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旭屋本舗
ようこそいらっしゃいませ。 腐向けサイトですご理解のある方のみどうぞ。 始めての方はカテゴリー【What】をお読みください。
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会場内に何度も響く鈍い音…
二人の青年は何度も竹刀を打ちお互いの隙を伺っている。
周りの人々はそれをただ見守るしかない。
『っく…何だよこいつ…めちゃくちゃつえーじゃねぇか…』
緑の瞳を持った青年はこんな試合に出るんじゃなかったと心から後悔し始めた。
何度打ちあっても互角であったため、一旦距離を置いた時、何故か相手の身体のバランスが崩れた。
緑の瞳をもった青年はすかさずバランスを崩した相手の胸元へと竹刀を振りかざした…。


ある日の午後。
午前中はとても気持ちの良い青空が広がっていたが、
何かの前触れか午後からは雲行きが怪しくなってきたそんな日。
とある高等学校の廊下を
髪の長い青年がものすごく速いスピードで歩いていた。
廊下は走ってはいけません!!と風紀委員などに注意されるような速さだったが
走っているのではなく歩いている…歩いているのであれば誰も注意などできない。
いや、むしろ世界侵略を目論む魔王のような表情をした青年を
注意できる勇者はこの場所にはいなかった。
紅い髪をした青年は目的地である教室の前に到着すると、ドアが壊れるくらいの勢いでドアを開けた。
「おい!!屑はいるか!!!」
教室にいた生徒達はいきなりの来訪者に固まってしまい、訪問者の質問に答えられなかった。
「屑は居るかと聞いている…」
誰も返事を返さなかった為青年は鋭い目つきで教室のメンバーを睨んだ。
睨まれた瞬間皆ますます固くなり、自分達の教室にいる金髪の青年に助けを求めるように顔を向けた。
クラスメイトから助けを求められた金髪の青年は苦笑いをしながら来訪者に声をかけた。
「おいおいアッシュ…いきなり来てどうしたんだよ。来るならもう少し穏やかに尋ねてこいよな。」
教室にいた生徒達はうんうんと一同に首を縦に振った。
「俺はいつでも穏やかだ…。おい、ガイ…あの屑はどこにいきやがった…」
「はぁ…どこが穏やかなんだよ…」
「何か言ったか?」
「いいえ、何も…ルークなら飲み物買いに行ったぜ。そろそろ戻ってくるんじゃないのか?」
アッシュは舌打ちをするとガイの後の席…ルークの席に偉そうに座った。
「お前がルークを訪ねてくるなんて珍しいな。何かあったのか?」
「…………お前には関係ない。」
アッシュの態度に呆れていると、教室にアッシュによくにた髪の長い青年が入ってきた。
姿などはよく似ているが、髪の毛の色は少し違いオレンジ色の入った紅い髪をしていた。
「あれ?アッシュじゃん!!珍しいな俺の教室にいるなんて…あ、わかった!!一緒に帰ろうって誘いにきたんだな!!」
珍しい訪問者に顔を緩ませながら、ルークは自分の席に座っているアッシュに近づいた。
「屑が!!そんなわけないだろ!!」
怒りにみちた鋭い瞳でルークを睨みつける。
周りの生徒はその睨みに怖がってしまったが、生まれた時から一緒である双子の片割れの行動に慣れているのか
へらへらと笑いながらやっぱり?と返していた。
「じゃぁ何の用だ?」
ルークの質問にアッシュが答えるのに何故か重い空気がしばらく流れた…
アッシュの眉間には皺が増え答えるのに意を決しているように見えた。
そしてゆっくりとアッシュの口が動いた。
「お前に…頼みがある…」
「「は?」」
ガイとルークは間の抜けた声をだした。
あのプライドの高いアッシュが、世界で一番嫌いなルークに頼みごと!!??
その場にいた人間の心が一つにまとまった瞬間だった。
そしてガイがおそるおそる今の言葉を確認するようにアッシュに尋ねた。
「あ、アッシュ…お前が…ルークに頼みごと…?本気か?」
「あぁ…そうだ…この屑にしかできない頼みだ」

カンカラカン!!!!

アッシュとガイの足元に中身の入ったアルミ缶が転がり落ちた。
落としたのはルーク。
アッシュからの言葉に感動して買ってきたばかりの飲み物を落とした。
普段は兄と扱ってくれないアッシュから生まれて初めて頼みごとをされたら
感動するのも無理はない…
「お、俺…俺アッシュからの頼みなら何でも答える!!なんでもするから!!!」
アッシュの手をしっかりと握りしめ緑色の瞳をキラキラと輝かせた。
その反応に魔王はにやりと笑った。






それから数日後した晴れた日曜日。
学生達には楽しいはずの日曜日だったが、ここに約一名全く楽しい思いをしていない学生がいた。
その楽しんでいない学生は剣道の防具を見に着け、試合がこれから始まる会場の扉の前に立っていた。
「おい、屑…何してるんだ。さっさと中に入りやがれ」
会場の中から防具を見に着けたアッシュが会場の扉の前に立っているルークにげんこつを食らわせた。
「いてぇ…アッシュの馬鹿野郎…俺剣道の試合の助っ人だったらぜってー断ってるのに…騙しやがって…」
「誰もだましてなどいない。内容を聞く前に返事をしたお前が悪い。
 いい加減に腹くくりやがれ…それでもヴァンから剣を教わった弟子のセリフか?」
ルークは何も言い返せなかった。
確かに頼みごとの内容を聞かずに引き受けた自分が悪い…
しかし、何だかだまされたような気分になるのは自分だけなのだろうか…
「ってか試合前にナタリアの特性スープなんて部員に飲ませるなよ…」
「五月蠅い…俺が居ない時に飲んだ部員に文句言いやがれ…」
アッシュは剣道部の主将をしていた。
ことの発端はアッシュがルークに頼みごとをしてきた日の午前中にまでさかのぼる。
大事な練習試合が控えたその日。
剣道部員達は熱心に稽古をしていた時、アッシュの幼馴染であるナタリアが特性スープを持ってきた。
部員達は喜んでナタリア特性スープを飲み、そのまま腹を壊した…
その場にアッシュが居れば止めれたのだが、運悪く席をはずしていて止めることができなかった…
生き残った部員は数名しか居ず、全員を集めても試合の規定人数に足らなかったためルークの元へ足を運んだという話だ。
「ってか何で俺なんだよ…別に練習試合ならガイでもいいじゃん…」
膨れた顔をしたルークが諦めたように会場に足を運びながらアッシュを睨みつけた。
睨みつけられたアッシュだったが、ルークに睨まれても何も感じることはなく平然とルークの質問に答えた。
「ガイじゃあいつの相手は無理だ…あの二人に勝つにはお前でないとな…」
「あの二人?」
アッシュが睨みつける(いや普段から睨みつけているが)方を見ると、
黒い髪の青年とガイとは違う色をした金髪の青年が何やら話をしていた。
ルークが顔を知らないということは多分対戦学校の選手なのだろう…
「金髪の奴が、セイント・ヴェスペリア学園剣道部主将フレン・シーフォ…通称『純白の聖騎士』
 そして黒い髪の奴が剣道部エースユーリ・ローウェル…通称『漆黒の王子』だ」
「へー…そういえばアッシュにもなんか通称ついてたよな?えっと、確か『深紅の…」
「余計なことを思い出そうとするんじゃねぇ!!!」
ルークが思い出そうとしているところにアッシュが鉄拳を食らわせた。
「いってぇ~!!!何だよ!!アッシュの馬鹿!!ハゲ!!!」
「誰がハゲだ!!いいから黙ってついてきやがれ!!!」
怒りながらアッシュは部員達の待つところへと足を向けた。
そのあとをルークがしぶしぶついていこうとしたが
誰かに見られている気配を感じて振りかえってみるとユーリと目が合ってしまった。
何も返さないのは悪いと思い頭を少し下げ、アッシュの元へと走って行った。
「ユーリ…何を見ているんだ?」
「いや…何か見たことのないやつが居たから…向こうの主将さんに顔が似てたが…弟か?」
「さぁ…?ほら、皆が待っている。いくよ」
「へいへい」
フレンに呼ばれユーリは他の部員達の元へと歩いて行った。

「一本!!!!」
会場内に審判の声が響き渡った。
バランスを崩した試合相手の隙を付き、ルークは一本を取った。
「え?あ…え?俺…勝てたのか…?『漆黒の王子』に…」
ルークの対戦相手は『漆黒の王子』と呼ばれたユーリ・ローウェルだった。
ある程度剣の腕には自信があったルークだったが、ユーリを目の前にして感じた…
ユーリの強さを…
アッシュが何故自分を試合に連れだしたかがその場でやっと理解できた。
自分より強いアッシュですら勝てるかはわからない…そんな相手は師匠であるヴァンしかいないと思っていた…
けど、自分と近い年齢でこんな人が居るなんて…世界は広いとルークは関心してしまった。
確かに強い相手だったが、勝つしかなかった。
自分の試合の結果で今日の練習試合の勝者が決まる…そんな状況に追い込まれていた。
それだけではない、ルークの強さを信じて試合に連れだしたアッシュの期待にこたえる為にも勝つしか…
そんな意気込んで臨んだ試合。
必死になって勝てた試合だからこそ、嬉しさもかなりのもので
試合中にも関わらずルークは小さくガッツポーズを取った。
試合後のあいさつが終わると部員達が本日の英雄…ルークの元へ集まりだした。
「ルークよくやったな!!まさか勝てるとは思ってなかったぞ!!」
「すごかったですわ!!私感動しました!!」
「っふ…危なっかしいところはあったが…よくやった方じゃないか…?」
珍しくアッシュもほめてくれてルークは顔が緩んだ。
そこへ、二人の青年がルークに声をかけた。
振りかえってみると、そこにはユーリとフレンが立っていた。
「よぅ、俺から一本取るなんてなかなかやるな…俺はユーリ・ローウェルだ。お前名前は?」
「ルーク…ルーク・フォン・ファブレだ。」
ユーリから握手を求められ、笑顔で握手をした。
そこへユーリの後にいたフレンが笑顔で話しかけてきた。
「アッシュと同じ性だね。弟さん?」
「………アッシュが弟だ。俺が双子の兄だ…」
今まで何度も間違えられた…アッシュが兄だと…
経験するたびに苦い気持ちになっていまう…が毎回訂正をする。
気まずそうな顔をしたルークを見てユーリがにやにやと笑い出した。
「何だお前が兄か。そうだ、よかったらメルアド交換しないか?」
「え?あー…いいよ。えっと俺のアドレスは…」
ユーリに自分のアドレスを教えている時、その後で怒りに満ちた魔王が降臨していることに
ルークは気がついていなかった…






いつもは明るいルークだったが、この日は珍しく重い空気を周りに飛ばしていた。
登校してきたガイが心配そうに話しかけてきた。
「お、おい…ルークどうしたんだ?腹でも壊したか?」
ガイからの質問にルークは首を振った。
何故落ち込んでいるかわからず隣にいたアッシュの見ると、何も言わずに一枚の紙をガイへ渡した。
ガイが受け取ったのは今朝発行された学校新聞だった。
「え~…何々?お、昨日の試合の結果…んんっ!?」
新聞の一面は先日行われた試合の結果だったが、見出しが少し変っていた。
「【『漆黒の王子』、『深紅の魔王』から『紅き鎧の姫』奪還ならず】…って姫って誰だ?」
「内容をよく読みやがれ屑が」
アッシュに言われ、新聞の内容を読み始めた。
「えっと…【先日当校で行われた、セイント・ヴェスペリア学園との練習試合。苦戦しながらも我が校の勝利。
 その勝利に導いたのは剣道部主将アッシュ・フォン・ファブレの双子の兄であるルーク・フォン・ファブレだ。
 その可憐で美しい姿に心奪われた生徒数知れず。まさに『紅き鎧の姫』と呼ぶべきであろう。
 試合相手は『漆黒の王子』と『純白の聖騎士』。その試合風景は『深紅の魔王』から囚われ、操られている
 『紅き鎧の姫』を奪還するかの様であった。今後我が新聞部はこの奪還模様を追って行く意向である】
 『紅き鎧の姫って…お前のことかルーク!!!!」
凹んで机にへばり付いていたルークが顔を起こして怒りをあらわにした。
「そうみたい…誰が姫だ誰が!!俺は男だってば!!!!」
「っは…お前はまだいい…前から思っていたが俺の何処が魔王だ!!!」
「お前はいつもしかめっ面してるからだろうが!!魔王って言われて当然だ!!!」
「何だとこの屑!!!」
「おいおい!!ちょっと待て落ち着け二人とも!!」
ルークに殴りかかろうとしたアッシュだったが、ガイに必死に抑えられ殴り合いは未遂に終わったが、
口げんかはガイが止めることができなかった。
二人が喧嘩しているところへ見知らぬ生徒が教室へと入ってきた。
「よぅ、ルーク…元気にしてるか?暇なら学校サボってどっか上手いケーキとか食いにいかないか?」
教室に入ってきたのは『漆黒の王子』…ユーリだった。
何故他校の生徒がルークの教室へ堂々と来れたのかが謎だ。
「なっ…ユーリ何でここにいるんだ!!お前他校の生徒だろ!!ってか、俺はお前のせいで変なあだ名つけられて
 迷惑してるんだ!!誰がお前なんかと遊びに行くもんか!!!」
「あぁ…『紅き鎧の姫』だったか?別に似合ってるから問題ないだろ。むしろ王子と姫ならちゃんとそれらしく
 デートしないとな…なぁ、愛しの『紅き鎧の姫』…」
ユーリはルークの伸びた紅い髪に軽くキスを落とした。
その行動に女性からは黄色い悲鳴があがり、『紅き鎧の姫』はその名のごとく顔を真っ赤にさせた。
そしてもちろん…『深紅の魔王』も降臨した。
「お、お前なんか大っきらいだああああああああああああああああああああ!!!!!!」
ルークの叫びが校内に響き渡った。
その時ホームルームが始まるチャイムが同時に鳴り響いた…
そう、それはまるでルークの平凡な学生生活が終わりを告げる鐘のように鳴り響いた…。

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