旭屋本舗
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「けど…別に俺にあいつを任せなくても…あいつ十分強いだろ?
わざわざ守らなくても大丈夫じゃ…」
ジュースを飲みほしたユーリはナイレンに真剣な表情で問うと、
持っていたコップを机に置き思いつめた表情で口を動かす。
「……あいつは特異体質でな…大まかに分けて俺達と3つ違うところがある…」
ナイレンが三本の指を上げユーリの前へと付きだされ
その行動に若干身構えてしまったが、心を落ち着かせナイレンの瞳を見る。
「3つって…?」
「一つはエアルによる影響を受けずに技や術が使えることだ…
いや…魔導器が無くても使えるみたいだな…」
「なっ…それって…」
この世界では技や術を使うには魔導器そしてエアルが必要となる。
その理を無視する存在など今まで聞いたことがなかった。
「理由はわからない…けどそれは事実だ…
もしこの事実があいつに知られたらルークは…」
「あいつ…?」
ユーリが首をかしげてナイレンに問うが
何を迷っているのかナイレンはなかなかその人物の名前を告げようとはしなかった。
「……今は言えない…だが、ルークを守ってくれ…あいつの手から…
俺が守ってやりたいが…いつまでもルークの傍に居られるわけじゃないからな…」
ナイレンは少し寂しく笑うと机に置いていたコップを手に取り再び口へ酒を流し込む。
その姿はまるでこの後の自分の運命を知っているかのように…
戦イノ唄【TFS06】
古城に入りまず襲ってきたのは石の塊をしたゴーレムだった。
入口で二手に別れたナイレン隊は戦力が半分しか居ない為逃げるしかなかった…
いや、全員そろって居てもあの硬いゴーレムをなんとかできたかはわからない。
なんとか追いかけてきた石の塊から逃げたナイレン隊が辿り着いたのは中庭。
その中央には柱が立っており、柱の穴を覗くと下から濃いエアルが吹き出しているのが確認できる。
「この下か…」
「あそこから入れるみたいですね」
中庭の角にあった地下への階段。
罠があるのは丸わかりだったが…行くしかないようだ。
地下へ続く階段にナイレンが向かおうとすると、
ルークが何も言わずにナイレンの前に立ちはだかった。
「ルーク…?どうした?」
「俺が少し様子を見てくる…全員ここで少し待ってろ…」
「お…おい…待てって…たっく…」
ナイレンが止めるがルークの足は止まらずまっすぐと階段へと近づいていくが、
その途中で自分の少し後に人の気配を感じ取った。
振り向かなくてもわかる…今日一日ルークにべったりとひっついているあの黒髪野郎だ。
「ユーリ…お前もここに居ろ…隊長の傍に居やがれ」
「俺が居なくても他のやつらが守ってくれるさ…何をそんなに気にしてるんだ?」
「別に…」
古城の奥へ進むにつれルークの表情がだんだんと険しくなっていくのがわかる。
それと同時にナイレンに視線を送る回数が増えて行っている…
何をそんなに気にしているのか…何度聞いても答えてはくれなかった。
地下へと続く階段の前に着き身体を柱で隠しながら中の様子を伺うが、
中は暗くて様子が全くわからない。
ただ解るのは濃い濃度のエアルが吹き出し続けている…それだけだ。
ルークとユーリが中に入ろうと足を踏み出した途端、
二人の後から悲痛な声が耳に届いた。
慌てて振り返るとナイレンの左腕に赤い触手が襲いかかり腕を突き刺していた。
その姿を見たルークは顔を真っ青にさせてナイレンの元へと走りだした。
「お、おい!!ルーク!!あいつ…何なんだ?」
走りだしたルークを追いかける時にナイレンの様子を確認するが、
フレン達が抜こうとするが赤い触手が抜けず苦戦しているようだった。
どうにかしてナイレンの身体から触手を引き離さないといけない…
その方法を頭で考えていると頭上から大きな物体が飛んできた。
「うわぁっ!!!…って、メルゾム!?」
前を走っていたルークはいきなり目の前に何かが飛んできて驚いてしまい
バランスを崩し尻もちを付く形になってしまった。
そして、頭上から飛んできたのはギルドのボスであるメルゾムだった。
メルゾムがナイレンから触手を引き離してくれた為、ヒスカとシャスティルが
急いでナイレンに治癒魔法をかけはじめた。
「よぅ…何だ?余裕のない顔してるじゃねぇか…ユーリ…そしてルーク…」
にやにやと笑いながらナイレンの元へ駆けつけた二人を茶化す。
その言葉にユーリとルークは苦笑いしかでなかった。
「もういい…ありがとう…痛みは無くなった…」
二人に治療を止めさせナイレンは立ちあがるが、
その傍にルークが心配そうな表情を見せながら近寄ってきた。
「……本当に大丈夫か?ここで待っててもいいんだぞ?」
「ばーか…隊長がこの先行かなくてどうするんだ?
どうした?今日はえらく過保護だな…明日は雨かもな」
「茶化すな…ほんと…無理するなよな…」
予想以上のルークの真剣な表情にナイレンは驚いた表情を表すが、
またすぐにいつもの表情へと戻りルーク頭を激しく撫で始めた。
「あぁ…大丈夫だ…そんな湿気たツラするな…ほら、お前ら行くぞ」
周りにいた隊員達を集めナイレンは地下へと続く階段へと向かう。
本当は自分が先に入って安全を確認してから隊長達を入れる予定だったが、
それも流れてしまったようだ。
「ルーク…大丈夫かい?」
フレンが心配そうに声をかけてくるが、
その返事に答える余裕もないようで無言で隊長達の後を追いかけていった。
「だぁっ…やっぱり俺が先に行って安全確認するんだった!!」
「いや、いくらお前でもこいつらは無理だろ…」
地下に入ったナイレン隊を待ちうけていたのはやはりゴーレムの群れだったが、
先ほどのゴーレムは石の塊だったのに対し今回は人間の形をしたゴーレムだった。
剣で攻撃しても全く通じていない。
いや、ルークの技でゴーレムの一部が破壊されるが、
それもまたすぐに元に戻る…無限ループだ。
「ちょっと…ルークだけ魔導器なんで使えるの!?」
「俺のは特注なんだよ!!」
「何それずるい!!」
ヒスカとシャスティルが文句を言いながらもゴーレムの攻撃を交わす。
確かにルークの魔導器は特注だ。
魔導器の形をしているが、実はレプリカ…魔導器ではない。
魔導器が無くても術などが使えるのを隠す為のカモフラージュだった。
「だったらもっと威力のあるやつ使ってよ!!」
「威力のあるやつ…」
ヒスカに言われて自分の使える技などを頭で並べるが、
どれもこのゴーレム達を倒すには威力が足りない…
いや、2つだけこのゴーレム達を吹き飛ばす技があった…
ルークを意を決してゴーレムから距離を取ると、
一体のゴーレムに向かって手をつきだした。
「はあああぁ…」
ルークの周りの空気が変った。
その傍に近づくだけで吹き飛ばされてしまいそうな…そんな重い空気だ。
「……これでもくらえっ!!レディアント・ハウr「ルークやめろ!!!!!!!!!」
ナイレンの声でルークの周りにあった空気が元に戻った。
「こんなところで使うな!!周りを巻き込む気か!!」
「じゃぁどうしろと……うわぁっ!!!!!!」
「ルーク!!!」
ナイレンに止められ気をそっちに向けていた為、
ゴーレムの攻撃に気づかず防御もできないまままともに食らいルークの身体は壁へと埋め込まれた。
その姿に血相を変えたユーリが走り寄る。
「ルーク!!大丈夫か!?」
「あぁ…大丈夫だ…」
一人で立ちあがったルークを確認するとユーリは安心したようでルークの身体を支える。
「ユーリ!!赤い筋だ!!あの赤い筋を切るんだ!!」
「赤い…筋…?…了解っ!!」
フレンに言われゴーレム達の赤い糸を切ると、
今まで苦戦していたゴーレム達は脆く崩れて行くが、
崩れた途端次々と新しいゴーレムがユーリ達を遅い掛ってきた。
「ここは俺達に任せて先へ進め!!」
「わかった…無事でいろよメルゾム!!」
メルゾム達ギルドメンバーがこの場を引き受けてくれたおかげで、
ナイレン達は先へと進むことができた。
途中少し歩くのが辛そうにしているルークをユーリが支える姿が見られたが、
すぐに自分だけで動けるようになりその回復力にユーリは驚かされた。
ナイレン達が先へ進むと次に現れたのはまたもやゴーレムだったが、
今度のゴーレムは先ほどのゴーレムの数倍の大きさだった。
「でかいって…」
「どんなタイムサービスだ…いらねぇ…うぜーだけだし…」
ユーリとルークが文句を呟くが、ゴーレムは関係なしにナイレン達に襲いかかる。
バリアを貼ろうとしたシャスティルもゴーレムの攻撃で吹き飛ばされ
魔導器が暴走を始めたところをユーリが助ける。
だが、魔導器も使えない…剣も効かない…絶体絶命の大ピンチだ。
「ユーリ!!来い!!あいつの頭まで飛ばすぞ!!」
「あぁ…!!わかった!!」
隊の中で一番の体格を持つエルヴィンがユーリをゴーレムの頭まで飛ばし、
無事にゴーレムの頭に辿り着いたユーリは赤い筋を次々に切り落として行く。
赤い筋を切り落とされたゴーレムは土埃を立て崩れ落ちて行った。
「ユーリ!!」
ルークが心配そうに土埃に向かって叫ぶと、ユーリが手を振って無事を表す。
その姿を確認し安堵のため息をつくが、まだ消えてない気配に気が付きユーリに向かって叫んだ。
「ユーリ!!まだだ!!まだそいつ動くぞ!!」
「え?なっ…なにっ!!!」
新たに筋が加わり、
ゴーレムは再び動き出した…さきほどより大きくはないもののピンチはまだ回避できていなかった。
「くそ…どうすれば…」
「みんな…下がってろ…」
「ルーク!!」
「これしか方法はないからしょうがねぇだろ!!大丈夫だって…コントロールちゃんとするから…」
一人前に出たルークをナイレンが止めようとするが、
確かに今の状況をクリアするにはルークの力が必要だ。
ナイレンはそれが一番良い方法だと判断し何も言わずルークより後に下がった。
そしてルークは静かに両手を上げ息を整えると、
ルークの周りにあった小さな石が浮き上がりそして細かく分解され消えていく…
最初は小さな石だったが、どんどんと大きなものへと変る。
そして心を決めたルークが呪文を唱え始めた。
「響け!集え!全てを滅する刃と化せ!ロストフォン!ドライブ!」
ルークから放たれた光はまっすぐゴーレムへと向かい、
光が消えたあとには何も残らなかった。
「な、何なんだ…今の技…」
「ルーク…すごい…」
メンバー達が呆気に取られているとルークの身体が揺れその場に倒れこんだ。
「ルーク!!大丈夫か!?」
一番にルークに駆け寄ったのはユーリだ。
ユーリはルークを抱きかかえると小さくルークの身体を揺さぶる。
少し気を失っていたのかルークがゆっくりと目を開かせるとみんな安堵の表情を浮かべる。
「ゴーレム……消えた?」
「あぁ…跡形もなくな…助かったぜ…けど、もうあの技使うなよ…お前が倒れたら意味がねぇ…」
「うん……わかってるよ…ユーリ…ごめん…俺大丈夫だから…」
ユーリの腕から立ち上がろうとするが、身体がふらつきユーリに支えて貰わなかったら倒れてしまっていた。
「無理するな…」
「けど、この先が目的地なんだろ?休憩なんて取ってられない…」
ルークは再び立ち上がると今度は身体が揺れずまっすぐ立つことができたので
メンバーに笑って大丈夫であることを訴えた。
それを見たナイレンは何も言わずルークの頭を撫で先へ続く道を歩み始めた。
そのあとをメンバー達が追いかけ、ルーク、ユーリそしてフレンが一番後で追いかけた。
少し辛そうなルークを気にかけながら歩むユーリ…
ユーリは治癒術が使えない、何かルークにできないかと考え頭に一つの提案が浮かんだ。
「……トゥエ レイ ズェ クロア リョ トゥエ……」
「え?」
「……続きなんだっけ?はぁ…あいつみたいに上手く歌えたら少しはお前の疲れ和らげるかと思ったんだが…」
初めてその歌を聞いた時ユーリは心が安らいだのを思い出した。
もし、自分が唄ってルークが少しでも楽になるのであれば…と思い歌ってみたが、
一度しか聞いたこともない唄…上手く歌えるはずがなかった。
「へったくそ…そんなんで回復するかよ…けど、ありがとうな…」
辛そうな顔をしていたルークは再び笑顔を取り戻した。
「ルークは笑っている顔が一番だね…」
ユーリと一緒にルークを支えていたフレンが笑いながら話に参加する。
目的地が目の前だというのにこんなに笑っていていいのか疑問だったが、
ユーリのおかげでルークの心が和らいだのは確かだ。
そうこうしているうちに目的である場所に辿りつき
メルゾム達も後から追いかけてきて合流することがでた。
目的の場所にはやはり大きい魔導器があり、これがエアルの濃度が濃くなった原因だと判断できる。
誰が…何の為に…理由は解らない。
とにかく今はこの魔導器を止めることが先だ。
ナイレンは先日森へ出かけた時にリタという少女から貰った魔導器を発動させ、
エアルを濃くしている魔導器の動きを止めさせた。
一時は魔導器は静かに動きを止めたが…それもつかの間また再び動きだした。
今度は先ほどとは違い暴走を始め繋がれていたコードなどがユーリ達に遅いかかった。
わざわざ守らなくても大丈夫じゃ…」
ジュースを飲みほしたユーリはナイレンに真剣な表情で問うと、
持っていたコップを机に置き思いつめた表情で口を動かす。
「……あいつは特異体質でな…大まかに分けて俺達と3つ違うところがある…」
ナイレンが三本の指を上げユーリの前へと付きだされ
その行動に若干身構えてしまったが、心を落ち着かせナイレンの瞳を見る。
「3つって…?」
「一つはエアルによる影響を受けずに技や術が使えることだ…
いや…魔導器が無くても使えるみたいだな…」
「なっ…それって…」
この世界では技や術を使うには魔導器そしてエアルが必要となる。
その理を無視する存在など今まで聞いたことがなかった。
「理由はわからない…けどそれは事実だ…
もしこの事実があいつに知られたらルークは…」
「あいつ…?」
ユーリが首をかしげてナイレンに問うが
何を迷っているのかナイレンはなかなかその人物の名前を告げようとはしなかった。
「……今は言えない…だが、ルークを守ってくれ…あいつの手から…
俺が守ってやりたいが…いつまでもルークの傍に居られるわけじゃないからな…」
ナイレンは少し寂しく笑うと机に置いていたコップを手に取り再び口へ酒を流し込む。
その姿はまるでこの後の自分の運命を知っているかのように…
戦イノ唄【TFS06】
古城に入りまず襲ってきたのは石の塊をしたゴーレムだった。
入口で二手に別れたナイレン隊は戦力が半分しか居ない為逃げるしかなかった…
いや、全員そろって居てもあの硬いゴーレムをなんとかできたかはわからない。
なんとか追いかけてきた石の塊から逃げたナイレン隊が辿り着いたのは中庭。
その中央には柱が立っており、柱の穴を覗くと下から濃いエアルが吹き出しているのが確認できる。
「この下か…」
「あそこから入れるみたいですね」
中庭の角にあった地下への階段。
罠があるのは丸わかりだったが…行くしかないようだ。
地下へ続く階段にナイレンが向かおうとすると、
ルークが何も言わずにナイレンの前に立ちはだかった。
「ルーク…?どうした?」
「俺が少し様子を見てくる…全員ここで少し待ってろ…」
「お…おい…待てって…たっく…」
ナイレンが止めるがルークの足は止まらずまっすぐと階段へと近づいていくが、
その途中で自分の少し後に人の気配を感じ取った。
振り向かなくてもわかる…今日一日ルークにべったりとひっついているあの黒髪野郎だ。
「ユーリ…お前もここに居ろ…隊長の傍に居やがれ」
「俺が居なくても他のやつらが守ってくれるさ…何をそんなに気にしてるんだ?」
「別に…」
古城の奥へ進むにつれルークの表情がだんだんと険しくなっていくのがわかる。
それと同時にナイレンに視線を送る回数が増えて行っている…
何をそんなに気にしているのか…何度聞いても答えてはくれなかった。
地下へと続く階段の前に着き身体を柱で隠しながら中の様子を伺うが、
中は暗くて様子が全くわからない。
ただ解るのは濃い濃度のエアルが吹き出し続けている…それだけだ。
ルークとユーリが中に入ろうと足を踏み出した途端、
二人の後から悲痛な声が耳に届いた。
慌てて振り返るとナイレンの左腕に赤い触手が襲いかかり腕を突き刺していた。
その姿を見たルークは顔を真っ青にさせてナイレンの元へと走りだした。
「お、おい!!ルーク!!あいつ…何なんだ?」
走りだしたルークを追いかける時にナイレンの様子を確認するが、
フレン達が抜こうとするが赤い触手が抜けず苦戦しているようだった。
どうにかしてナイレンの身体から触手を引き離さないといけない…
その方法を頭で考えていると頭上から大きな物体が飛んできた。
「うわぁっ!!!…って、メルゾム!?」
前を走っていたルークはいきなり目の前に何かが飛んできて驚いてしまい
バランスを崩し尻もちを付く形になってしまった。
そして、頭上から飛んできたのはギルドのボスであるメルゾムだった。
メルゾムがナイレンから触手を引き離してくれた為、ヒスカとシャスティルが
急いでナイレンに治癒魔法をかけはじめた。
「よぅ…何だ?余裕のない顔してるじゃねぇか…ユーリ…そしてルーク…」
にやにやと笑いながらナイレンの元へ駆けつけた二人を茶化す。
その言葉にユーリとルークは苦笑いしかでなかった。
「もういい…ありがとう…痛みは無くなった…」
二人に治療を止めさせナイレンは立ちあがるが、
その傍にルークが心配そうな表情を見せながら近寄ってきた。
「……本当に大丈夫か?ここで待っててもいいんだぞ?」
「ばーか…隊長がこの先行かなくてどうするんだ?
どうした?今日はえらく過保護だな…明日は雨かもな」
「茶化すな…ほんと…無理するなよな…」
予想以上のルークの真剣な表情にナイレンは驚いた表情を表すが、
またすぐにいつもの表情へと戻りルーク頭を激しく撫で始めた。
「あぁ…大丈夫だ…そんな湿気たツラするな…ほら、お前ら行くぞ」
周りにいた隊員達を集めナイレンは地下へと続く階段へと向かう。
本当は自分が先に入って安全を確認してから隊長達を入れる予定だったが、
それも流れてしまったようだ。
「ルーク…大丈夫かい?」
フレンが心配そうに声をかけてくるが、
その返事に答える余裕もないようで無言で隊長達の後を追いかけていった。
「だぁっ…やっぱり俺が先に行って安全確認するんだった!!」
「いや、いくらお前でもこいつらは無理だろ…」
地下に入ったナイレン隊を待ちうけていたのはやはりゴーレムの群れだったが、
先ほどのゴーレムは石の塊だったのに対し今回は人間の形をしたゴーレムだった。
剣で攻撃しても全く通じていない。
いや、ルークの技でゴーレムの一部が破壊されるが、
それもまたすぐに元に戻る…無限ループだ。
「ちょっと…ルークだけ魔導器なんで使えるの!?」
「俺のは特注なんだよ!!」
「何それずるい!!」
ヒスカとシャスティルが文句を言いながらもゴーレムの攻撃を交わす。
確かにルークの魔導器は特注だ。
魔導器の形をしているが、実はレプリカ…魔導器ではない。
魔導器が無くても術などが使えるのを隠す為のカモフラージュだった。
「だったらもっと威力のあるやつ使ってよ!!」
「威力のあるやつ…」
ヒスカに言われて自分の使える技などを頭で並べるが、
どれもこのゴーレム達を倒すには威力が足りない…
いや、2つだけこのゴーレム達を吹き飛ばす技があった…
ルークを意を決してゴーレムから距離を取ると、
一体のゴーレムに向かって手をつきだした。
「はあああぁ…」
ルークの周りの空気が変った。
その傍に近づくだけで吹き飛ばされてしまいそうな…そんな重い空気だ。
「……これでもくらえっ!!レディアント・ハウr「ルークやめろ!!!!!!!!!」
ナイレンの声でルークの周りにあった空気が元に戻った。
「こんなところで使うな!!周りを巻き込む気か!!」
「じゃぁどうしろと……うわぁっ!!!!!!」
「ルーク!!!」
ナイレンに止められ気をそっちに向けていた為、
ゴーレムの攻撃に気づかず防御もできないまままともに食らいルークの身体は壁へと埋め込まれた。
その姿に血相を変えたユーリが走り寄る。
「ルーク!!大丈夫か!?」
「あぁ…大丈夫だ…」
一人で立ちあがったルークを確認するとユーリは安心したようでルークの身体を支える。
「ユーリ!!赤い筋だ!!あの赤い筋を切るんだ!!」
「赤い…筋…?…了解っ!!」
フレンに言われゴーレム達の赤い糸を切ると、
今まで苦戦していたゴーレム達は脆く崩れて行くが、
崩れた途端次々と新しいゴーレムがユーリ達を遅い掛ってきた。
「ここは俺達に任せて先へ進め!!」
「わかった…無事でいろよメルゾム!!」
メルゾム達ギルドメンバーがこの場を引き受けてくれたおかげで、
ナイレン達は先へと進むことができた。
途中少し歩くのが辛そうにしているルークをユーリが支える姿が見られたが、
すぐに自分だけで動けるようになりその回復力にユーリは驚かされた。
ナイレン達が先へ進むと次に現れたのはまたもやゴーレムだったが、
今度のゴーレムは先ほどのゴーレムの数倍の大きさだった。
「でかいって…」
「どんなタイムサービスだ…いらねぇ…うぜーだけだし…」
ユーリとルークが文句を呟くが、ゴーレムは関係なしにナイレン達に襲いかかる。
バリアを貼ろうとしたシャスティルもゴーレムの攻撃で吹き飛ばされ
魔導器が暴走を始めたところをユーリが助ける。
だが、魔導器も使えない…剣も効かない…絶体絶命の大ピンチだ。
「ユーリ!!来い!!あいつの頭まで飛ばすぞ!!」
「あぁ…!!わかった!!」
隊の中で一番の体格を持つエルヴィンがユーリをゴーレムの頭まで飛ばし、
無事にゴーレムの頭に辿り着いたユーリは赤い筋を次々に切り落として行く。
赤い筋を切り落とされたゴーレムは土埃を立て崩れ落ちて行った。
「ユーリ!!」
ルークが心配そうに土埃に向かって叫ぶと、ユーリが手を振って無事を表す。
その姿を確認し安堵のため息をつくが、まだ消えてない気配に気が付きユーリに向かって叫んだ。
「ユーリ!!まだだ!!まだそいつ動くぞ!!」
「え?なっ…なにっ!!!」
新たに筋が加わり、
ゴーレムは再び動き出した…さきほどより大きくはないもののピンチはまだ回避できていなかった。
「くそ…どうすれば…」
「みんな…下がってろ…」
「ルーク!!」
「これしか方法はないからしょうがねぇだろ!!大丈夫だって…コントロールちゃんとするから…」
一人前に出たルークをナイレンが止めようとするが、
確かに今の状況をクリアするにはルークの力が必要だ。
ナイレンはそれが一番良い方法だと判断し何も言わずルークより後に下がった。
そしてルークは静かに両手を上げ息を整えると、
ルークの周りにあった小さな石が浮き上がりそして細かく分解され消えていく…
最初は小さな石だったが、どんどんと大きなものへと変る。
そして心を決めたルークが呪文を唱え始めた。
「響け!集え!全てを滅する刃と化せ!ロストフォン!ドライブ!」
ルークから放たれた光はまっすぐゴーレムへと向かい、
光が消えたあとには何も残らなかった。
「な、何なんだ…今の技…」
「ルーク…すごい…」
メンバー達が呆気に取られているとルークの身体が揺れその場に倒れこんだ。
「ルーク!!大丈夫か!?」
一番にルークに駆け寄ったのはユーリだ。
ユーリはルークを抱きかかえると小さくルークの身体を揺さぶる。
少し気を失っていたのかルークがゆっくりと目を開かせるとみんな安堵の表情を浮かべる。
「ゴーレム……消えた?」
「あぁ…跡形もなくな…助かったぜ…けど、もうあの技使うなよ…お前が倒れたら意味がねぇ…」
「うん……わかってるよ…ユーリ…ごめん…俺大丈夫だから…」
ユーリの腕から立ち上がろうとするが、身体がふらつきユーリに支えて貰わなかったら倒れてしまっていた。
「無理するな…」
「けど、この先が目的地なんだろ?休憩なんて取ってられない…」
ルークは再び立ち上がると今度は身体が揺れずまっすぐ立つことができたので
メンバーに笑って大丈夫であることを訴えた。
それを見たナイレンは何も言わずルークの頭を撫で先へ続く道を歩み始めた。
そのあとをメンバー達が追いかけ、ルーク、ユーリそしてフレンが一番後で追いかけた。
少し辛そうなルークを気にかけながら歩むユーリ…
ユーリは治癒術が使えない、何かルークにできないかと考え頭に一つの提案が浮かんだ。
「……トゥエ レイ ズェ クロア リョ トゥエ……」
「え?」
「……続きなんだっけ?はぁ…あいつみたいに上手く歌えたら少しはお前の疲れ和らげるかと思ったんだが…」
初めてその歌を聞いた時ユーリは心が安らいだのを思い出した。
もし、自分が唄ってルークが少しでも楽になるのであれば…と思い歌ってみたが、
一度しか聞いたこともない唄…上手く歌えるはずがなかった。
「へったくそ…そんなんで回復するかよ…けど、ありがとうな…」
辛そうな顔をしていたルークは再び笑顔を取り戻した。
「ルークは笑っている顔が一番だね…」
ユーリと一緒にルークを支えていたフレンが笑いながら話に参加する。
目的地が目の前だというのにこんなに笑っていていいのか疑問だったが、
ユーリのおかげでルークの心が和らいだのは確かだ。
そうこうしているうちに目的である場所に辿りつき
メルゾム達も後から追いかけてきて合流することがでた。
目的の場所にはやはり大きい魔導器があり、これがエアルの濃度が濃くなった原因だと判断できる。
誰が…何の為に…理由は解らない。
とにかく今はこの魔導器を止めることが先だ。
ナイレンは先日森へ出かけた時にリタという少女から貰った魔導器を発動させ、
エアルを濃くしている魔導器の動きを止めさせた。
一時は魔導器は静かに動きを止めたが…それもつかの間また再び動きだした。
今度は先ほどとは違い暴走を始め繋がれていたコードなどがユーリ達に遅いかかった。
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