう長くはない…行け…俺の愛おしい子…幸せに暮らせよ。」
ルークは小さくうなずくと重い腰を持ち上げてナイレンに背中を向けた。
「みんな…行くぞ…ここから脱出するんだ…」
その言葉で隊員達は一同に立ちあがり部屋の出口へと走り出した。
出口に到着したところでナイレンの居た天井が崩れ落ちて行く音がしたが、
誰も後ろを振り向こうとはしなかった…
「………今までありがとう…大好きな…… ……」
無事古城から脱出した隊員達は湖の畔で身体を休めていた…
いや、身体だけではない…傷ついた精神を癒していた。
一緒に入っていったギルドのメンバー達は先に街へと戻っていった。
古城内で気を失ったシャスティルがようやく目を覚まし
辺りを見回すと隊長の姿がないことに気がついた。
「…あれ?隊長は?」
その言葉に誰も答えることができなかった。
「ユーリ!?隊長はどこ!?」
「隊長…すっげーかっこよかったぜ…」
ユーリの言葉で隊長がどうなったかを悟ったシャスティルは顔を手で隠すように泣きだした。
その泣き声を聞いた隊員達の気持は一層暗い気持ちになる。
ユーリの隣で湖を座って眺めて居たルークが立ちあがり、
大きく深呼吸をすると古城に向かって言葉を発した。
『トゥエ レイ ズェ クロア リョ トゥエ ズェ
クロア リョ ズェ トゥエ リョ レイ ネゥ リョ ズェ
ヴァ レイ ズェ トゥエ ネゥ トゥエ リョ トゥエ クロア
リョ レイ クロア リョ ズェ レイ ヴァ ズェ レイ
ヴァ ネゥ ヴァ レイ ヴァ ネゥ ヴァ ズェ レイ
クロア リョ クロア ネゥ トゥエ レイ クロア リョ ズェ レイ ヴァ
レイ ヴァ ネゥ クロア トゥエ レイ レイ…』
ルークの歌う唄に隊員達は耳を傾ける。
その歌声は透き通るような唄声…傷ついた心を癒してくれる…
名前も知らないその唄は何故か耳に残り身体に染みついてくる。
ルークが唄を歌いきると隣にいたユーリがルークの頭を優しく撫でたが、
何の反応もなくルークはユルギスのもとへ足を運ぶ。
ユーリはルークのいつもと違う態度に心配になるが、
今は見ていることにした…彼は強い…そして優しい…
初めてであった森の中でそれを知っているから。
「ユルギス…そろそろ帰ろう…街のみんなが待っているからな」
「あぁ…そうだな…」
しかしユルギスはどことなくまだ元気がない…
ルークは笑顔をユルギスに向けると隊員達の方を向く。
「ほら、みんな行くぞ。エアルの影響が無くなったから魔物が出てくるかもしれない。
俺が先頭に行くから…みんな無事に帰ろうぜ」
「お前が先頭に行くなら、俺も行くぜ…剣の腕は隊の中でもダントツだからな」
「それ自分で言うか?」
ルークとユーリの言葉に隊員達の消えていた笑顔が戻った。
それをみたフレンはルークと隊長の面影を重ねてしまう。
今回の任務でルークは山を越えたようだ…彼になら付いて行ける…そう感じた。
「ルーク…ユーリだけじゃ心もとないから僕も先頭を行くよ。」
「お、フレンが居たら安心だな」
「俺だと安心じゃねーのかよ」
「できない」
「おいおい…はっきり言うなよ…」
フレンを交えた会話に再び隊員達から笑いがこぼれた。
そしてナイレン隊は全員立ちあがり自分達の帰る場所へと足を進めた。
その夜。
ルークの事が気になったユーリは部屋を訪ねてみたが、ルークは部屋に居なかった。
隊長の部屋、食堂などを探したがルークの姿は見つからない…
残る場所は一つしかない。
ユーリは犬小屋に向かうと予想通り犬小屋に灯が付いていた。
中を覗くと後を向いて子犬のラピードに何かを話している赤茶色の人物を見つけた。
「ラピード…家族を失うって悲しいことなんだな…父上や母上…それにアッシュも…
俺が居なくなってこんな気持ちだったのかな?」
「くぅん?」
「あははは…お前に聞いてもわからないか…ユーリ…いつまで覗いてるんだ?」
気配を隠して覗いていたが、ばれてしまいユーリはルークの傍へと近寄っていく。
そして頭を数回軽く…優しく叩くとルークの身体が小さく震えた。
「早く部屋戻れよ…風邪ひくぞ」
「今日はここで寝る…一人で泣くと辛いだろ?俺が胸貸してやるから…
思いっきり泣けよ…今居るのは俺だけ…だから泣けよ…ルーク…」
ルークはユーリに飛びつくと顔を上げずに小さく泣きだした。
みんなの前では泣けなかった…自分が泣いたら隊が崩れてしまうから…
隊のメンバー達とは違う大切な人を失ったのだから…
本当はシャスティルが泣きだしたときも一緒に泣きたかったのだろう。
けど、泣けなかった…ナイレンが残した隊を守る為にも…泣けなかった。
普段強いルークもユーリの前では強くなれなかった。
本当の弱い自分が出てしまう。
ルークは何故ユーリの前ではそれが出てしまうかわからなかった…
けど今はこの優しい腕の中で泣きたい…と思っていた。
「予言だ…予知夢の方が正しいか?」
空になったユーリのコップにぶどうジュースを注ぎながら
曖昧な答えをナイレンは出した。
「予言…?」
「たまーにらしいが…未来の姿が夢に出てくるらしい…
最初は俺も信じてなかったが…あいつが夢に見たことは100%当たっている。」
「まじかよ…」
ユーリはもともと占いなど魔術的な物を信じるタイプではなかったが、
ナイレンの真剣な目を見れば信じるほかない…
いや、この状況で冗談などは言わないだろう…。
「多分あいつ…また何か悪い夢でも見たんだろうな…
それを今覆す為に必死になってもがき苦しんでいる…」
「………三つ目は?」
ナイレンの言う三つの特異体質の最後の一つ。
今まで聞いた特異体質が異様なものだったのだから、
ユーリの中に不安と期待が交互に沸きあがる。
が、ナイレンの口から出た言葉は予想外の言葉だった。
「三つ目は……俺の口から言うのも面白くないな…自分で考えろ。」
「は、はぁ?」
ここまで話をしておいてそれはないだろ…と呟いたが、
ナイレンは話す気はないらしい…ケラケラと笑いながらワインを飲み干す。
「お前はもうすでに感じてるはずだ…その身体と耳でな…」
「身体と耳…?」
ユーリは何のことか解らず拗ねた表情を見せながら
疲れたように椅子にもたれ掛かる。
予想外の言葉ばかりが飛び出て自分の中で整理する必要があるからだ。
だがその時、ふと誰かの気配を感じた…人の気配ではない、何か別の物が
自分達の会話を聞いている感じがした。
だが、すぐにその気配は闇へと消え部屋には二人の気配しか残らなかった。
「ユーリ…?どうした?」
「いや…気のせい…か?」
ユーリは頭を掻きながらナイレンともう少し話を続けた。
愛シノ唄【TFS07】
リタという研究員から貰った魔導器のおかげで大きい魔導器は一時は動きを止めたが、
負荷のかかった魔導器は大暴走を始めた。
地面などに刺さっていた巨大なコードが抜け、ユーリ達に襲いかかり逃げ遅れた
シャスティルは腹にコードが当たってしまった。
「きゃぁっ!!!」
「シャスティル!!」
ヒスカが慌てて駆け寄り状態を確かめると、シャスティルは気を失っているだけだった。
シャスティルを見捨てるわけにはいかない…大切な仲間だ。
一番体格の良いナイレンがシャスティルを運ぶことになり、
シャスティルを背中に乗せるが両手が塞がるのでフレンに愛用の剣を預けた。
すると今度は各地で爆発が起き地面が落下を始める。
隊員達は大急ぎでその場を離れようとするが、ふとフレンが何かを見つけ足を止める。
「フレン…?何か見つけたのか?」
「い、いや…何でもない…ルーク早くユーリのところへ」
「わ、わかった」
先ほどのゴーレムを倒した時の影響か、まだ少し元気のないルークを気遣うように
部屋の外へと誘導させる。
先に部屋の出入り口に到着していたユーリがルークが自分のもとに来たのを確認すると、
安堵の表情を見せるが、フレンの後から大きな爆発音が鳴り振り帰ると
フレンの後でシャスティルを運んでいたナイレンが地面ごと落下していた。
「隊長!!」
「ユーリ!!!!」
隊長がユーリの名前を呼び担いでいたシャスティルの身体を放り投げた。
ユーリは投げられたシャスティルの身体を見事にキャッチすると
今度は隊長を助ける為に手を必死に伸ばした。
「隊長…手出せ…!!!くそ、何か長い物ないのか!?」
隊員が持っていた斧を借りナイレンに向けて伸ばすがナイレンには一向に届かない、
ましてやナイレンは自ら腕を伸ばそうとはしない…。
「ユーリ…やめろ…俺はもう助からない…」
そう言って見せたのは腐敗し始めた左腕…中庭で受けた触手の影響と判断できる。
「馬鹿野郎!!何で諦めるんだ!!そんな怪我絶対治せるから!!」
ユーリが必死になって叫んでいるとルークがユーリの横へ来て
暴走をしている魔導器に手を上げた。
すると先ほどと同じように周りの空気が変り小さな石などが次々と細かく分解されていく…
ルークが何をしようとしているのか解ったナイレンは叫んだ。
「ユーリ!!ルークを止めろ!!あの技を連続で使ったら…命の保証はねぇ!!」
「な、何だって!?ルーク…!!!」
「うわぁっ!!!何しやがる!!」
ユーリがルークに飛びかかりルークの身体を地面へと押しつけた。
バランスを崩し集中が途切れてしまった為空気はもとの空気へと変っていく。
「あの魔導器さえなんとかすれば暴走は収まる!!
だったらこれしかねーだろ!!これくらいしないとちっ…ナ、ナイレン隊長を助けることは…!!」
「だからってお前が死んだらどうするんだ!!」
「俺が死ぬのと隊長が死ぬのとどっちの影響力が大きいか考えろ!!!」
「ばか!!影響力とかの問題じゃねぇ!!どっちも大切な命だろうが!!
それにお前が死んだら…俺は……お前に伝えたいことが沢山あるんだからな!!
死ぬとか簡単に言うんじゃねぇ!!!」
「……ユーリ…」
ルークの上になっていたユーリは顔を少し赤くしながらナイレンに一番近づけるところまで戻り、
そして再び手を伸ばしてナイレンを助けようとするが…届かない。
「聞いたか隊長!?アンタは生きなきゃいけないんだ!!ルークの為にも…俺達の為にも!!」
「ははは…俺は愛されているんだな…ユーリ…これを持っていけ」
ナイレンはユーリに向かって何かを投げた。
それはナイレンが腕に着けていた銀色の魔導器…いつも煙管を吸う時に火を付けていた魔導器だった。
「た、隊長…」
「それと…ルークにはこれだな…返すよ」
次にナイレンが鎧の隙間から取り出したのは銀色のロケット。
それをルークに投げるとルークは驚いた表情を見せてそのロケットを見つめる。
「これ…まだ持ってたのかよ…」
「俺の宝だからな…ユーリ…ルークのこと…みんなのこと頼むぞ…」
「隊長…」
ユーリに笑顔を見せたナイレンは今度はフレンの方を見るとまた笑顔で最後の言葉を伝える。
「フレン…お前は親父さんを超えろ…お前ならできる…」
「ナイレン隊長…」
「みんなも…あとは頼んだぞ…」
周りにいた隊員達は一同に頷き決意を表した…
そして、最後に今にも泣きそうな顔をしている愛おしい子と目を合わせる。
「泣くなルーク…お前には笑顔が一番似合ってる…お前は俺を超えれる…
どんな苦難があっても…お前は超えていけるから…俺が居なくても大丈夫だ。
お前はあの時であった幼いお前じゃない…。」
ナイレンの言葉で我に帰ったルークは泣きそうだった顔を振り払い、
真剣な目でナイレンを見つめる…が感情を抑えて話しているのが解る。
「お、俺は…まだ子供だ…一人じゃ…無理…」
「大丈夫…お前には俺の信じてる隊員達が傍に居る…それにユーリがお前を…助けてくれるから…」
「ユーリが…?」
隣に居たユーリの顔を見ると、まっすぐにルークを見つめている。
それは俺を信じろと言っているかのように…
ルークはその言葉を受け取りナイレンの方に顔を向けると頭を下げた。
「……隊長…助けれなくてごめん…俺解ってたのに…夢で見てたのに…」
「気にするな…ほら、早く行け…ここももう長くはない…行け…俺の愛おしい子…幸せに暮らせよ。」
ルークは小さくうなずくと重い腰を持ち上げてナイレンに背中を向けた。
「みんな…行くぞ…ここから脱出するんだ…」
その言葉で隊員達は一同に立ちあがり部屋の出口へと走り出した。
出口に到着したところでナイレンの居た天井が崩れ落ちて行く音がしたが、
誰も後ろを振り向こうとはしなかった…
「………今までありがとう…大好きな…… ……」
無事古城から脱出した隊員達は湖の畔で身体を休めていた…
いや、身体だけではない…傷ついた精神を癒していた。
一緒に入っていったギルドのメンバー達は先に街へと戻っていった。
古城内で気を失ったシャスティルがようやく目を覚まし
辺りを見回すと隊長の姿がないことに気がついた。
「…あれ?隊長は?」
その言葉に誰も答えることができなかった。
「ユーリ!?隊長はどこ!?」
「隊長…すっげーかっこよかったぜ…」
ユーリの言葉で隊長がどうなったかを悟ったシャスティルは顔を手で隠すように泣きだした。
その泣き声を聞いた隊員達の気持は一層暗い気持ちになる。
ユーリの隣で湖を座って眺めて居たルークが立ちあがり、
大きく深呼吸をすると古城に向かって言葉を発した。
『トゥエ レイ ズェ クロア リョ トゥエ ズェ
クロア リョ ズェ トゥエ リョ レイ ネゥ リョ ズェ
ヴァ レイ ズェ トゥエ ネゥ トゥエ リョ トゥエ クロア
リョ レイ クロア リョ ズェ レイ ヴァ ズェ レイ
ヴァ ネゥ ヴァ レイ ヴァ ネゥ ヴァ ズェ レイ
クロア リョ クロア ネゥ トゥエ レイ クロア リョ ズェ レイ ヴァ
レイ ヴァ ネゥ クロア トゥエ レイ レイ…』
ルークの歌う唄に隊員達は耳を傾ける。
その歌声は透き通るような唄声…傷ついた心を癒してくれる…
名前も知らないその唄は何故か耳に残り身体に染みついてくる。
ルークが唄を歌いきると隣にいたユーリがルークの頭を優しく撫でたが、
何の反応もなくルークはユルギスのもとへ足を運ぶ。
ユーリはルークのいつもと違う態度に心配になるが、
今は見ていることにした…彼は強い…そして優しい…
初めてであった森の中でそれを知っているから。
「ユルギス…そろそろ帰ろう…街のみんなが待っているからな」
「あぁ…そうだな…」
しかしユルギスはどことなくまだ元気がない…
ルークは笑顔をユルギスに向けると隊員達の方を向く。
「ほら、みんな行くぞ。エアルの影響が無くなったから魔物が出てくるかもしれない。
俺が先頭に行くから…みんな無事に帰ろうぜ」
「お前が先頭に行くなら、俺も行くぜ…剣の腕は隊の中でもダントツだからな」
「それ自分で言うか?」
ルークとユーリの言葉に隊員達の消えていた笑顔が戻った。
それをみたフレンはルークと隊長の面影を重ねてしまう。
今回の任務でルークは山を越えたようだ…彼になら付いて行ける…そう感じた。
「ルーク…ユーリだけじゃ心もとないから僕も先頭を行くよ。」
「お、フレンが居たら安心だな」
「俺だと安心じゃねーのかよ」
「できない」
「おいおい…はっきり言うなよ…」
フレンを交えた会話に再び隊員達から笑いがこぼれた。
そしてナイレン隊は全員立ちあがり自分達の帰る場所へと足を進めた。
その夜。
ルークの事が気になったユーリは部屋を訪ねてみたが、ルークは部屋に居なかった。
隊長の部屋、食堂などを探したがルークの姿は見つからない…
残る場所は一つしかない。
ユーリは犬小屋に向かうと予想通り犬小屋に灯が付いていた。
中を覗くと後を向いて子犬のラピードに何かを話している赤茶色の人物を見つけた。
「ラピード…家族を失うって悲しいことなんだな…父上や母上…それにアッシュも…
俺が居なくなってこんな気持ちだったのかな?」
「くぅん?」
「あははは…お前に聞いてもわからないか…ユーリ…いつまで覗いてるんだ?」
気配を隠して覗いていたが、ばれてしまいユーリはルークの傍へと近寄っていく。
そして頭を数回軽く…優しく叩くとルークの身体が小さく震えた。
「早く部屋戻れよ…風邪ひくぞ」
「今日はここで寝る…一人で泣くと辛いだろ?俺が胸貸してやるから…
思いっきり泣けよ…今居るのは俺だけ…だから泣けよ…ルーク…」
ルークはユーリに飛びつくと顔を上げずに小さく泣きだした。
みんなの前では泣けなかった…自分が泣いたら隊が崩れてしまうから…
隊のメンバー達とは違う大切な人を失ったのだから…
本当はシャスティルが泣きだしたときも一緒に泣きたかったのだろう。
けど、泣けなかった…ナイレンが残した隊を守る為にも…泣けなかった。
普段強いルークもユーリの前では強くなれなかった。
本当の弱い自分が出てしまう。
ルークは何故ユーリの前ではそれが出てしまうかわからなかった…
けど今はこの優しい腕の中で泣きたい…と思っていた。
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