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旭屋本舗
ようこそいらっしゃいませ。 腐向けサイトですご理解のある方のみどうぞ。 始めての方はカテゴリー【What】をお読みください。
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死にネタ有なので注意

暗い部屋で耳に手を当てながら何かを聞きとるように男は静かに心を落ち着かせていた。
よく見ればヘッドフォンが耳にあり大事な何かを聞き逃さないように
瞳を閉じて聞いている。
『……あいつは特異体質でな…大まかに分けて俺達と3つ違うところがある…』
『3つって…?』
『一つはエアルによる影響を受けずに技や術が使えることだ…
 いや…魔導器が無くても使えるみたいだな…』
『なっ…それって…』
その言葉に満足したのか男は小さく微笑み机の上に置いてあった
紅茶を手に取り少しだけ飲む。
口に広がる紅茶の苦さがこれから起こるからの運命と同じような気がした…
面白い…実に面白い…





決意ノ唄





ガリスタが部屋に戻り自分の机に目をやると見覚えのある魔導器があり顔を曇らせる。
「その魔導器に見覚えがあるようですね…」
声がした方に顔を向けるとそこに居たのは新人騎士であるフレンとユーリであり、
二人ともすべての元凶を知っているのかガリスタを睨みつけた。
「何のことですか?」
「とぼけないでください…その魔導器は古城の中にあったもの…それは珍しいタイプで
 騎士団の中でも貴方しか扱わないものだ…」
「ほぅ…それで?」
「つまり…アンタがこのエアルの暴走事件の犯人ってこった…」
ガリスタからの返事はなく、
このままとぼけるつもりでいるのかと思ったが、二人の予想とは違った言葉が帰ってきた。
「……流石ですね…そこまで見抜くとは大したものです…」
「認めるのですね…お願いです…自首してください…」
「…………。」
自首を勧めるフレンに対しユーリは納得をしていない顔をする。
ナイレンを失った原因を作ったのはガリスタだ、つまりルークに取ってガリスタはカタキ…
そんなガリスタをそうそう許せるはずはないがここは法にしたがって処罰する…
フレンとここに来る前に話合い決めたことだ。
自首を勧めるのは簡単だが、何故このようなことをしたのか…その理由を聞くくらいの権利はあった。
「何で…あんな魔導器なんか…」
「実験場ですよ…」
「実験?」
後を向いていたガリスタがようやくユーリ達の方を向いたが、
その顔はいつも優しいガリスタの表情ではなかった…鬼のような…
険しい顔をユーリ達に初めて見せた。
「人工的に魔核を作る為のね…魔導器が暴走してしまい葬り去ることにしたんですよ…
 事実を知りすぎた貴方達ナイレン隊と共に………ね。」
「そんなくだらねぇことで…隊長は…」
ユーリの拳は震えている…ナイレンを失い悲しんでいる団員達の気持ち…
何より一番悲しんでいるが強がって涙を見せない彼女の心…
許せなかった…人の心を弄んでいる…そんな気がして…
フレンは今にも飛びかかろうとしているユーリを制し、
ガリスタにもう一度言葉を投げかけた。
「もう一度お願いします…自首をしてください…」
「はい…わかりました…何て言うと思っているのですか!?」
ガリスタが手を上げて呪文を唱えるとガリスタが付けていた魔導器が発動し、
魔術によってユーリ達は壁まで吹き飛ばされた。
「っあぁ!!」
「うわぁっ!!!」
二人は飛びそうになった意識を持ちこたえ、持っていた剣を手に取った。
剣には自信がある…もしかしたらガリスタを取り押さえることができるかもしれない…
そんな淡い期待が二人の心の隅にあった。
「私はあの方の為にまだやらなければいけないことがあるんですよ…
 あぁ…そうだ…魔導器の暴走により新人二人が亡くなる…良いシナリオですね…」
ガリスタはここでユーリ達を消すつもりだ。
今までも邪魔なものはこんな風にして消してきたのだろう…そんな瞳だ。
だが、ユーリはここで倒れるわけにはいかない…
だってユーリにはナイレンから託された大切な守るべき人が居るのだから。
ユーリは心を決めてガリスタに切りかかるがバリアを貼られガリスタに剣が届かない…
そしてまた魔術により身体ごと吹き飛ばされた。
フレンも続けて切りかかるがユーリと同じように部屋の隅に吹き飛ばされてしまった。
「くそ…真正面から行ってもラチがあかねぇ…フレン!!」
「………あぁ…」
ユーリとフレンは目と目を合わせると近くにあった本棚が並ぶ場所へと逃げ込んだ。
ガリスタは小さく不気味に笑いながら二人を追いかけ本棚へと追いかけると、
いきなりフレンが切りかかってきた。
間一髪交わすが少しガリスタの額を剣先がかすめた。
フレンが本棚から逃げ出すと傍にあった本棚がガリスタめがけて倒れてきた。
「なっ…!!!」
大きな音を立てて本棚が倒れガリスタは下敷きになり、
押し倒された本棚の後にはユーリが立っていた。
「やったなフレン…」
「あぁ…早くみんなにこのことを知らせないと…」
フレンが部屋を出て誰かを呼びに行こうとした時、
倒れたはずの本棚が勢いよく吹き飛び下敷きになったガリスタが現れた。
しかし、今回は無傷ではない…額に少しだけ傷を負っていた。
その傷を確認したガリスタは先ほどよりもっと険しい顔をして二人を睨みつける。
「貴様ら…これ以上容赦はしないぞ…」
本気モードに切り替わったガリスタの空気に圧倒され身体が動かなくなったが、
二人は真剣な表情をして構えの体勢を取ったその時…
部屋のドアが開き一人の少女がこの光景を見て固まった。
「え?ユーリ…フレン…それにガリスタ…?何やってるんだ?」
「ルーク!!何しにきたんだ!?」
部屋に入ってきたのはルークだった。
ルークは状況が今だに飲み込めずきょとんとした顔をしてユーリ達とガリスタを交互に見つめ直す。
「何しにって…俺はガリスタに呼ばれて…」
「ガリスタは今回の事件の黒幕です!!すべての元凶は彼なんです!!」
フレンの言葉に目を見開くが、すぐに真剣な表情に戻りガリスタを鋭い目つきで睨みつける。
それはナイレンによく似た瞳だ…
「ガリスタ…フレンの言っていることは本当か?」
「えぇ…本当ですよ?」
「…………だったら…お前を連行する…」
ルークは腰に着けていた剣を手にとり刃の先をガリスタに向ける…
けどその手は震えていた…予想をしていないこの状況に心がまだ付いていけていないのだろう。
「この新人二人ならまだ軽くひねりつぶせましたが…
 貴方が参加すると厄介ですね…少々そこでこの二人が消えるのを見ていてください。」
「何だとっ…!!!」
ガリスタが指を鳴らすとルークの足元に魔法陣が出現し、
そしてその魔法陣はルークの身体をしばりつけ身動きが一切取れない状況となってしまった。
「っく…!!!何だこれ…身体が…うごかねぇ…!!!」
「貴方には死なれたら困るんですよ…そこで大人しくしていなさい…」
「ルーク!!!」
ユーリがルークの周りにある魔法陣に切りかかろうとするが、
ガリスタの放つ魔術により阻まれ吹き飛ばされてしまった。
「うあぁっ!!」
「ユーリ!!お、俺に死なれたら困るってどういうことだ!!」
ガリスタはルークを冷たい瞳で見ると小さくわらった。
短い時間だったがこんなガリスタを見るのは初めてだ…
ルークの背中に冷たいものが流れ落ちる。
「あの方に貴方を献上するのですよ…貴方の特異体質はあの方の願いをかなえるのに丁度いい…」
ガリスタから出た特異体質という言葉にルークは困惑をした。
このことはナイレンしか知らないはず…何故この男が知っているのか…
ガリスタは動けないルークに近づき指でルークの顔を持ち上げた。
驚きのあまり声を発するできないルークをまるで面白い玩具を見つけたかのような表情で見つめる。
「ふふ…貴方はあの特異体質を抜いても良い女です…あの方に献上する前に私が直々に調教してあげましょう…
 何も知らない貴方の身体を隅々までね…あの方にお会いする頃貴方は素敵な玩具になってますよ…」
「なっ…!!!」
「そんなことさせるかよっ…!!!」
ユーリはルークとガリスタの間に切りかかり二人の距離を離れさせる。
守らなければいけない…大切な人を…それだけが今のユーリを動かした。
「ルークの特異体質…何でお前が知ってるんだ!!」
「ナイレン隊長があなたに彼女のすべてを話した夜…私も聞いていたのですよ…
 まぁ、私の場合は魔道器を通してですけどね…」
「なんだとっ…!!!」
「じゃぁ…ナイレン隊長の部屋にあったあの魔道器は…」
フレンはポケットに入れていた魔道器を取りだした。
今まで忘れていたが古城にあったこの魔道器もガリスタが使っているもの…
これは盗聴器だったのだ…ナイレンの動きを知るために仕掛けられた…
「ふふ…その通りです…まさかエアル無しで魔術を使える人間が他に居るなんて…
 貴方が居ればあの方の野望も近づく…少々おしゃべりが過ぎたようですね…」
ガリスタの瞳の色が変った。
その色はこの戦いを終結させる決意をした色だ…
ルークはすぐにその意思を読みとり自分の前に居るユーリに叫ぶ。
「ユーリっ!!にげろ!!お前じゃ無理だ!!」
「馬鹿か!!お前を置いて逃げれるか!!それに俺は約束したんだ…ナイレン隊長と…
 お前を守るって…いや、約束なんかなくたって俺はお前を守ってやるっ…!!!」
「ユーリ…」
「そうだな…僕達は守らないと…ルークと僕達の未来を…ルークが貴方に取って喉から手がでるほど
 欲しい人材でも…ルーク……ルーク隊長は渡さないっ!!」
「フレン…」
二人の言葉はルークの心を響かせた…嬉しくて…涙がこぼれたが、
二人の力ではガリスタに適うはずがない…ここは自分が何とかしなくては…そう決意した。
「はははは…素晴らしい愛ですね…そんな茶番は必要ありません!!」
「「うわぁっ!!!!」」
「ユーリ!!フレン!!」
ガリスタの放つ魔術はユーリとフレンをいとも簡単に壁へと埋め込んだ。
それを見たルークはガリスタを睨みつけるが、心を落ち着かせ始めた…
するとルークの周りの空気が冷たく変り始める…
ユーリはそれに気が付きルークを止めようと手を動かすがまだ思うように動かない…。
「るーく…やめっ…」
ルークの異変に気がついたガリスタは少し表情を曇らせ、ルークの動きを封じ込めた時と同じように指を鳴らすと
魔法陣から電気が流れ始めた。
「っう…あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ…!!!!!!!!!」
「ルーク!!!」
甲高い悲痛な叫びが部屋中に響き渡る…再び指を鳴らすと電気は止まりルークはがっくりとその場に倒れこんだ。
ゆっくりと顔を上げるとガリスタを睨みつけた。
「ほう…あの電気を食らってまだ動けますか…流石ですね…けど貴方が悪いのですよ…無駄なあがきをするから…
 そこでこの二人が消えるのを見てなさい…」
「やめ…ろ…っく…あぁっ…」
まだ身体中に電気が流れているのか、ルークが再び苦しみだした…
ユーリは止めをさそうとしているガリスタを睨みつけたが、自分達に術はなかった…
ルークを守るとナイレンと約束したのに…そのルークを簡単にとらえられてしまい、
ましてや苦しめてしまっている…自分の無力さをつくづくと痛感させられた。
ナイレン隊長ならこんな時どうしているのか…ナイレン隊長なら…
必死にこの場を切り抜ける方法を考えているとポケットに硬いものがあることに気がついた。
それをポケットの中で確認すると一つの方法が浮かび上がった。
「フレン…一瞬でいい…あいつの隙を作ってくれ…」
「ユーリ…?……解った。」
フレンは剣を再び握り締めるとガリスタに向かって剣をふるったが、
その剣はガリスタに届くのではなくガリスタの周りにあった本にあたりガリスタの視界を遮った。
「小癪な真似を…そ、それはっ…!!!」
ガリスタが見たのはナイレンの魔導器を腕に着けたユーリとそれを支えるフレンの姿だった。
二人は目と目と合わせると同時に叫んだ。
「「食らえっ!!!」」
「うあぁっ!!!!」
魔道器が光り、ガリスタの目を鈍らせると身体に激痛が走った。
胸元を見るとユーリとフレンが二人でガリスタに剣を突き指していた…
「こんなところで…あのか…た…の…やぼ…う…を…」
ガリスタが力なく床に倒れこみ身体が冷たくなっていくのを確認すると
二人は複雑な表情をして顔を見合わせた…
そしてルークの傍に駆け寄り状態を確認すると気を失っているだけだったのでため息を付いた。





重い瞳を開けるとそこは真っ暗な部屋だった。
体中が重い…おもりを付けている感じだ…
そんな動きの自由が利かない身体を起こすと窓辺に誰かが居るのに気がつく。
月明かりを頼りに確認するとそこに居たのはユーリだ。
「ユーリ…?」
「起きたか…身体大丈夫か…?」
ユーリが心配そうにベッドまで近づくと優しくルークの頭を撫でた。
よく見ればユーリはあちこちに小さな傷を作っていた…
「少し身体重いけど…明日になればもう大丈夫…………なぁ、あの後どうなったんだ?」
「………ははは。相変わらず驚くほどの回復力だな…」
「ユーリ話しを逸らすな…ガリスタは…?」
「…………………。」
何も答えないユーリ…
その何もない言葉はたった一つの答えしかない…
ルークはそれを理解し深いため息をついた。
「そっか…ごめん…俺またお前に…………」
「謝るんじゃねぇ…俺が弱かったから…こんな結末にしかならなかったんだよ…悪い…
 ほんと…俺が弱かったから…俺が自分の力にうぬぼれていたから…」
「それは違う…違うから…ユーリは俺を守ってくれて…ありがと…」
ユーリは何も言わずにルークを抱きしめた…
今まで何度かユーリに抱きしめられたが今まで以上に強く…しっかりと抱きしめられた。
ようやくルークの身体を離すと「おやすみ…」と一言だけ呟き額にキスをすると
ユーリは部屋を出て行っていまった。
けどその背中は何かを決めたことをルークに伝えた。
ユーリが何を決めたのか…それはまだルークには解らない…
だけど、何だかとても寂しい気持ちになり、涙がこぼれ始めた…
ルークは何時も歌う唄を歌おうとしたが、この時初めて歌うことができなかった。
何時もはすぐに歌えるのに…何もしなくても歌えるのに…
今夜だけは歌いたくても歌えなかった…出てくる声は悲しみに満ちた泣き声だけだった…

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