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旭屋本舗
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これは俺がまだ幼い頃の話。
俺の中にはもうないけれど、
俺達は大切な約束をした…
失くしたものは取り戻せない…
けどいつか取り戻したい…
大切な…大切な…約束…





『俺待ってるから…何日…何週間…何カ月…何年でも…お前のこと、
 だって…俺達友達だから…』
『だったらずっと…これから守っていく…何日…何週間…何カ月…何年でも…お前のこと、
 だって俺達は二人で一人なんだから…』





それぞれの約束。3~ルーク編~





今日はいつもとは違う俺が居る。
普段なら学校が終わるとまっすぐに家に帰るけれど今日は違う。
アッシュと一緒に近くの広場へ寄り道…
目的は広場ではなく隣に建っていた潰れた病院。
俺達はその潰れた病院の最後を見るために広場へと足を運んできた。
毎日部活があるアッシュが今日だけは休みを取って一緒に来てくれたけど、
部活を任せた副主将から電話が入り俺から少し離れたところでただいま電話中。
一人寂しく壊される前の病院を眺めていると近くのベンチに見慣れた漆黒の影を見つけた。
近づいていくと向こうも俺に気がついたらしく手を軽く上げて挨拶をしてくれた。
「よう、ルーク。こんなところで何してるんだ?」
「ユーリこそ何してるんだよ。お前部活は?」
「俺はまぁ…苦い思い出を思い出しにな…今日は学校の事情により部活は休みなんだよ」
わざわざ丁寧なご説明どうもありがとう…。
結構学校自体をサボるユーリだからどこまで本当かわからないけど、多分本当なんだと思う。
俺はユーリの隣に座ると丁度目の前に壊される病院があったのでそれを眺めた。
最後にこの病院を見たら…と思ったけれど何も起きない…自分の中から何かが変わる気配がしない…
俺は深いため息をつくとユーリが俺の頭を優しく撫でた。
「なーにため息なんて似合わないのついているんだ?」
「んー?あの病院を見たら何か思い出せるかなって思ったんだけど…無理みたいだな…」
「思い出す?」
俺は大きく伸びをして空を見上げた。
アッシュからはあまりこの話をしないように言われているけど…
ユーリになら話していい気がする…いや、話さないといけないきがする。
何となくそんな気がして俺は昔話を始めた。
「俺…幼い頃の記憶全部飛んじゃってさ…俺と同じくらいの子とすごく大切な約束したらしいんだけど…
 思い出したくても思い出せなくて…丁度あの部屋に居たんだ。」
俺が指をさした場所は目の前にあった一つの病室の窓。
傍には大きな木があり緑が生い茂ってて窓はあまり見えない。
ふとユーリを見るとなんだかすごく驚いた顔をしている。
そして俺の方を真剣な眼差しで見るとゆっくりと口を開いた。
「なぁ…その話もっと詳しく聞かせてくれないか…」
「え?あ…いいけど…あの病院さ…俺の親戚が経営してて…院長が亡くなって継ぐ人が居ないから取り壊しになるんだ」
「お前の親戚ってには知らなかったけど…取り壊しになる理由は知ってる。」
「俺昔あそこに入院…いや、ある意味監禁状態になってたらしくてさ…病室の外にも出れないし
 誰とも話することができなかったらしいんだ…」
自分の思い出なのにまるで他人から聞いたような言い方。
それは仕方がないこと…だってこの話は全部アッシュや両親から聞いた話なのだから…
「意図的な交通事故が原因で入院…応急的な手術は無事に終わった。次の大きな手術をする間だけあそこに居た。
 その間に俺はその子と出会った…看護婦や親は全くその存在知らなかったけどアッシュだけ知ってた。
 窓辺で毎日のように話をしてたんだってさ…楽しそうに…」
「……………窓辺で…。」
「で、元の生活に戻る為の手術をしたんだけど…その手術は失敗したんだ。」
「え?」
ユーリは本当に真剣な顔をして俺の話を聞いてくる…この話のどこに興味があるのだろうか…。
「え、えっと…手術が失敗して俺はずっと眠り続けたんだって…童話のお姫様のように…
 その頃俺の家すっげーぎくしゃくしててさ…親も俺のこと見捨てるつもりだったっぽい…」
「自分の子供なのにか?」
俺は悲しかったけど首を縦に振った…だって事実なのだから…
「アッシュが居たから…だと思う。後継ぎに困ることないし…けどその時ナタリアとアッシュが助けてくれた…
 あの時のナタリアすごかったらしいぜ…えっと何て言ったんだっけな…」
「『おじ様とおば様がルークを見捨てようとしても私とアッシュは見捨てません!!
 だってルークは私達の大切な人のですから!!!』…だ。この屑いきなり居なくなるんじゃねぇ…」
俺の後ろからいきなり俺にそっくりな声…いや俺の声をめちゃくちゃ低くした声がしたので振り向くと
そこには眉間に皺を寄せたアッシュが怒りをあらわにして立っていた…。
「あ、アッシュ…ごめん…電話してたから声かけれなくてさ…」
「たっく…しかも何でこんなやつにその話してるんだ…」
「ユーリが聞きたいって言うから…」
「そーそー。俺が聞きたかったんだよ。しかし、ナタリアすごい行動派だったんだな…」
「今もだけどな…それで何か海外にいる有名な医者をわざわざ呼び寄せて俺の手術を受けさせたんだ…
 手術は成功して普段の生活を取り戻せたけど…失敗した手術の後遺症かな…いろいろなものを失った…
 その中の一つが手術を受ける前の記憶全部…今も思い出すことできないしな…」
「あと性格だな…手術を受けてからとは全くの別人みたいになった。」
アッシュは嫌みったらしくいうけど…そんなこと言われても手術を受ける前の自分が
どんな自分だったかわからない…何かすごく生意気だったらしいけど…
「ふ、ふーん…お前も大変だったんだな…で?その窓辺で話をした子供との約束…全く覚えてないのか?」
「あぁ…うん…顔も名前もわからなくてさ…アッシュも記憶なくす前の俺から名前聞いてなかったみたいだし…
 けど、アッシュが知ってるぞ。えっと…何て言ったんだっけなぁ…」
思い出せないのでアッシュの顔を見るとため息をついて口を開いた。
「何度も言わせるな…確か…」
「『俺待ってるから…何日…何週間…何カ月…何年でも…お前のこと、だって…俺達友達だから…』とか?」
その言葉を言ったのはアッシュではなくユーリだった。
そしてユーリは少し悪戯な表情をして俺達二人を見た。
何故かアッシュがとても驚いた顔をしている…何故だろう…
「あー…それそれ。そんな感じ…って何でユーリが知ってるんだ?」
「ん?昔本か何かで読んだ内容のセリフだったんだが…そうか…こんな感じの内容か…」
何故かうんうんとすごく納得した顔をしている…たまにユーリは一人で解決していまうところがある
…変なやつだ。
「お前…その言葉…まさか…お前が…」
「さーて…何のことやら…」
何故か二人の間にあまりよろしくない空気が流れる…
今日はこの空気流れないと思ってたのに何でなんだよぉ~!!!!
「えっと…まぁ、俺はそいつに謝りたいんだ…ずっと待たせてたわけだし…
 けど全く手がかりもないしさ…って…ずいぶん前のことだから待ってるわけないか…」
「いや…わからないぜ…表には出さないけど心の中でずっと待ってたかもしれないぞ…
 もしかしたらもうすでに再会してるかもな…お前の近くに居るかもよ…」
ユーリは俺の長い髪の毛先に軽いキスをする…こいつは本当に俺の毛にキスをするのが好きなやつだ…
したいのなら毛じゃなくて…って何言ってるんだ俺!!!
ってかアッシュの前でこんなことしないでください…後から流れ出る黒いオーラがマジで怖いんです。
「そ、そう言えばアッシュもあの頃俺と約束したんだよな…
 『ずっと…これから守っていく…何日…何週間…何カ月…何年でも…お前のこと』だっけ?」
「っは…そんなくだらねぇこと覚えてねぇな」
「何だそれ?パクリか?はははは…お前のそのブラコンの理由何となくわかった気がするぜ。」
「っち…うるせぇ…屑狼は黙ってろ!!おい…そろそろ帰るぞ」
アッシュは機嫌悪そうにベンチから離れたので俺は慌ててそのあとを追いかけた。
「ま、待てよアッシュ!!!」
「俺も帰るかな…」
ユーリは帰ると言いながら何故か俺達の後を付いてきた。
今のアッシュにユーリを近づかせると確実切れる…まるで水と油なんだよな…今の二人。
「何でお前まで付いてくるんだ!!」
「仕方がないだろ?ここからじゃ途中まで同じ道なんだから」
ユーリの家の位置を考えると確かに途中まで同じ道…
いやむしろここからの方角だと8割は同じ道だ…
え?ちょっとまって…俺この空気の悪い中を8割も居ないといけないわけ?
「まさかお前ら兄弟とそんな昔からご縁があったとは…」
「そんな縁今すぐに叩き切ってやろうか…?」
「何でアッシュとユーリが喧嘩するんだよ…俺とユーリが喧嘩するならまだしも…」
二人はすごく機嫌が悪そうにしている。
たまに口を開けばお互いの嫌み…もうやだよ…
ふと空を見るとさっきまで蒼かった空がいつの間にか夕焼け空になっていた。
昔は記憶がなくて辛い時もあったけど…今は何とも思わない。
知りたければアッシュに聞けばいい…ナタリアに聞けばいい…
けど…あの子のことだけはちゃんと思い出したい…いつか…きっと…
隣を歩いて居るユーリの横顔を見ると一瞬だけ何か思い出した…
それは木に登るあの子の顔…どうしてユーリを見たら思い出したのだろうか…
病院を見ても、思い出の木を見ても思い出せなかったのに…
「何俺の顔に見とれてるんだよお前は」
「み、見とれてなんてないっ!!何でお前そんな恥ずかしいこと軽く言えるんだ!!」
顔を真っ赤にしてユーリに反論するけどこれじゃあ逆効果…
知ってるんだけどそんな反応をしちゃう俺…
「見とれる要素なんてこいつにはねぇよ…」
「何だ?やろうってのかこの鶏頭が…」
「いいぞ…受けてやろうじゃないか…この変態狼…」
「お前ら何でそんなに仲悪いんだよ!!!」
「そりゃ…王子と魔王だしな」
「誰が魔王だ誰が…」
これは俺にはとめれないと思いまた空を見た。
さっきより夕焼け空が夜空に近くなっていて…まるで俺達3人みたいだなと思った。
それぞれの約束を胸に俺達の青春は過ぎていく…
幼い思い出を胸に過ぎて行く…
その約束は友情?兄弟愛?それとも淡い恋心なのか…
それは本人達にしかわからない…
約束を胸に俺達は大人になっていく…
大人になっても忘れてはいけない約束…そんな約束みんなにもあるよな?




なーんてなっ♪




END

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