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「あー…マジだりぃ…うぜぇ…」
「髪をろくに乾かさずに寝るからよ…自業自得ね。」
ベッドの住人となっている俺にティアが冷たく見下ろした。
その顔は呆れている顔…まぁ、俺はティアにいつも呆れられているけどな。
ふと、いつも俺の傍にいるガイの姿がさっきから見えないのに気が付いた。
「……ガイは?」
「風邪を治す薬草を大佐から教えて貰って取りに行ったわ…
今日中に帰って来れるかわからないけど。」
ジェイドのやつ…どんな場所を教えたんだ…ジェイドが笑顔でガイに薬草が生えている
場所を教える姿が目に浮かぶ。
きっと簡単には取れない場所だ。
普段のガイなら冷静になって判断ができるだろうけど、
今のガイはきっと無理だ…だって俺が倒れてしまっているから。
別に薬草なんていい…ただ…今は…
「………傍にいろよな……」
「え?何か言った?」
「べ、べつに…」
声が小さくてティアに聞こえなかったようだ。
まぁ、別にティアでもいいんだけどな………話相手になってくれるのなら…けど…
「ルーク…大人しく寝てるのよ…でないと治るものも治らないから」
「……え?どっかいくのか?」
「………居て欲しいの?」
ティアの言葉に俺の心が少し驚いたように踊った。
素直に言えばいいのに…言えない…
いや、素直にってなんだ…そんなこと言うとか俺じゃない…俺はそんな弱くない…
そして素直になれない。
「な、なわけねぇだろうが!!!!ほら、うぜーからさっさと出て行けよ。寝れないだろ!!」
「……大人しく寝なさいね。」
そういうとティアはため息をついて部屋から出て行った。
俺はその背中を見つめながら布団に潜り込む。
風邪の時はいつもこうだった…誰かに居てほしい…けど、そんなの俺じゃない…
屋敷だったらガイがちょこちょこ様子を見に来ていたけど…そのガイも今は居ない。
「バガイ…少しは考えろよ…」
いや、ガイは俺の為に薬草を取りに行っている…けど俺はそんなことよりも…
いろいろと考えているうちにいつの間にか俺は眠っていた。




どれくらい眠ったのだろうか…目を覚ますと少し体調が良くなっていた。
けど、まだ外へ出れるほどではない…
ベッドの脇に誰か居たので顔を動かすとそこにはユーリが座っていた。
いつから居たのだろうか…ベッドの脇で椅子に座りながら眠っている…
女性達がユーリの顔を見て騒ぐ理由がわかる…初めて見るその寝顔は確かに美形だ。
俺なんかとは全く違う顔のつくりをしている…同じ人間なのだろうか?
じっとユーリの顔を見ているとユーリの瞳が動き目が合った。
「…よぅ、お坊ちゃん…なーに俺の顔なんて見てるんだ?」
「うっせー…何でお前が此処にいるんだよ…」
ユーリはすぐに答えを出そうとはしなかった。
ほんの少しだけ俺達の間に沈黙ができたが…ユーリが口を動かした為その沈黙は崩れた。
「聞こえたからだよ…」
「は?」
「お前が寂しい…傍に居て欲しいって…声が聞こえたからだよ」
「だ、誰もそんなこといってねぇし!!ばかじゃねぇのおまえ!!??」
熱のせいで熱い身体がますます熱くなる…何言い出すんだこいつは!!!
俺はムキになってユーリに文句を言いだすとユーリは何故かわらった。
「そんだけ元気ならもう大丈夫だな…」
「うっせー…さっさとこんな風邪治してやる…」
「そういえば…風邪早く治す方法知ってるか?」
こいつは俺を馬鹿にしているのか?
いくら屋敷育ちの俺でもそれぐらい知ってる…はずだ。
「薬を飲む…」
「いや…違うな…答えは…」
ユーリは両手で俺の頭を包み込むと俺の額に自分の額を当てた。
そんな至近距離でユーリの顔を見るのは初めてで…何故か俺の身体はあつくなる。
「他人に風邪を移すこと…」
「は、はぁ!!??」
何故だろう…ガイが額を当てて熱を測る時はこんなにドキドキしないのに…
今はすごく心臓が踊る…俺やっぱり病気かも…風邪なんかじゃなくて
もっと質の悪いやつ…
「ほら、俺に移せよ…俺はお前と違って丈夫だからな」
「だ、誰がお前なんかに…うつしてやるもんか…」
「そりゃ残念だな…お坊ちゃんから貰う風邪ならさぞ高級品かと思ったんだけどな…」
ユーリは少し残念な表情をして俺の額から離れた。
やっとユーリから離れられ心臓のドキドキは収まりつつあるけど…こんどは逆に寂しさが残る。
「……寝るから。出て行けよ…」
「別に俺が居ても寝れるだろ?」
ニヤニヤと笑うその顔が見ているだけで怒りがこみ上げてくる。
俺は布団を頭からかぶりユーリに背中を向けて寝る体制を取った。
けど、一つだけ疑問に思ったことがあるので、布団から顔を出してユーリに聞いた。
「俺の声…寂しいって声…聞こえたの本当かよ…」
「あ?あー…何となくだけどな…もしかしたら俺の中からの声だったかもな…」
「お前の…中…?お前中に誰かいるのか?」
「………さっさと寝ないと…魚食わせるぞ」
俺の嫌いな食べ物がシーフードと知ってからユーリは事あるごとに魚を食わせようとする。
ぜってー食べねぇからな!!!
俺はユーリを少し睨みつけてからまた布団の中へと潜りこんだ…
ティアが出ていった時はすぐに寝れたのに…ユーリが傍にいると思うと…何故か中々寝付けなかった…




数日後すっかり俺は元気になった。
けど、食堂でみかけたユーリは少し咳き込んでいる。
ティアからその後聞いた話だとユーリの部屋の前に風邪薬が置いてあったらしい…
俺には誰がそんなことをしたのかが検討がつかなかった。
どんな物好きだよ…ガイが折角取ってきた風邪薬をあんなやつに…
ぜってー俺じゃねぇからな!!!!そこんとこ間違えるんじゃねぇぞ!!!
……風邪は治ったけど俺…全く別の病気になってるんじゃねぇか…?
そんな気がしてならない今日この頃だった。


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