旭屋本舗
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エステルは言う。
「彼はすっごく優しい人です…ただ不器用なだけで…」
ロイドは言う。
「優しくて…頼りになるよ。みんな気がついていないだけで」
ガイは言う。
「不器用なやつだけど…本当はいいやつなんだ。」
あいつの何処が?俺には全くわからねぇ…
俺の人を見る目が無いのだろうか…
いや、こんな意見を言うのはギルドの中でもごく一部だ。
ほとんどのメンバーは俺と同じ印象しかもっていない。
けど俺は知ることになる…人間は奥深いことを…。
絆創膏×印象×きっかけ
「いてっ…」
食堂で洗いものをしていると指から脳へ痛みという感覚が流れた。
右手を見ると皮膚が切れて血が流れ始めている、
洗っていた食器を見ると縁が少し欠けておりこれで切ってしまったのだろう。
一緒に洗いものをしていたリリーが慌てて声をかけてきた。
「ユーリさん大丈夫です?あっ…血が出てる…すぐにアニーさんのところへ行った方がいいですよ。」
「これくらい大丈夫だって。それに今回復できる人間ほぼクエストで出てて
医務室込んでるだろうから後でいくさ。」
ユーリはそのまま洗いものを再開する。
すこし洗剤でしみて痛いが、戦闘で受ける痛みに比べたら可愛いものだ。
「すみません…私が回復使えたらいいんですが…」
「気にするな」
少し悲しそうな表情を見せるリリーに対してユーリは少しだけ口元を上げる
するとリリーの頬は少し赤くなりユーリの顔を見ないように後を向いた。
「っへ、だっせーの。そんなので指なんて切るなよ。」
「おいおいルーク…」
声の主はまだ食堂に居たルーク、そして従者のガイだった。
「洗いものなんてしないお坊ちゃんにはこのつらーい痛みわかんねぇだろうな…
あ、しないじゃなくてできないだったか?」
「なんだとっ…俺だってなそんな洗いものくらい…」
ガイは「また始まった」と小さくつぶやいた。
もう最近はこの二人にとってこんなやりとりは日常茶飯事で、
最初は止めに入っていたギルドメンバー達も今やほとんど止めるものはいない。
居るとしたらガイとフレンくらいなものだった。
ユーリは挑発するような頬笑みを作りルークをからかいはじめた。
「ほー、じゃぁやってみろよ。」
「上等だ!!」
「こらこら、熱くなるんじゃない。」
今にもユーリに飛びかかろうとするルークをガイが必死に止め座らせるが
ルークの怒りは収まる様子を見せていない。
「だいたいお前が洗いものなんてしたらここの皿全部割れる。」
「確かに…」
「ガイまで何言い出すんだ!!!」
怒りの矛先はユーリから自分の味方であるガイへと移った。
ガイは笑いながら怒るルークを宥めるが一向に効果はないようだ。
「あー…悪かった悪かった。けどなルーク案外皿で手切ると痛いんだぞ。」
「そうなのか…っへ、けど俺には関係ないね。」
確かにルークは貴族だ。
ここのギルドに居る時は当番として食堂当番が回ってくるが
洗いものなどはガイがやってくれている。
国に戻れば貴族としての生活に戻るため皿洗いなど無縁の生活だ。
「まぁ、これで一つお利口になったな。よかったなぁー。」
「てめぇ…俺をからかってるのか?」
「お、ようやく自分が遊ばれてることに気がつく知識を身に付けたのか?
成長したなぁ…えらいえらい。」
ルークの中から何かが切れる音がした。
そして、怒りの眼でユーリを睨みつける。
「だあああああああああ!!お前ほんとうっぜーな!!!俺は部屋に戻る!!」
ルークはテーブルを強く叩き風のような速さで食堂を出て行った。
それを見たガイは慌ててルークを追いかけようとするが、
一度とまりユーリに頭を下げた。
「お、おいルーク…!!!はぁ…すまないな……気を悪くしないでくれ
って言うのは無理か…本当すまない。」
「俺も遊びすぎたな、悪かった。」
「でもルークってホント子供だよね」
ずっと黙ってみていたリリーが呆れたように会話に参加した。
その言葉に言い返す言葉などガイの中にはなく、
苦笑いだけをすると二人に手を振ってルークの後を追いかけた。
「さてと…あと少しで終わりか…」
「そのあとちゃんと医務室いってくださいね。」
「へいへい。」
洗いものが終わりリリーに言われた通り医務室へと足を向けるユーリの姿があった。
本当ならばこのくらいの傷医務室に行く必要性などないのだが、
あまりにもリリーに言われるので仕方なく医務室へと向かっている。
医務室の扉が見えたが、医務室の手前でユーリの足は自然と止まった。
何故なら医務室の手前でルークがえらそうに壁にもたれかかっていたからだ。
一度は止まったユーリの足だったが、ルークのことは気にしないことにして
医務室へとまた足を動かした…だが、
「おい…。」
ルークに呼び止められ再び足を止めることになった。
ユーリは少しめんどくさそうな表情をしてルークの方に顔を向ける。
「何だよ…何か用か?それともさっきの続きか…?ってうぉっ!!!!」
ユーリが言い終わる前にルークはユーリの顔面に拳を突き刺した。
顔面にぶつかるかと思いよけようとしたが、顔面直前で拳は止まった。
「おい…何のつもりだ?喧嘩なら買うぜ?」
「……………。」
「ん?何だって?」
普段大きい声のルークだったが、今は何を言ってるか全く聞こえないほど小さい声だ。
しかも何故か顔が真っ赤になっている。
「だからっ…手出せって!!!」
「え?あぁ…」
ルークに言われた通りに手を出すと、拳が開き何かがユーリの掌へと落ちた。
「何だこれ…?」
「…お前しらねぇの?チーグルって言ってライマ国の聖獣…」
「いや、柄のこと言ってるんじゃねぇ。」
そもそも他国であるユーリがライマ国の聖獣何てしってるはずがなかった。
エステルあたりなら知っているかもしれないがユーリは自分の国以外には興味がない。
「………絆創膏。」
ユーリの掌に落ちてきたのはチーグルといったライマ国の聖獣(かなりデフォルメされている)
の柄が入った絆創膏だった。
何故ルークが絆創膏を渡してきたのか未だ理解ができていないユーリはルークの顔を見る、
ルークの顔は相変わらず真っ赤だ…風邪でも引いているのではと思えるくらい。
「お前…さっき…怪我…」
「あっ…」
ユーリはさきほどの食堂での出来事を思い出した。
あまりにも可愛らしい絆創膏は多分ルークの持ち物ではない、
むしろルークの私物に絆創膏があるとは想像できなかった。
「これ…お前が?」
「ち、ちげぇよ!!!さっきのことティアに話したら、ティアが渡せってうるせぇから!!!
べ、別に俺からじゃねぇからな!!ティアからだからな!!そこんとこ勘違いするんじゃねぇぞ!!!」
「ほー…ティアからねぇ…ティアから貰ったの間違いじゃないか?」
「そ、そう…俺が前にティアから貰ったやつ…じゃねぇ!!!だから勘違いするなって言ってるだろうが!!
それだけだからな!!!お、俺昼寝するから…邪魔するんじゃねぇぞ!!!」
長い髪を靡かせてルークは自室へと戻る…いや逃げるように飛び込んで行った。
中からガイとティアの驚く声が聞こえる。
ユーリは絆創膏を見つめ少し微笑んだ。
「普通医務室の前で渡すか?もっと渡す場所あるだろうが…」
たまたまルーク達の部屋が医務室の前だったからだろうか?
いや、それでももっと渡せる場所はあったはずだが、これが彼なりの渡し方なのだろう…
「本当…おもしれぇやつだ…」
ユーリはそのまま医務室に入っていった。
そして、消毒だけしてもらい貰ったばかりの絆創膏を右手に貼り付けた。
「うわぁ…すごく可愛い絆創膏ですね。それどうしたんです?」
医務室から戻る途中クエストから戻ってきたエステル達に出くわした。
流石女の子といったところ…
エステルはユーリの右手に貼ってあった絆創膏に目を輝かせている。
「あぁ…これか?これはとある貴族のお坊ちゃんから直々に貰ったやつでなぁ…」
「だから俺からじゃねぇって言ってるだろうが!!!」
エステルに冗談交じりで絆創膏のことについて話していると
ユーリの後からルークの叫び声が聞こえた。
振り向いてみるとルークが顔を真っ赤にさせて立っている。
クエストカウンターを見るとガイがアンジュと話しているのでクエストを受けにきたのだろう。
「お前昼寝するんじゃなかったのか?」
「う、うっせぇー!!そんなことはどうでもいいんだよ!!
だからそれは俺からじゃなくて…!!!」
「俺一言でもこいつの名前言ったか?」
エステルに問いかけると素直に首を横に振った。
それを見たルークは少し驚いた顔をしたが、
またすぐに真っ赤になってユーリを睨みつけた。
「うっせーうっせー!!!お前なんてもうしらねぇ!!!
おい、ガイ…さっさとクエストいくぞ!!!」
大股でガイのところへと向かおうとしたが、
ルークの身体は素直に前へと進めなかった…
「ほー…クエスト行くのか…じゃぁ、俺も混ぜてもらおうかな」
「な、何でお前が!?」
「そんな気分なんだよ。」
「何だよそれ!!!」
ルークはユーリに大声でいろいろ文句を言っているが、
その間にアンジュにクエストを受理されてしまい結局一緒に行くことになってしまった。
「ったく…何でこんなやつと…」
「まぁまぁ、人数多い方が楽だろ?」
ガイに宥められるが納得していない様子のルークは頬を膨らませている。
そんな姿を見たユーリは気がつかれないように小さく笑った。
「あ、そうだ…ティアにさっきのお礼言っておいてくれよ。「ありがとうな」って」
「………気が向いたら言っておく。」
顔を真っ赤にさせユーリからそっぽを向く。
どうしたらこう毎回毎回顔を真っ赤にできるのか不思議で仕方がない。
「ん?ティアにって…何かあったのか?」
「ん?これは俺とお坊ちゃんの二人だけのひ・み・つ」
「きしょくわりぃこと言ってるんじゃねぇよ!!!ほら、さっさと行くぞ!!」
「へいへい。」
ユーリは軽い返事をしながらも楽しそうな表情でルークの後を追いかけた。
俺はこの時まだ気がついていなかった。
この貴族様にどんどんはまっていくことを…
いろんな表情をみせるこの貴族様に。
出会ったころの悪い印象なんてこのころからどんどん抜けていく。
数カ月後俺らはラザリスを助ける。
そして、ずっと胸の奥に閉まっていたアイツへの思いを伝えた。
身分の違い、環境の違いから伝えるつもりなんて無かった思いを…
最初はあいつの人生を狂わせるだけだと思っていた。
貴族として生活している方が何不住なく暮らしていける。
俺と居たってどんな暮らしが待っているか分からない…
けど、アイツは俺を選んだ。
選んでくれたからには俺もアイツに贈ろう。
絆創膏ではない…俺の気持ちを…
「彼はすっごく優しい人です…ただ不器用なだけで…」
ロイドは言う。
「優しくて…頼りになるよ。みんな気がついていないだけで」
ガイは言う。
「不器用なやつだけど…本当はいいやつなんだ。」
あいつの何処が?俺には全くわからねぇ…
俺の人を見る目が無いのだろうか…
いや、こんな意見を言うのはギルドの中でもごく一部だ。
ほとんどのメンバーは俺と同じ印象しかもっていない。
けど俺は知ることになる…人間は奥深いことを…。
絆創膏×印象×きっかけ
「いてっ…」
食堂で洗いものをしていると指から脳へ痛みという感覚が流れた。
右手を見ると皮膚が切れて血が流れ始めている、
洗っていた食器を見ると縁が少し欠けておりこれで切ってしまったのだろう。
一緒に洗いものをしていたリリーが慌てて声をかけてきた。
「ユーリさん大丈夫です?あっ…血が出てる…すぐにアニーさんのところへ行った方がいいですよ。」
「これくらい大丈夫だって。それに今回復できる人間ほぼクエストで出てて
医務室込んでるだろうから後でいくさ。」
ユーリはそのまま洗いものを再開する。
すこし洗剤でしみて痛いが、戦闘で受ける痛みに比べたら可愛いものだ。
「すみません…私が回復使えたらいいんですが…」
「気にするな」
少し悲しそうな表情を見せるリリーに対してユーリは少しだけ口元を上げる
するとリリーの頬は少し赤くなりユーリの顔を見ないように後を向いた。
「っへ、だっせーの。そんなので指なんて切るなよ。」
「おいおいルーク…」
声の主はまだ食堂に居たルーク、そして従者のガイだった。
「洗いものなんてしないお坊ちゃんにはこのつらーい痛みわかんねぇだろうな…
あ、しないじゃなくてできないだったか?」
「なんだとっ…俺だってなそんな洗いものくらい…」
ガイは「また始まった」と小さくつぶやいた。
もう最近はこの二人にとってこんなやりとりは日常茶飯事で、
最初は止めに入っていたギルドメンバー達も今やほとんど止めるものはいない。
居るとしたらガイとフレンくらいなものだった。
ユーリは挑発するような頬笑みを作りルークをからかいはじめた。
「ほー、じゃぁやってみろよ。」
「上等だ!!」
「こらこら、熱くなるんじゃない。」
今にもユーリに飛びかかろうとするルークをガイが必死に止め座らせるが
ルークの怒りは収まる様子を見せていない。
「だいたいお前が洗いものなんてしたらここの皿全部割れる。」
「確かに…」
「ガイまで何言い出すんだ!!!」
怒りの矛先はユーリから自分の味方であるガイへと移った。
ガイは笑いながら怒るルークを宥めるが一向に効果はないようだ。
「あー…悪かった悪かった。けどなルーク案外皿で手切ると痛いんだぞ。」
「そうなのか…っへ、けど俺には関係ないね。」
確かにルークは貴族だ。
ここのギルドに居る時は当番として食堂当番が回ってくるが
洗いものなどはガイがやってくれている。
国に戻れば貴族としての生活に戻るため皿洗いなど無縁の生活だ。
「まぁ、これで一つお利口になったな。よかったなぁー。」
「てめぇ…俺をからかってるのか?」
「お、ようやく自分が遊ばれてることに気がつく知識を身に付けたのか?
成長したなぁ…えらいえらい。」
ルークの中から何かが切れる音がした。
そして、怒りの眼でユーリを睨みつける。
「だあああああああああ!!お前ほんとうっぜーな!!!俺は部屋に戻る!!」
ルークはテーブルを強く叩き風のような速さで食堂を出て行った。
それを見たガイは慌ててルークを追いかけようとするが、
一度とまりユーリに頭を下げた。
「お、おいルーク…!!!はぁ…すまないな……気を悪くしないでくれ
って言うのは無理か…本当すまない。」
「俺も遊びすぎたな、悪かった。」
「でもルークってホント子供だよね」
ずっと黙ってみていたリリーが呆れたように会話に参加した。
その言葉に言い返す言葉などガイの中にはなく、
苦笑いだけをすると二人に手を振ってルークの後を追いかけた。
「さてと…あと少しで終わりか…」
「そのあとちゃんと医務室いってくださいね。」
「へいへい。」
洗いものが終わりリリーに言われた通り医務室へと足を向けるユーリの姿があった。
本当ならばこのくらいの傷医務室に行く必要性などないのだが、
あまりにもリリーに言われるので仕方なく医務室へと向かっている。
医務室の扉が見えたが、医務室の手前でユーリの足は自然と止まった。
何故なら医務室の手前でルークがえらそうに壁にもたれかかっていたからだ。
一度は止まったユーリの足だったが、ルークのことは気にしないことにして
医務室へとまた足を動かした…だが、
「おい…。」
ルークに呼び止められ再び足を止めることになった。
ユーリは少しめんどくさそうな表情をしてルークの方に顔を向ける。
「何だよ…何か用か?それともさっきの続きか…?ってうぉっ!!!!」
ユーリが言い終わる前にルークはユーリの顔面に拳を突き刺した。
顔面にぶつかるかと思いよけようとしたが、顔面直前で拳は止まった。
「おい…何のつもりだ?喧嘩なら買うぜ?」
「……………。」
「ん?何だって?」
普段大きい声のルークだったが、今は何を言ってるか全く聞こえないほど小さい声だ。
しかも何故か顔が真っ赤になっている。
「だからっ…手出せって!!!」
「え?あぁ…」
ルークに言われた通りに手を出すと、拳が開き何かがユーリの掌へと落ちた。
「何だこれ…?」
「…お前しらねぇの?チーグルって言ってライマ国の聖獣…」
「いや、柄のこと言ってるんじゃねぇ。」
そもそも他国であるユーリがライマ国の聖獣何てしってるはずがなかった。
エステルあたりなら知っているかもしれないがユーリは自分の国以外には興味がない。
「………絆創膏。」
ユーリの掌に落ちてきたのはチーグルといったライマ国の聖獣(かなりデフォルメされている)
の柄が入った絆創膏だった。
何故ルークが絆創膏を渡してきたのか未だ理解ができていないユーリはルークの顔を見る、
ルークの顔は相変わらず真っ赤だ…風邪でも引いているのではと思えるくらい。
「お前…さっき…怪我…」
「あっ…」
ユーリはさきほどの食堂での出来事を思い出した。
あまりにも可愛らしい絆創膏は多分ルークの持ち物ではない、
むしろルークの私物に絆創膏があるとは想像できなかった。
「これ…お前が?」
「ち、ちげぇよ!!!さっきのことティアに話したら、ティアが渡せってうるせぇから!!!
べ、別に俺からじゃねぇからな!!ティアからだからな!!そこんとこ勘違いするんじゃねぇぞ!!!」
「ほー…ティアからねぇ…ティアから貰ったの間違いじゃないか?」
「そ、そう…俺が前にティアから貰ったやつ…じゃねぇ!!!だから勘違いするなって言ってるだろうが!!
それだけだからな!!!お、俺昼寝するから…邪魔するんじゃねぇぞ!!!」
長い髪を靡かせてルークは自室へと戻る…いや逃げるように飛び込んで行った。
中からガイとティアの驚く声が聞こえる。
ユーリは絆創膏を見つめ少し微笑んだ。
「普通医務室の前で渡すか?もっと渡す場所あるだろうが…」
たまたまルーク達の部屋が医務室の前だったからだろうか?
いや、それでももっと渡せる場所はあったはずだが、これが彼なりの渡し方なのだろう…
「本当…おもしれぇやつだ…」
ユーリはそのまま医務室に入っていった。
そして、消毒だけしてもらい貰ったばかりの絆創膏を右手に貼り付けた。
「うわぁ…すごく可愛い絆創膏ですね。それどうしたんです?」
医務室から戻る途中クエストから戻ってきたエステル達に出くわした。
流石女の子といったところ…
エステルはユーリの右手に貼ってあった絆創膏に目を輝かせている。
「あぁ…これか?これはとある貴族のお坊ちゃんから直々に貰ったやつでなぁ…」
「だから俺からじゃねぇって言ってるだろうが!!!」
エステルに冗談交じりで絆創膏のことについて話していると
ユーリの後からルークの叫び声が聞こえた。
振り向いてみるとルークが顔を真っ赤にさせて立っている。
クエストカウンターを見るとガイがアンジュと話しているのでクエストを受けにきたのだろう。
「お前昼寝するんじゃなかったのか?」
「う、うっせぇー!!そんなことはどうでもいいんだよ!!
だからそれは俺からじゃなくて…!!!」
「俺一言でもこいつの名前言ったか?」
エステルに問いかけると素直に首を横に振った。
それを見たルークは少し驚いた顔をしたが、
またすぐに真っ赤になってユーリを睨みつけた。
「うっせーうっせー!!!お前なんてもうしらねぇ!!!
おい、ガイ…さっさとクエストいくぞ!!!」
大股でガイのところへと向かおうとしたが、
ルークの身体は素直に前へと進めなかった…
「ほー…クエスト行くのか…じゃぁ、俺も混ぜてもらおうかな」
「な、何でお前が!?」
「そんな気分なんだよ。」
「何だよそれ!!!」
ルークはユーリに大声でいろいろ文句を言っているが、
その間にアンジュにクエストを受理されてしまい結局一緒に行くことになってしまった。
「ったく…何でこんなやつと…」
「まぁまぁ、人数多い方が楽だろ?」
ガイに宥められるが納得していない様子のルークは頬を膨らませている。
そんな姿を見たユーリは気がつかれないように小さく笑った。
「あ、そうだ…ティアにさっきのお礼言っておいてくれよ。「ありがとうな」って」
「………気が向いたら言っておく。」
顔を真っ赤にさせユーリからそっぽを向く。
どうしたらこう毎回毎回顔を真っ赤にできるのか不思議で仕方がない。
「ん?ティアにって…何かあったのか?」
「ん?これは俺とお坊ちゃんの二人だけのひ・み・つ」
「きしょくわりぃこと言ってるんじゃねぇよ!!!ほら、さっさと行くぞ!!」
「へいへい。」
ユーリは軽い返事をしながらも楽しそうな表情でルークの後を追いかけた。
俺はこの時まだ気がついていなかった。
この貴族様にどんどんはまっていくことを…
いろんな表情をみせるこの貴族様に。
出会ったころの悪い印象なんてこのころからどんどん抜けていく。
数カ月後俺らはラザリスを助ける。
そして、ずっと胸の奥に閉まっていたアイツへの思いを伝えた。
身分の違い、環境の違いから伝えるつもりなんて無かった思いを…
最初はあいつの人生を狂わせるだけだと思っていた。
貴族として生活している方が何不住なく暮らしていける。
俺と居たってどんな暮らしが待っているか分からない…
けど、アイツは俺を選んだ。
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