旭屋本舗
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これは俺がまだ幼い頃の話。
たった数日間だけの友達…
俺達は大切な約束をした…
けどそれは守ることができなかった…
もう二度と会えないけど…
大切な…大切な…友達…
『俺待ってるから…何日…何週間…何カ月…何年でも…お前のこと、
だって…俺達友達だから…』
「ユーリ…君が昔よく通ってたあの病院…取り壊しになるそうだよ…」
「え?」
それぞれの約束。1~ユーリ編~
その日もいつもと変わらない日だった。
俺は毎日のようにフレン、エステルと学校から帰った後遊ぶ約束をしていた。
エステルは昨日父親に買って貰ったピンク色の帽子を被っていつもの広場に来た。
いつものように遊んでいると突然強い風が吹いて、
エステルの帽子が飛んで行った。
俺達は急いで飛んで行った帽子をおいかけると、
広場の隣に立っていた大きい病院の木に引っ掛かった。
俺は木登りが得意だったから帽子を取りに行った。
「ユーリ…危ないですよ…ユーリが怪我したら私…」
「そうだよユーリ…」
「折角買って貰った帽子諦めるのかよ。俺は大丈夫だって…ほら、気がちるから向こうで待っててくれ」
不安そうに見つめるエステルの顔を見たくなかった俺は
エステルとフレンを木が見えないところまで追いやった。
それからこっそりと病院の庭に忍び込み帽子が引っ掛かってる木に登り始めた。
案外登りやすい木だったのですぐに帽子のあるところまでたどり着いたが
もう少しで帽子が取れるところでまた風が吹いてしまい
すぐそばにあった病室の中に入ってしまった。
「くそ…なんで窓なんか開いてるんだよ…」
流石に病院に忍び込むわけもいかずどうすればいいか考えていると
病室の中から声がした。
「君…誰…?」
「え?」
病室にいたのは俺と同じくらいの子供だった。
丸い大きな緑色の瞳…性別ははっきりとはわからないけど…多分男…
頭には包帯が巻いてあり髪の色はわからなかった。
多分手術をした後なのか…その包帯が痛々しかった…
「君誰…?何しに来たの?サンタさん…じゃないよな?まだ12月じゃないし」
俺をサンタと間違えるなんて視力は大丈夫なのかと思った。
そんな髭とか白髪じゃないし。
「友達の帽子がその部屋に入って…中にないか?」
「あ、これ?」
あいつは病室の中に落ちてた帽子を拾い上げると俺に渡してくれた。
「はい、どうぞ。これ君の?」
「違う。友達のってさっき言ったぞ?」
「あれ?そうだっけ?」
そいつは太陽のような笑顔で笑った。
俺は何故か心の中が熱くなる…。
「お前ここで入院してるのか?」
「うーん…入院なのかなぁ?少し違う気がする…けどそんな感じ」
変わったやつだ…
俺は結構友達は多い方だったけどこんなやつは俺の周りに居ない。
もっと話がしたい…そう思った。
「なぁ、お前…」
名前を聞こうと声をかけたとき、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
広場を見るとエステルとフレンが心配そうに俺を呼んでいるのが見えた。
「あ、悪い。友達が待ってるから行くわ」
「あ…うん…ばいばい。」
太陽が雨雲で覆われた…そんな寂しそうな顔をあいつはした。
「あ、明日も来る…迷惑じゃなかったら…」
「え?いいの?嬉しい…俺話せる人ここには居ないから寂しくて…」
あいつは嬉しそうに笑ったけど、さっきみたいに太陽のようには笑わなかった。
俺は軽く挨拶をして木を降りてエステルとフレンが待っている広場へと戻った。
次の日から俺は学校から帰るとすぐにあいつのところへ行った。
俺が来る頃には必ず窓が開いていて俺が呼ぶとあいつはすぐに窓から顔を出した。
短い時間しか話ができなかったけれどすごく楽しい毎日。
そんな毎日の中で俺達はいろいろな話をした。
今日学校で起きたこと…友達のこと…家族のこと…
あいつのことも多く知ることができた。
交通事故で怪我をして手術をしたこと、
双子の弟がいるがこの病院に来てから一度も会っていないこと、
幼馴染の女の子のこと、
知れば知るほどあいつと俺の世界が違うことが分かる。
けど幼い俺達にはそんなの関係はない。
子供の世界はいつだって壁はないのだから…
俺はずっとこの毎日が続くと思っていた…
あいつと出会ってから数日が過ぎた日。
いつものようにあいつに会いに行くと何故か今日は雲がかかった顔をしている。
「どうした?お腹でも痛いのか?」
あいつは首をゆっくり横に振りゆっくりと口を開いた。
「俺…明日からしばらく会えなくなる…」
「え?何で?あ、退院するのか…おめでとう。」
退院してここで会えなくなるのは寂しいけれど、会おうと思えば会える。
そばにある広場やお互いの家などどこだって…
けどあいつは今にも雨が降りそうな顔で話をし始めた。
「違う…俺明日また手術だって…難しい手術で…もしかしたら…死んじゃうかもだって…」
あいつの瞳から雨が降り出した。
雨を拭いてやりたくても俺の小さい身体じゃ手が届かない、
俺はまだ幼くてその雨を止めてやれることができないでいた。
「かも…だろ?大丈夫だって成功するよ。
手術して元気になったら…一緒に遊ぼうぜ。俺の幼馴染も紹介してやるよ」
「けど…いつここに戻って来れるかわからないし…君をずっと待たせるのは…」
雨は降り続けた。
どれほどの大きな傘があればこの雨は止むのだろうか…
あの頃の俺にはそんな大きな傘を持つことはできない。
けど幼い俺でももてる傘をあいつに差しだした。
「俺待ってるから…何日…何週間…何カ月…何年でも…お前のこと、
だって…俺達友達だから…」
雨は止んだ。
そしてあいつは小さく「ありがとう…」と言った。
そして俺達はまた会うことを強く約束して短い別れを惜しんだ。
その時はほんの短い別れだと思っていたのに…
あいつと会えなくなってからあの病室の窓は開かなかった…。
何日経っても開くことはない。
俺は不安に思って病院にいる看護婦さんにあいつのことを聞いてみた。
すると看護婦さんはとても悲しそうな顔をして俺にこう告げた。
「…………あの子はもうここには戻ってこないのよ。」
幼い俺でも意味が分かった…分かりたくもなかった…。
病院から家に帰る時雨が降り出した。
傘を持っていなかった俺はずぶぬれになって家へと戻った。
こんな時こそ太陽が見たかったのに…見せてはくれない。
目を閉じたらすぐにでもあの太陽のような笑顔を思い出すことができるのに…
あいつはもう俺の傍には戻ってきてくれない…
初めてしる永遠の別れ…こんな感情を知るのはもっと先だと思っていたのに。
ふと俺は一つのことを思い出した。
「あいつの名前…聞いてなかった…」
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たった数日間だけの友達…
俺達は大切な約束をした…
けどそれは守ることができなかった…
もう二度と会えないけど…
大切な…大切な…友達…
『俺待ってるから…何日…何週間…何カ月…何年でも…お前のこと、
だって…俺達友達だから…』
「ユーリ…君が昔よく通ってたあの病院…取り壊しになるそうだよ…」
「え?」
それぞれの約束。1~ユーリ編~
その日もいつもと変わらない日だった。
俺は毎日のようにフレン、エステルと学校から帰った後遊ぶ約束をしていた。
エステルは昨日父親に買って貰ったピンク色の帽子を被っていつもの広場に来た。
いつものように遊んでいると突然強い風が吹いて、
エステルの帽子が飛んで行った。
俺達は急いで飛んで行った帽子をおいかけると、
広場の隣に立っていた大きい病院の木に引っ掛かった。
俺は木登りが得意だったから帽子を取りに行った。
「ユーリ…危ないですよ…ユーリが怪我したら私…」
「そうだよユーリ…」
「折角買って貰った帽子諦めるのかよ。俺は大丈夫だって…ほら、気がちるから向こうで待っててくれ」
不安そうに見つめるエステルの顔を見たくなかった俺は
エステルとフレンを木が見えないところまで追いやった。
それからこっそりと病院の庭に忍び込み帽子が引っ掛かってる木に登り始めた。
案外登りやすい木だったのですぐに帽子のあるところまでたどり着いたが
もう少しで帽子が取れるところでまた風が吹いてしまい
すぐそばにあった病室の中に入ってしまった。
「くそ…なんで窓なんか開いてるんだよ…」
流石に病院に忍び込むわけもいかずどうすればいいか考えていると
病室の中から声がした。
「君…誰…?」
「え?」
病室にいたのは俺と同じくらいの子供だった。
丸い大きな緑色の瞳…性別ははっきりとはわからないけど…多分男…
頭には包帯が巻いてあり髪の色はわからなかった。
多分手術をした後なのか…その包帯が痛々しかった…
「君誰…?何しに来たの?サンタさん…じゃないよな?まだ12月じゃないし」
俺をサンタと間違えるなんて視力は大丈夫なのかと思った。
そんな髭とか白髪じゃないし。
「友達の帽子がその部屋に入って…中にないか?」
「あ、これ?」
あいつは病室の中に落ちてた帽子を拾い上げると俺に渡してくれた。
「はい、どうぞ。これ君の?」
「違う。友達のってさっき言ったぞ?」
「あれ?そうだっけ?」
そいつは太陽のような笑顔で笑った。
俺は何故か心の中が熱くなる…。
「お前ここで入院してるのか?」
「うーん…入院なのかなぁ?少し違う気がする…けどそんな感じ」
変わったやつだ…
俺は結構友達は多い方だったけどこんなやつは俺の周りに居ない。
もっと話がしたい…そう思った。
「なぁ、お前…」
名前を聞こうと声をかけたとき、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
広場を見るとエステルとフレンが心配そうに俺を呼んでいるのが見えた。
「あ、悪い。友達が待ってるから行くわ」
「あ…うん…ばいばい。」
太陽が雨雲で覆われた…そんな寂しそうな顔をあいつはした。
「あ、明日も来る…迷惑じゃなかったら…」
「え?いいの?嬉しい…俺話せる人ここには居ないから寂しくて…」
あいつは嬉しそうに笑ったけど、さっきみたいに太陽のようには笑わなかった。
俺は軽く挨拶をして木を降りてエステルとフレンが待っている広場へと戻った。
次の日から俺は学校から帰るとすぐにあいつのところへ行った。
俺が来る頃には必ず窓が開いていて俺が呼ぶとあいつはすぐに窓から顔を出した。
短い時間しか話ができなかったけれどすごく楽しい毎日。
そんな毎日の中で俺達はいろいろな話をした。
今日学校で起きたこと…友達のこと…家族のこと…
あいつのことも多く知ることができた。
交通事故で怪我をして手術をしたこと、
双子の弟がいるがこの病院に来てから一度も会っていないこと、
幼馴染の女の子のこと、
知れば知るほどあいつと俺の世界が違うことが分かる。
けど幼い俺達にはそんなの関係はない。
子供の世界はいつだって壁はないのだから…
俺はずっとこの毎日が続くと思っていた…
あいつと出会ってから数日が過ぎた日。
いつものようにあいつに会いに行くと何故か今日は雲がかかった顔をしている。
「どうした?お腹でも痛いのか?」
あいつは首をゆっくり横に振りゆっくりと口を開いた。
「俺…明日からしばらく会えなくなる…」
「え?何で?あ、退院するのか…おめでとう。」
退院してここで会えなくなるのは寂しいけれど、会おうと思えば会える。
そばにある広場やお互いの家などどこだって…
けどあいつは今にも雨が降りそうな顔で話をし始めた。
「違う…俺明日また手術だって…難しい手術で…もしかしたら…死んじゃうかもだって…」
あいつの瞳から雨が降り出した。
雨を拭いてやりたくても俺の小さい身体じゃ手が届かない、
俺はまだ幼くてその雨を止めてやれることができないでいた。
「かも…だろ?大丈夫だって成功するよ。
手術して元気になったら…一緒に遊ぼうぜ。俺の幼馴染も紹介してやるよ」
「けど…いつここに戻って来れるかわからないし…君をずっと待たせるのは…」
雨は降り続けた。
どれほどの大きな傘があればこの雨は止むのだろうか…
あの頃の俺にはそんな大きな傘を持つことはできない。
けど幼い俺でももてる傘をあいつに差しだした。
「俺待ってるから…何日…何週間…何カ月…何年でも…お前のこと、
だって…俺達友達だから…」
雨は止んだ。
そしてあいつは小さく「ありがとう…」と言った。
そして俺達はまた会うことを強く約束して短い別れを惜しんだ。
その時はほんの短い別れだと思っていたのに…
あいつと会えなくなってからあの病室の窓は開かなかった…。
何日経っても開くことはない。
俺は不安に思って病院にいる看護婦さんにあいつのことを聞いてみた。
すると看護婦さんはとても悲しそうな顔をして俺にこう告げた。
「…………あの子はもうここには戻ってこないのよ。」
幼い俺でも意味が分かった…分かりたくもなかった…。
病院から家に帰る時雨が降り出した。
傘を持っていなかった俺はずぶぬれになって家へと戻った。
こんな時こそ太陽が見たかったのに…見せてはくれない。
目を閉じたらすぐにでもあの太陽のような笑顔を思い出すことができるのに…
あいつはもう俺の傍には戻ってきてくれない…
初めてしる永遠の別れ…こんな感情を知るのはもっと先だと思っていたのに。
ふと俺は一つのことを思い出した。
「あいつの名前…聞いてなかった…」
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